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「ば、馬鹿なことを言ってないで返しなさい!」

 僕の文句も聞かずに彼女は僕のスパッツを履いてしまう。

 白……っ。

 新手の変態なのかもしれない。

「あまり回りくどいことも言えないから率直に言いますが、貴方は玖乃に怪しまれています」

「……どういうこと?」

 僕は頭を抱えていた。

 というかノーパンなのでかなり心許ない。

「十年前の戦いは覚えていま……せんね。良いでしょう。簡単に言うと私チームと玖乃チームと周ちゃんチームで戦いました」

「戦ったの……?」

「結論はかなりあやふや。曖昧となって終わりました。区切りは小夜ちゃんが大暴れして負傷者が多くなったからですね。この私も気付いたら病院でしたよ」

 くすくすと笑う。

 目の前の人はさらに言葉を重ねる。

「禁書に心当たりはありますか?」

 それは玖乃も口にしていたような。

 だが、全くといってわからない。

 僕は首を振る。

「でしょうね。でないとあのとき貴方も私と同じ病院に入院していなかったでしょうし」

 どうやら同じ病院だったらしい。

 でも、僕には再現性があるから入院なんてしなくてもいいはずなんだが。

「……くす。手強いなぁ」

 ふと愚痴のように零した。

 隠しごとがあるように見える。

 いや、思わせぶりか。

「私の仮説が正しければ、周ちゃんが禁書を持っているはずなんだけれど」

 再度近づいてきて、あと半歩でぶつかるところで止まった。

 知らないうちに彼女から来るプレッシャーは感じなくなっていて、ゆっくりと目を閉じ僕に身体を預けてきた。

「あ、え、う!?」

 突飛な行動に戸惑い、受け止めるだけでなんとか済んだ。

 キスをしなかっただけでも成長したと思える。なんて程度の低い喜び方をしていると。

「あと、三分」

 なんて意味深なことを言われた。

「何がさ」

「周ちゃんに割ける時間。勿論それ以上も割けるのだけれども、邪魔が入っちゃうから」

 聞きたいことやしたいことがあったら言ってみて。

 なんて言われた。

 それが十年前に彼女と交わした約束なのだろうか。

「えっと……ちょっと待った」

「くすくす。周ちゃんったら優しいのね。今なら甘えても良いし、えろいことをしてもいいのに。良いの? スパッツ持って帰っちゃうわよ? 脱がせても良いのよ?」

 なんてかなり扇情的にスカートをたくし上げられた。

 からかわれている。

 僕は顔が赤くなっていることを自覚しつつも、挑発には乗らないようにした。

 目を瞑ったこともあってか、僕の手を取り下に持っていこうとする彼女。

「ちょっとっ!?」

「……くすくす」

 玖乃とはベクトルの違う変態なのかもしない。

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