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夜明け
頭に載せられた王冠は、想像していたよりも重かった。
黄金は光を反射するだけで、そこに意味はないはずなのに、
フィリックスの首元には確かな圧が残った。
歓声が聖堂を満たしている。
フィリックスの戴冠を祝う声だ。
人々は新しい王の誕生を、夜明けになぞらえた。
街は美しい花々に彩られ、音楽隊の演奏が響いている。
果実売りのパイが焼けると、あたりはたちまち甘い香りに包まれる。
王城前の広場では、たくさんの人々が楽しそうに踊っている。
その中心で、彼は静かに立っていた。
祭壇の一段下、
姉はいつも通り穏やかに微笑んでいる。
__ああ、と彼は思った。
たった今、長く暗い夜が明けたのだ。




