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プロローグ

 『ひと目惚れ』という言葉がある。


 本人の意思とはまったく無関係に起きるその現象は、偶発的な男女の出会いにより突然発生し、正常な判断を狂わせ、相手のことだけしか考えられなくなるという実に厄介な代物である。


 一種の熱病のようなものであり、こじらせると命にかかわるらしい。

 決まった発情期を持たない人間という種のために科せられた本能だと言ったのは誰の言葉だったろう。



 もし仮に『ひと耳惚れ』という言葉があるとしたら、僕、和地わぢ 尋高ひろたかの状態はまさしくそれだった。

 入学式の会場を案内する学校放送のアナウンス。

 透明感あふれる澄んだ女性の声に僕は聞き惚れた。

 耳に心地よく聞き取りやすい滑舌、まさに理想のアナウンスだ。


 いったいどんな人がこの声を出しているのだろう。


 我慢できずに訪れた放課後の放送室のドアを開けてくれたのは、2年生と思しき女子生徒だ。

 華奢なスタイルに色白で整った容貌、長い黒髪がさらさらと流れ、清楚とか可憐という言葉をはじめて僕は実感した。

 そして何より、その薄桃色の唇から発せられた天使のような音色は僕が聞き惚れたあの声に間違いなかった。


「あの……何か御用ですか?」


「に、入部希望です。いえ、入部させてください!」


 即答だった。


「そ、そうですか? では『声優部』へようこそ」


「え?」



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