島をもらいました③
権利書にあった寸法は確か、屋敷を前として横1キロと縦2キロ。想像は広いお庭だった。
実際は中央に10本ほど木が生えていて、その周りは色とりどりの花がたくさん咲いていた。
島の先には奥行きの狭そうな砂浜も見える。
まるで、リゾートの一区画みたいだ。
「きれい」
思わず息を呑んで呟くと、背後から外に出てきたマリモとヒナが5Mあるリード内で辺りを歩き出す。
この場所を確かめているみたいだ。
「ぼく、お家、ここがいい!」
目を爛々と輝かせた縁は声を弾ませた。
保険金が入ったらすぐに引っ越しの準備をしなくては。
「にゃー」
「にゃんにゃん!」
花の草原が揺れていたと思ったら、たくさんの猫が顔を出してこちらへ向かってきた。
「野良猫…?」
10匹以上いそうな猫たちはあっという間にマリモとヒナを取り囲む。
「マリモ、ヒナ!こっちへおいで!」
新入りのうちの猫に攻撃されたら!と慌ててリードを軽く引っ張り、声をかけるとマリモとヒナはこちらに顔を向けて頷く。
まるで、大丈夫だから心配するな、と伝えているようだ。
猫たちはくんくんと匂いを嗅ぎ合い、体を擦り合わせていて至って平和だった。
「にゃんにゃん、なかよし!」
縁は母の手を引っ張りながら猫に近寄る。
すると、猫たちは縁の足に擦り寄った。
「にゃ〜」
人懐っこそうな猫たちに囲まれて、縁はとてもご満悦だ。
「人も猫も大丈夫なにゃんにゃんなのねぇ」
縁の目線に合わせてしゃがみ込むと、今度は私に体を擦り寄ってきた。
抱っこ紐の中にいる紬を不思議そうにくんくんしたりと好奇心旺盛なにゃんこたち。
「帰ったら、おばあちゃんにここに住みたいって言わなきゃね」
「やったー!ぼくもミチちゃんにお願いする!」
縁は両手をあげて喜ぶ。そんな姿が見れるなら、持て余すあの広い屋敷も有りだよね。
「さ、一旦おばあちゃんちに帰るよ」
声を掛けると、マリモとヒナは猫たちに背を向けて私の足元へ歩み寄る。
縁の手を引いて、猫のリードを持ちながら車へと戻った。
手続きに家具の手配にとやることが山積みだ。
私たちは車を走らせて島を後にした。




