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5話 バケモノ1

 配信というのを観ていた副隊長から俺は何故かお叱りを受けた。あの技ではなくても別にやれるけど、真似されても困るから仕方なくアレでやったとは言えないな。大人しく怒られていると副隊長が「あれは一体なんなのですか?」と少し寂しそうな声を出して言ってきた。あの技は元々は俺のではなくこの刀……を使っていた奴のモノだ。


「・・・親友が教えてくれた技だ」

「そうだったんですね……」

「気にしなくていいぞ。俺が殺したから」

「気になってしまうと思うが?」

「そうなのか」

「隊長が気にしていないならいいんです」


 副隊長が少しだけ落ち込んでいるな。彼女は戦闘狂だったから強い相手はいることにはいるが、簡単に彼女を殺せるような奴らしか残っていないからなぁ。それなら俺が相手にすればいいんだろうが模擬戦に誘っても断られるからどうすれば。まぁ別にいいや……部屋に戻って休もうっと。「大隊長から今日は謹慎とのことです」と副隊長が言ってきた。俺は少しだけ凹んで部屋に戻って行った。



◇◇◇

〔ロイ視点〕


 我らが隊長さんは少し凹んだ様子で部屋に帰って行った。まぁアレは謹慎と言われても仕方がないようなものだから。大隊長の目的が一切分からない。わざわざルイズに連絡を入れなくても直接入れればいいものを……回りくどい方法をとる。大隊長はおそらくだが彼のことを疑っているのだと思うな。僕の主観だけどね。


 彼の容姿があまりにも“イシガミ”に封印されている殺戮者に似ているからだろう。誰かの悲痛な叫び声で目を覚まし善悪関係なく更地にすると云われている。まぁ龍の巫女様はそれを全否定している訳だからどこかで話が変えられたのだろう。ただその護衛をしている者は殺戮者を憎んでいるような感じだったとルイズから聞いた。


「・・・ロイ、例のは出来ているのか?」

「記憶が観れる魔道具かい」

「そうだ。でどうなのだ?」

「試作品はね」


 王命により作ることになった魔道具……の試作品は作製できたのだがどうしても使う気にはならないねぇ。まぁせっかく試作品ではあるができたのだから使わないと意味がない。白衣に隊長さんの髪の毛が付いていた訳だしこれで試してみますか。あの魔道具は記憶を観たい人の身体の一部がいる筈。まだ試作品段階なのでどうなのかは分からないから試行錯誤していかないといけない。


「隊長には申し訳ないことをした」

「そう? 死ぬかと僕は思ったけど?」

「それはお前が悪い。隊長は……私達よりも遥かに強いのだから」


 確かに隊長さんは副隊長のルイズよりも遥かに格上だね。あの壱隊隊長のエリーザと同格であるルイズが言うのは説得力があるねぇ。一応僕が作った弱体化するアクセサリーを10個ほど着けている筈なんだけどなぁ。簡単に言うならばLv.90が他の隊長の平均とすれば一つ着けるだけでLv.40くらいまでなるような代物だよ? それを10個は確定で着けてから何事もないように戦っているからねぇ。


 ちなみにルイズはそれを3個着けて普段から生活しているから恐ろしい。エリーザ隊長は今回何も着けていないって聞いたから相当なバケモノ性能だね。そんなことよりも試作品を試さないといけないからルイズに一言だけ言ってから研究室にこもる。今回僕についていたのは白髪だからもしかしたら隊長さんのものではないかもしれないがそれはそれで成功したら拝借すればいいだろう。


◇◇◇

〔???視点〕


「うーん……あそこまで強くなってるとは予想外ねぇ」

「何も計画には問題ありません」

「あらぁそうなのねぇ。バケモノなのに?」

「はい。なのでお願いしますね?」

「りょうかいよぉう」


 私は現代の人間に憑依した現人神(あらひとがみ)。龍の巫女様は神も呼べるほどとはねぇ。正直驚きはしたけど、これが2万年以上も前までは当たり前に出来ていたのだからそこまで不思議ではないけどねぇ。ただ彼の存在には本当に驚かされたわぁ。まさか兄妹揃ってこの現代に転生しているとは思ってもいなかったわよ。兄妹揃って神である私に匹敵するのだから恐ろしいわねぇ。


「運命ってのは残酷ね」


 ゼロ隊長が使っていたあの技は彼自身が最も得意とする気術ね。アレを至近距離で撃たれてもしたら重症でしょうけど、こちら側には切り札があるからどうにか出来るでしょうねぇ。“イシガミ”に封印している彼を呼び出せば……一瞬混乱はするでしょうけど、命令には従う筈よね? 自身と同じ碧銀(へきぎん)の色をした少年が居たらね。私でも少し度肝を抜かれるわよ。


 彼をあの石に封印するだけども相当な犠牲を出したのだ。私達、神々は彼を封印するだけに留まらず無限に復活する兵器にした。召喚には少々面倒な手順を踏まないといけないがそれでも私達は彼を兵器にしないと大災害を止める手段がなかったのである。私の先代達が行なってきたことが生んだ災厄が彼なのだ。私は罪悪感を感じずにはいられなかったがそれはそれとして彼一人の犠牲で護れるモノが多いのであればそれを私は選ぶわ。


「また二人が殺し合うところは見たくはないわね」


 だから黒竜にボロボロにされてほしいわ。彼も隊長もすごく頑張ったじゃない。休んでほしいと私は心の底から願っているわよ。もちろん彼女もね。彼女の先代である龍の巫女は大罪を犯してしまったからその尻拭いを貴女がしないといけないのよね? ただ休むことはできると思いからしてほしいと思うのはダメなのかしらね。貴女達、兄妹は転生してまで自分の使命を全うする必要はないわよ。


 それは本来であれば神である私の役目なのに貴女達、兄妹に背負わせすぎた罰は絶対に受けるわ。だからそれまではズルい私に利用させてね。そう思いながら彼女の後を追うために私は赤竜たちが殲滅された場所から歩き始める。


「一ついいかしら?」

「はい、なんでしょうか」

「なぜ馬じゃないの?」

「・・・馬には変化は可能でしょう」


 可能ではあるんだけどねぇ。私は馬の神なのよぉ〜


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