島をもらいました①
夫が、事故で死んだ。
親が勝手に決めた結婚で、
どうしようもないクズだった。
義両親が2歳の息子と、生後半年の娘を狙っていることが普段の態度などから想像できていた。
私、日野山 星凪は着替えなど軽いものだけ持って息子の縁と娘の紬、飼い猫のマリモとヒナを抱えて祖母の家に逃げ込んでいた。
「せいなちゃん、赤ちゃん抱えて葬儀は大変やったでしょう」
祖母は心配そうに私の顔を覗き込んだ。
いつも優しいおばあちゃんにうるっと涙腺を緩ませながら、私はにへら、と笑ってみせた。
「喪主はお義父さんだったし、おばあちゃんのとこにくる計画で頭いっぱいだったから平気」
おばあちゃんは心配と、から元気への呆れから困ったように眉を八の字に変えた。
「これからどうするん?」
「ずっといるわけにもいかないし、保険金が入ったら近くに部屋を探して三人で住むよ」
自分のパート代からそう安くない額を家族分の保険を払っていたおかげで、贅沢しなければ数年は働かなくてもいけそうな金額が手元に入る予定だ。
「にゃー」
私の膝に、真っ白のふわふわ毛のマリモが足を乗せて呼びかけるように鳴いた。
「あ、そうそう!」
おばあちゃんは両手を叩いたかと思えば、電話台の下の引き出しをガサゴソと漁り始めた。
マリモを撫でながらその後ろ姿を見つめていたら、目当てのものをみつけたおばあちゃんがくるっと私の方へ体を向けた。
「遺産整理してたら、知らん半島の権利書がでてきたんよ」
す、とA4ほどの白いクリアファイルを差し出された。受け取って中身を取り出して眺める。
「しらんって、権利主はおばあちゃんの名前だよ?」
祖母の名前、日野山美智子、と記載されている。
「じいちゃんが亡くなった時バタバタしよったからねぇ。前見に行ったら古いけど大きな家もあったんよ。ここからちょっと離れてるから高井さんも押しかけて来れないやろうし、
せいなちゃん、住んでみる?」
高井さん、とは夫方の名字だ。
おばあちゃんの提案は渡りに船状態で
さっそく明日、半島を見学しに行くことになった。




