表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/74

第28話 遺物

やっと一旦の区切りです。

兄のアタラ視点からです。


僕には妹がいる。

僕より数分だけ遅れてこの世に来ただけの妹。

そして僕たちは二卵性の双子らしい、よく分かんないけれども。


僕たちにお父さんはいない。

もうすでにこの世にいない。そう聞かされていた。


そんななかお母さんは一人で僕たちを育てたくれた。

朝早く起きて朝ごはんを作ってくれて、夜遅くに帰ってきては明日の準備をしてご飯を作る。

そんなのが普通だった。


小学校では何事もなかったけれど

中学校に入ると、妹は特に理由もなくイジメられた。

物はなくなり、翌日引き裂かれたりした状態で見つかる。

僕は何も出来なかった。

ただただ、妹の物が無くなるのを認識することしか出来なかった。

僕は妹を守れなかった...


ある日それは起きた。

イジメの主犯格の一人が妹に火をつけた。

僕はそのことを聞き急いで妹の教室に向かった。

そこでは火だるまになりながら暴れまわる妹、

手にライターを持ち顔をひきつる主犯格の女、

それをただぼーと見ることしかできないクラスの人達。

人が焼ける匂い。


僕はそれを見ていることしか出来なかった。



妹を守ることが出来なかった。


後日このことは世間の話題となった。

連日家に来るテレビの人達、周りの目、世間の話題の対象、このことがお母さんには苦でしかなかった。

毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日10分おきになるインターホン。

カテーンは締め切り状態にしないといけない生活、買い物に外に出ただけでつきまとう人達、それに耐えかねお母さんはどこかに消えてしまった。


お母さんが帰ってこなくなった2日後に僕の前に一人の男が現れた。


「君はこの世界に未練はあるのかい?」


そう尋ねてくる男は虚ろな目をしていた。


「もし、違う世界で生きれるとしたら?」


その目は僕を見てはいなかった。

僕の心の奥にあるなにかを見ていた。

その男はそのなにかをくすぶる事を言ってきた。


「もしその世界で、もう一度妹と母親に会えると言ったらどうする?」


「どう、いうこと?」


僕はそう尋ねた。

そう言うことしか出来なかった。


「ふむ、やはり素質があるな。うんあるな。君にはこれをあげる。こんな理不尽極まりない世界を出よう。うんその方がいいさ。向こうの世界でまず妹さんに合わせてあげよう。うんそうすれば君は信じるさ。」


彼はそう言って僕に一つのカードを渡してきた。


僕はそのカードを受け取った。

その瞬間世界は変わる。景色は変わる。

家から観測所へ。


そこには23人いた。

そのうち1人は妹だった。


「ユユカ!」


僕は妹を見て思わず叫んでしまった。


「お兄ちゃん⁈」


妹はすごくびっくりしていた。

僕はなんで助けなかったの?と怒られると思ったけどそんな事は無かった。

ただただいつものように「どうしたの?」と言われるだけだった。その時男から言われた。「あの記憶は消えていて、なかった事になってるよ。」と。


そして、僕達はこのカードにおけるルールや全て集めたらお母さんに会えるそう言われた。


そして僕は、いや俺はこの世界では妹を絶対に守ると決めた。


何があっても...今度こそ...ユユカを守るんだ...






これは初代13.DEATH 死 のタロット持ちの物語。

心に秘めた憎しみを怨みを紡ぐ最初の物語。

だが彼は結局なにも守れなかった。

結局何も...守ることが出来なかった。

そうして彼ら双子は残留思念として紫乃たちの前に現れた。

人格は破綻し、自分たちはこの世界で生まれたと勘違いをし、人を殺す。

それがタロット戦争の遺物であるから。




--------紫乃視点に戻ります--------


光が見える。

同時に闇も見える。

私は目を覚ます。

目がさめるとマカオさんとアリドゥと師匠の3人がいた。


「紫乃ちゃん!」


マカオさんは大声で言う。


「マカオさん、大声で言わないでくださいよ。頭がグワングワンするじゃないですか。」


そう言って私は笑う。


アリドゥとマカオはそんな姿を見て安心した。


「それであの後何があったのですか?」


私は師匠に尋ねる。


「あの後は...」


そう言って師匠は話しはじめた。


要約するとあの後霧に包まれ気絶した私を師匠は断罪剣で霧を斬り裂き私を助けここまで運んできたということらしい。


「すみません。ご迷惑をかけました。」


私は3人に謝った。


マカオさんからは「無茶し過ぎよ」と一喝。

アリドゥからは「お姉ちゃんが無事で良かった!」と

そして師匠からは「もしかしたらあの兄妹はまた現れるかもしれないから注意して旅を続けなさい、それと前よりも強くなったね。」と言われた。


マカオさんとアリドゥは数日師匠に剣の稽古をつけてもらった。

その間私は今までの事を書き出す事にした。

次回は登場人物まとめです。


読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ