閑話_壱 伊波楓の独り言
私の生まれた家は母子家庭だった。
お母さんはいつも私の為に頑張っていた。
幼少期の頃の私は知らなかったが私が寝た後にいつも深夜バイトに行ったりしていたみたいだった。
学校に行くお金なんて無かったから私はいつも家に居た。
学校なんて行かなくても私にはお母さんが居たからそれで良かった。
私はお母さんっ子でいつもお母さんにくっついていた。
お母さんはそんな私を可愛がってくれた。
私のお願いを全部聞いてくれた。
―あのお菓子を買って。
―あのおもちゃを買って。
―あのマンガを買って。
―あのお洋服を買って。
―あのお店に連れて行って。
お母さんは私のそんなお願いを笑って叶えてくれた。
今思い返すとお母さんはずっと無理をしていたのだと思う。
それなのに幼少期の私はそんなお母さんの事なんて考えられなかった。
だから、
お母さん・・・・・・は、
「違う!」
目を開けた私は目線だけで周囲を見渡す。
夢・・・・・・か。
作戦会議が終わった後、私はすぐに自室に戻って寝ていた。
「またあの夢」
ベッドの上で体勢を起こし呟く。
私は同じような夢をよく見ることがある。
思い出したくもない私自身の汚点。
「お母・・・・・・さん」
暗く呟きながらベッドシーツを思い切り握る。
そこで気づく。
「すごい汗」
どうやら悪夢を見たせいで全身に汗をかいていた。
「お風呂行こ」
私は考えを切り替えるように呟き部屋を後にした。




