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俺は老人の後に付いて建物に入っていく。
老人の家は見た目こそボロボロだったけれど、中はかなり綺麗になっていた。
何ていうか、アットホームな感じが凄く良い感じだ。
奥の方まで行くと地下へ下りる為の階段があった。
多分だがこの先で魔力使いの説明とかそういうのがあるんだろう。
もしかしたら修行とか、そういうのがあったりするのだろうか?
・・・
階段を降り切るとそこには広い空間が広がっていた。
ただ広いだけの空間。ここには何もなかった。
あるのは地平線が見えそうなほどに広い空間だけだ。
老人が俺の方に振り返り話し始める。
「この世界のステータスに何故【知力】がないのか知っているかね?」
老人は俺を試すような視線を送りながら聞いてきた。
「いえ、そういう仕様なんじゃないかな、としか…」
俺は老人の問いに首を傾げる事しかできない。
「大抵このようなゲームでは【知力】のステータスで魔法の威力やSP,MPが増幅される物が多いだろう。」
「まぁ…そうですね。ライフアークみたいに魔法スキルの威力が一定になっているゲームは少ないと思います。武技系のスキルは力のステータスを上げれば威力も上がるのに。」
そう、力のステータスを上げれば攻撃力は当然上がり、物理スキルというか武技系のスキルの威力は上がるのだ。
それなのに魔法スキルにはそういうのが無い。
「そう、この世界では知力のステータスがないから魔法を極めるには少々厳しいといえる。今の冒険者に魔術師どころか魔法使いと呼べる者も殆ど居ない所からもそれが分るだろう。」
老人はニヤリと笑う。
「しかしこの世界では魔力操作というスキルを覚えると魔法の認識がガラリと変わる。冒険者は魔力操作を覚えて魔法の使い方を知り、魔法使いから魔術師へと歩みを進めるのじゃ。」
そう老人はそう言うと、手のひらに火の玉を出現させる。
初級魔法の【ファイヤーボール】だ。
「魔力操作を覚えるとこんな事が出来るようになる。」
老人がそう言うと、ファイヤーボールは倍以上の大きさまで一気に膨れ上がった。
ただ大きくなっただけじゃない。熱量も桁違いに上がっている。
「威力が上がるだけではないぞ?」
老人はファイヤーボールをガシリと掴む。
すると球状だった火の玉が鞭のように形を変えた。
「これは中級魔術【ファイヤウイップ】じゃ。」
先程までのファイヤーボールは熱量をそのままに炎の鞭へと変化していた。
これが本当の魔法スキルの使い方なのか。
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
「魔力を簡単に扱う方法をまとめた物を【魔法】という。それを昇華させ、己の術とした物は【魔術】という。では魔力使いとは何だと思う?」
老人は俺の言葉を待たずに続ける。
「魔力使いは魔力その物を自在に操る者の事じゃ。世界に満ちている魔力を自在に操りそれを武器とする術を持った者の事を魔力使いという。」
老人はそう言うとファイヤウイップを消して改めて俺を見た。
「さて、若い冒険者よ。お主はこれから魔力使いになる訳だが……覚悟は良いか?」
それに対する俺の返事は決まっていた。




