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悪役令息のほしいものリスト  作者: ボアの本棚


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1話 『聖闘士セイジ✫』

挿絵(By みてみん)

※イメージ



朝、幼稚舎のクラスに来たら、変な奴がいた。


ドレスを着てるから女かな?


周りをぐるっと回ってみても、前にも後ろにも白い髪の毛しか見えなくて、顔が見えない。


だから不思議に思って、ここだ!ってところでガッ!と髪をずらしてみた。


そしたら、やっぱり顔があった。


だから、つい言っちゃったんだ。


「お前の顔、変なの!」


いじめたわけじゃない。


ただ、ちょっと顔の右側が真っ赤で、ぐちゃっとしてたから、そう言っただけなんだ。


そしたら、そいつの顔がぐしゃっと歪んだ。


「うわあああああん!」


その場にしゃがみ込んで、大声で泣き始めた。


その瞬間だった。


ビシャアアアアン!


まるで雷が落ちたみたいに、俺は思い出した。


ここは、前世で遊んでいたRPGゲーム。


『聖闘士セイジ✫』の世界だ。


前世の俺は、この世界とは違う世界にいた。


18歳の高校生だった。


卒業式が終わったあと、友達とカラオケに行って、みんなでやんややんやと騒いだ。


そして、帰ろうとしたところで火事に巻き込まれて死んだ。


それから、この世界に生まれ変わった。


フレイア王国、ドルツ公爵家の三男。


ノア、6歳。


それが今の俺だ。


そして、目の前で泣いているこいつは……。


ゲームに出てくるアロアだ。


ゲームのアロアは、子供の頃に顔を火傷している。


そしてフレナリア王国の第二王女だ。


行きたくないと泣き叫んだけど、お母様とお父様に言われて勇気を出して行った幼稚舎で、顔を周りの子供たちに気持ち悪がられたショックで部屋に引きこもるようになる。


そして、心の中に溜まった悪い感情が爆発して、最後には悪魔になってしまう。


アロアをいじめた奴の名前は、確か……。


ノア。


…………。


俺じゃーーーん!!!


ビシャアアアン!!!


心の中に二回目の雷が落ちた。


どうしよう……。


こいつ、まだ泣き止まない。


「うわあああ! かえるうう!」


「クロエ! おれのガっくん持ってきて!」


後ろにいるメイドのクロエに、ドラゴンのぬいぐるみを急いで持ってきてもらう。


「これ、ガっくんっていうんだ!」


俺はガっくんをアロアの前に差し出した。


「おまえに貸してやる!」


するとアロアは、一瞬だけ泣き止んでガっくんを見た。


でも……。


「こわいーー!」


また顔をぐしゃっとさせて、後ろにいた女の人に抱きついた。


「お母様、帰るーー!」


「うーん……」


どうすればいいんだ。


ガっくんでもダメなのか。


だったら、これだ!


「この絵本も貸してやる!」


俺はお気に入りの絵本、『ゆうしゃとドラゴン』をアロアに見せた。


「こいつは普通の勇者と違うんだぞ!」


アロアが、ほんの少しだけ俺を見る。


「女の勇者なんだ!」


「ドラゴンに村を焼かれて、顔を火傷したエレナが怒って旅に出るんだ」


「それで、仲間を集めてドラゴンと戦うんだぞ!」


俺は一生懸命、絵本の話をする。


そして、ふと思った。


「そういや、おまえも顔にケガしてるな」


「おまえも勇者になって、おまえをケガさせたドラゴンを倒しにいこうぜ!」


俺は胸を張って言った。


「おれがおまえの最初の仲間になってやるよ!」


アロアは顔を上げて、お母様を見つめた。


何かを話したあと、今度は俺の方を見る。


そして、小さな声で、


「……うん」


と言った。




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