↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令息のほしいものリスト  作者: ボアの本棚


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
69/69

69話 今と昔



「カノン! ノア!」


「お母様!」


玄関に、お母様たちがいた。


俺たちを見ると、みんな走ってくる。


「お前達、一体どこにいたんだ!?」


お父様もお兄様も、すごく心配そうな顔をしている。


「お父様、お兄様。あの礼拝堂は、ただの礼拝堂ではありません」


カノンお姉様が説明する。


「時間魔法と隠匿魔法が掛けられていました」


「なんだって!?」


お父様がびっくりする。


時間魔法。


隠匿魔法。


やっぱり、あの礼拝堂は普通じゃなかったんだ。


俺たちは十五分くらいしかいなかった。


なのに、外では一週間も経っていた。


怖い。


スフィーに連れられて、俺は部屋に戻った。


ベッドに入っても、ずっと考えていた。


あの礼拝堂。


中に入っただけで、時間がすごく進んでしまったんだ……。


どうしてあんなものがあるんだろう。


◇◇◇


次の日。


俺とカノンお姉様とシオンお父様は、今の国王様に呼ばれた。


これからお城へ行くらしい。


玄関に行くと、魔導馬車が待っていた。


俺は馬車を見て、目を丸くした。


「……あれ?」


「どうしたんだい、ノア?」


「シオンお父様……馬は?」


馬車なのに、馬がいない。


「これは魔導馬車だからね」


「魔導馬車?」


「そう。外見は昔の馬車と似ているけれど、車体の下に魔石を使った魔導機関があるんだよ」


「魔石で動くの?」


「そうだよ。魔力で車輪を動かすから、馬も御者もいらないんだ」


「馬もいらないの!?」


俺は馬車の前をもう一度見る。


やっぱり馬はいない。


なのに動くらしい。


「すごい……」


「それだけじゃないよ」


シオンお父様が嬉しそうに話し始めた。


「車の中には揺れを小さくする魔導具があるし、暑い日は涼しく、寒い日は暖かくできる。明かりもつくし、外の音が聞こえにくくなる魔導具もある。空気をきれいにすることもできるんだ」


「そんなに!?」


「それに、公爵家の魔導馬車なら、行き先を決めるだけで自動的に走ってくれる」


「自動運転!?」


「道路に何かあったら魔導具が見つけて、止まったり、ゆっくり走ったりするんだよ」


「すげぇ……」


まだある。


「窓も特別なガラスでできていて、明るくしたり暗くしたりできるんだ」


「…………」


俺は口を開けたまま、馬車を見た。


シオンお父様は、聞かれて嬉しかったのかな?


俺が聞いてないことまで、いっぱい教えてくれた。


でも、俺も聞いていて楽しかった。


百年後って、すげぇ。


◇◇◇


馬車に乗って、お城へ向かう。


窓から外を見る。


「…………」


俺はびっくりした。


街が全然違う。


百年前は、石の道を馬車が走っていた。


道の横には、お店がいっぱいあった。


夜になると暗くなって、魔導灯やランタンが明かりだった。


建物も、二階とか三階くらいが多かった。


でも。


今は違う。


道路がきれいになっている。


馬車の代わりに、魔導車が走っている。


その横には、魔導自転車が走っている。


人が歩く場所もちゃんと分かれている。


「すげぇ……」


道路の端には魔導灯がいっぱい並んでいる。


しかも、人や乗り物が近づくと、


パッ。


明るくなる。


「明かりまで勝手につくの!?」


俺は窓に顔を近づけた。


夜なのに、こんなに明るい。


百年前なら、もっと暗かった。


街の建物も大きい。


二階や三階だけじゃない。


五階くらいある建物もある。


王都の真ん中には、十階くらいありそうな建物まであった。


窓も大きい。


ガラスがいっぱい使われている。


「高い……」


俺は上を見た。


首が痛くなりそうだ。


でも、変わっていないものもあった。


古い教会。


昔の貴族の屋敷。


ずっと昔からある石造りの建物。


新しい大きな建物の間に、古い建物が残っている。


百年前のものも、壊さずに大切にしているらしい。


「なんだか変な街……」


新しいものと、古いものが一緒にある。


なんだか不思議だ。


それに、お店に行かなくても買い物ができるらしい。


魔導通信で注文すると、魔導配送車が家まで持ってきてくれる。


「えっ!?」


俺はびっくりした。


「店に行かなくても買えるの!?」


「はい。便利ですよ」


スフィーが笑う。


「すげぇ……」


百年前の俺がこれを見たら、絶対に驚く。


『ネットショップ』だーー!


って叫んでると思う。


でも、街の外れまで行くと、少しずつ景色が変わるらしい。


大きな建物が少なくなる。


昔みたいな家が増えてくる。


石の家。


木の家。


畑。


牧場。


そして、その向こうには森がある。


「あまり変わってない所もあるんだな」


「そうですね」


スフィーがうなずいた。


「百年前から残っている場所も多いですよ」


そうなんだ。


街全部が新しくなったわけじゃない。


古いものを残して、新しいものも使っている。


百年って、すげぇ。


俺が知っていた街は、もう昔の街になっている。


俺が歩いていた道も。


俺が遊んでいた場所も。


俺が暮らしていた屋敷も。


今の人たちにとっては、ずっと昔のものなんだ。


「……なんか、不思議だな」


俺は窓の外を見ながら、小さくつぶやいた。


百年前と同じところもある。


でも、知らないものもいっぱいある。


俺はこれから、この世界で暮らす。


だったら。


もっといっぱい見てみたい。


「百年後って、面白いな」


俺は少しだけ笑った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。