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なので
背に腹は代えられぬと
知り合いの夜逃げ屋の
仕事を手伝い始めた。
少し経って
特別な夜逃げ屋の
裏の仕事で独立して
今に至っているという。
特別というのは
やばい相手から
逃げる場合でも
引き受けるからだ。
つまりは
どんな依頼も
まず断らない。
断るのは
鍋島自身が
犯罪者になる
危険のある場合のみ。
たとえば
死体も一緒に
運んで欲しいとかだ。
おそらく
最初の面談において
鍋島は卓越した観察力で
危ない相手を見抜くんだろう。
ただ
俺の場合は
犯罪絡みではないと
鍋島は信用しているようだ。
何年も一緒に
少年院で過ごして
お互いの性格なんて
俺も鍋島も知り尽くしている。
これも
情報通りであるが
鍋島は金が貯まると
ここ数年間
タイに行って
手持ちの金が尽きるまで
滞在しているという。




