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 づかづかと距離を詰めてくる都和に僕は咄嗟に言葉を絞り出す。

「い、妹だから!」

 本当なんだけど、腹違いなことは伏せた。

 それでも納得できないのか都和は僕に抱きついてきた。

 それも軽いはぐと言うよりも首に腕を回されているので密着度合いが強い。

 前門の都和、後門の黒伽。

 なんだこれ。

「ひぃうっ…………」

 黒伽は後ろで小さな悲鳴をあげていた。

 都和がそんなに怖かったのだろうか。

「とりあえず、二人とも離れてくれる?」

「嫌だが?」

 まさかの拒否。

 正面切って言われると言葉を重ねる気も失せる。

 それにしても都和ってば、胸を僕に押し付けている気がする。

 気まずい。

 特に妹の前では。

「ちょっと都和…………?」

 抗議の目をすると笑いながら目を閉じられるのだった。

 わりとこういう誘いは天想代力的にも抗いにくいからやめて欲しい。

 キスの誘いに乗らなかったことに不満だったのかさらに強く抱き締められる。

 後ろに引こうにも黒伽が僕の移動を妨げる。

 サンドイッチ状態で僕が困っていると。

「周にぃ…………」

 黒伽がゆっくり倒れかけた。

 咄嗟に僕が後ろ手で黒伽の脇腹を掴んだので倒れなかったが、体勢を急に変えたせいで都和の胸に顔を埋めることになってしまった。

 恥ずかしく言葉も出ずにいると、都和はゆっくり僕から離れて黒伽を支えてくれた。

「もっとこうして自分から来てくれればなあ……」

 そしてまさかのダメ出しだった。

「ご……ごめんなさい」

 何に対して謝ったか自分にもわからなかった。

 恥ずかしさを誤魔化すべく黒伽を見る。

 合っていない天想代力を使ったせいか立っていてもふらついており目が虚ろだ。都和が支えていないと倒れるかもしれない。さらに汗をかいており、呼吸が乱れていた。

「ちょっと休めるところに行くよ」

 僕はひょいと黒伽をお姫さまだっこの形で持ち上げる。

 離れる良い言い訳になりそうだと思った。

「都和。またあとで」

「あー、周。少しだけ待ってくれ」

 都和の言葉を後ろで聞きつつ黒伽を連れて出ていこうとしたときに浴室の方の扉が開いた。

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