1-1 世界観の説明(プロローグみたいな感じです)
主人公の居た世界はコキア地方の国家でクレマチスと言う。惑星の名前も無い。神も居ない居たのは狂った魔法使いだけである。
狂った魔法使いは、国家戦術級の魔法を研究する日々で遂に禁忌の魔法を完成させてしまう。
その禁忌の魔法とは、魔物を別世界に飛ばして殲滅すると言う馬鹿げた物であった。要は自分達で倒せない魔物達を別世界に送ってしまえば、国家に被害は出ないと言い張り、他人に丸投げするものであったからだ。
主人公のリノ・ド・ヴィアールは、もしも別の世界に送った魔物が人の町に出現したら大惨事になると主張するも、魔法使い達は聞く耳を持ないでいた。魔法使い達に同調するかのように貴族も神官も最後には王族までもが賛同してしまいリノ・ド・ヴィアールは異端扱いされてしまう。
そして、魔物の大暴走が起きてしまいクレマチス国は最後の決断を迫られてしまうが、リノは最前線で指揮をしながら戦って孤軍奮闘の働きをしても魔物の暴走は収まる気配はみせず、王は宰相と宮廷魔法使いの甘言でリノ諸共魔物の一掃する事を決断してしまう。
そして、リノが戦術級魔法で飛ばされた地から物語が始まる。リノは帰りたい!何としても生きて帰りたかった!リノは元の世界に残された家族を思い、そして、王に何故自分達を一緒に飛ばしたのかと、理由を聞きたかったからである。
異世界に流れ着いて一年と少し、最初は言葉も文字も何もかもが解らなかった。人間とは不思議な生き物である。一年もすればある程度の読み書きが出来てしまうからだ。
人間死に物狂いで生きれば、何とかなってしまうということであった。
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時は漂流された時間まで遡る。
リノは、この世界で一番最初にした事は何であったかと思うと方はいるだろう。リノが最初にした事は魔物退治である。リノと同じく捨て石にされた仲間達は一人また一人と命を散らしていき、気が付けばリノだけになっており、その時には魔物も全て目の前から姿を消していた。
そして、リノは仲間を何日もかけて一人で埋葬し、遺品を大事に保管して戦友の墓の前で泣き崩れていた。だが、この世界はリノに厳しさを知らしめた。
リノは魔物の死骸を放置したままだったからである。死骸を放置したらどうなるかはリノも知ってはいたが、仲間の埋葬でそこまで手が回らなかったツケが牙を剝いただけである。
そうして戦っていると、尾根の向こうから馬の嘶きが聴こえてくると嘶きは直ぐにリノの前までやって着た。大勢の騎馬が通り過ぎて行く中で、一騎の騎兵がリオの前で立ち止まって誰何していた。
「$#%&$’#”$”$%’?」
リノは騎兵が何を言ってるのかが分からなかったが、相手が所属を尋ねていると分かるや、言葉も通じないのにリノは丁寧に返答しはじめる。
クレマチス国、第一級冒険者のリノ・ド・ヴィアールである!
リノの居た世界で、第一級冒険者とは一握りの上澄みであり国家の大事な戦力でもあった。その者達をゴミを捨てるかのように処分した王国に、リノは不信を抱かないではいられなかった。
クレマチス国で第一級冒険者が何人いるかと言うと、総勢で三十人にも満たない人数だった。そして、先の魔物の暴走で半数以上の第一級冒険者が集められており、戦闘に参加しなかった者たちは引退まじかな者と怪我人だけだった。そして、今回の戦闘で国は冒険者の戦力は壊滅したに等しかった。
冒険者でも多大な国への貢献が認められれば、貴族に叙爵されて下級貴族になれて家名も許されていた。リノが名前でドが貴族を表し、家名はヴィアールとなる。爵位は男爵で領地無しの武官貴族であった。
武官貴族は何かと思うものも居るかもしれないが、軍事や治安維持を担当した貴族の事である。
騎兵はリオの態度や見事な所作を見るやリオに敬礼をして嘶きと共にはしりさってしまう。そして、騎兵から広範囲の炎魔法が繰り出されるとアンデットとなった魔物は炎に巻かれてバタバタと地に伏していき、騎兵が登場してから半刻も経たずに戦いは終わってしまい、後に残されたのはリオを囲う騎兵の塀であった。
そして、魔物の討伐からひと月になる間リノは、都市の牢屋の中での取り調べを受けていた。
当然の事だが、言葉も通じなければ文字も読めないのでは、取り調べはいっこうに進まずに只無為に時間が過ぎていくだけだが、リオは生きるために兵士の取り調べの最中にでも言語を習得しようと必死で兵士とのやり取りをしていたのだった。
騎兵との出会いから三か月も過ぎた頃には、リオは片言で兵士とのやり取りが出来る様になって兵士との意思疎通もぎこちないながらでも、少しだけ進歩をしはじめる。
半年が経つ頃には、通貨の価格も覚え始め文字も漂流したての時より読めるようになっており、兵士と騎兵が同席しながらの取り調べで、この世界の仕組みがボンヤリとだが少しづつ分かり始める。
兵士との会話が成立しだすと、向こうの組織もリノを敵とはみなさなくなり、兵舎の一部屋を与えられて待遇もよくなってきていた。
リオは兵舎の一室を与えられてからは、自由に兵舎の横にある鍛錬場で訛った体を鍛えなおし始める。木剣で丸太の仮想敵に目掛けて技を繰り出しては、訛った剣筋の調整などをしていると、鍛錬場で訓練していた兵士がリノの剣裁きが珍しいのか兵士達がドンドンとリオを囲うかのように集まってしまいリオが鍛錬に集中できなくなると風景が最近では当たり前の光景になっていた。
そんな中で顔馴染みになった兵士からリオは手合わせを頼まれてしまう。頼んできた相手は、リオを最初に事情聴取した兵士長で名前はリリクいう青年の人物だった。リリクは剣と盾で戦う戦士の定番と言う出で立ちをしており、リオは両手剣で戦うタイプの戦士である。
二人の模擬試合は兵士のどよめきの中で始められ、一進一退の鍔迫り合いで拮抗していたが、リオは十歳から剣を学び十二歳からは実戦で魔物と命のやり取りを繰り返してきた猛者だったが、それは相手も同じだった。リリクの顔や腕には幾つもの傷跡があり歴戦の猛者の雰囲気を醸し出していたからだ。二人とも決め手がないまま相手の隙を伺いながらジリジリと間合いを探しあっていたが、両手剣の間合いの方が片手剣より長い。
リオが先に仕掛けてリリクは盾で両手剣を防ぎ構えで見せると、盾で目線を塞いでいたリリクの盾を断ち割ってしまった。これにはリリクも驚きを隠せない間に首筋に剣先が見えるや降参を宣言せざるを得なかったからだ。
リオが盾を切り裂いく事が出来たのは技と呼ばれる元の世界では誰もが出来た技のことだったが、この世界には技はなく純粋な剣の技量のみで戦うのが主流となっている。
「リオ殿、わたくしめの負けです」
リリクは負けを宣言した後にリオに詰め寄りや直ぐに、先程の盾が何故断ち割られてしまったのか疑問に思った事をリオに問いただしていた。
リオは技とは何かを幼い子にも分かりやすく説明して手解きした時の記憶を思い出して一から丁寧にリリク達に説明し始めていた。
「なるほど……分かったようでわからん……」
それがリリク達の最初の印象だった。
リオは魔法が使えるが、攻撃魔法が使えるかと言うと使えなかった。それなら何に魔法を使うかと言うと、身体強化に使っていただけである。
「全身に魔力を通す感覚で魔力を練ると、魔力が全身に行きわたり全身が強化されるから技が繰り出されるのだ」
リオの説明は元居た世界の常識でも、今いる世界は魔法もあるから皆が出来ると思い込みからの説明であったのがいけなかった……
リオは、一生懸命に魔力を練ろうとするリリクの腕を見やると、腕がどす黒く腫れて内出血を起こしていたので、リリクの腕に手に手をかざして癒えよと言葉を発するだけで、リリクの腕の怪我はみるみる内に治っていた。
リリク達が騒ぎ出すのに時間は掛からなかった。直ぐに治癒の噂は広がってしまったからだ。後でリオが聞かされて分かった事だが、この国はマーギュリットと言うらしく、大陸暦ではなく後歴665年になる。
正確な年号を教えて貰ったが精霊暦1105年になるとか言う話だったが、今では教会でしか使われていないので一般的ではないそうだ。440年前に精霊戦争と言われる争いが起きたので後暦になっている。精霊達は人間と同盟結び、精霊達は数で劣っていた数を人間の同盟で補ったから戦争に勝利が出来たと聞かされた。
それまでの人間は魔法が……いや、この国で言うところの魔術が、その時に精霊から人間に伝わり広がって今に至ると言う経緯だと聞かされた。
魔法と魔術の違いは何か……簡単に言う事は出来ないがリオの中では魔法は自分の体の魔力を使うのに対して、魔術は外の魔力を使うのではないかと推測していた。そして、この国の人間は魔術を行使する回数が桁違いに違う。
リノが身体強化して戦っていてもリノ自身の魔力が切れたらそれまでなのに、魔術とは外から魔力を借りられるから、その土地にある魔力が尽きない限り行使できると聞かされてしまった。
それでも魔力は無限ではない!使えば減るのは魔法でも魔術でも同じだったからだ。
そして、治癒魔法の使い手は、どちらの世界でも稀で希少な存在でリノは戦闘治療要員としても優秀だった。こうしてリノはマーギュリット国での信頼と安全が確約されて行ってしまう。
そうした信頼の積み重ねで得られた物は、国の内情や周辺諸国の状況だったのだからリノにしてみたら、喉から手が出るほどの情報だったに違いない。
このマーギュリット国と言うのは都市国家で、周辺諸国も都市国家みたいだ。国境が定かでもないし争いは起こらないが、歩み寄りも無い……つまりは群小国家の時代で王様は居るが規模が小さすぎるのだった。貴族は宮廷貴族だけしかおらず、領主の貴族は居ないと聞かされた。
余りにも規模が小さすぎてリノは昔教わったクレマチス国の歴史を思い出してしまう。クレマチス国でも国の起こりは都市国家だと聞かされていたからだ。それから人間同士の争いや魔物に敗れた国を併合して今のクレマチス国になった事を思い出していた。クレマチス国とマーギュリット国の間には三百年近くの差が生まれることになる。
結論から言うと、魔術は魔法より優れてはいるが、身体強化は普及してない。逆に魔術の行使する回数は優秀だが、それ以外は出来ない。どちらも一長一短ではある。どちらが優秀かと優劣も付けにくい。
そうなるとリノの存在はと言うと、回復術士としてしか魅力がなくなり。そして、リノはマーギュリット国でデルバー共同体になる事を進められてしまう。
デルバー共同体とは何かと言うと、簡単に言えば冒険者組合に入って仕事しろっとなるのだ。(訳:ただ飯食ってんじゃねぞゴラッ‼)
そしてデルパーと敵対するのがローグとスカムと呼ばれる悪党共であった。他にもアウトローと言う一匹狼もいるとの事だが、滅多に出会わないという話だ。
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~回想~
デルパーの階級
白金級:一級~三級・英雄クラス、またはデルパーの親方の称号とされる最高峰の存在。
金級:一級~三級・国や地方を代表する一流の熟練なデルパー。
銀級:一級~三級・一人前として認められた中堅・優秀デルパー。安定した実力を持つ。
銅級:一級~三級・実戦経験を積み始めた低〜中級のデルパー。
鉄級:一級~三級・駆け出しや下級のデルパー。雑用や簡単な討伐クエストを担当。
鉄三級から始まりデルパーの頂点が白金一級
(プレートにⅠ・Ⅱ・Ⅲと言う順番に刻印される。つまりは鉄プレートにⅢが刻まれていたら鉄一級だと言う事だね)
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ローグ 元デルパーや元傭兵で迷宮などで徒党を組んで、デルパーを狩る存在。
スカム 亡国正規兵の集まりで、隙あらば国の乗っ取りを企んでいる連中。
アウトロー 一匹狼で魔物を討伐する輩で、目標の魔物がかち合うと殺し合いになる事もしばしば起こる。
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お金の単位(マーギュリット国)ステム
ステム鉄貨 ステム小銅貨 ステム銅貨 ステム銀貨 ステム金貨 ステム白金貨
鉄貨が十枚で小銅貨になり小銅貨十枚で銅貨になる。
銅貨十枚で銀貨になり銀貨十枚で金貨になる。
白金貨は国単位の取引でしか使われない。
昔あった大国の通貨を今でも使用しているので、周辺諸国でも使う事が出来る。
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異世界から流されてきた者は漂流者と呼ぶ、稀ではあるが過去に幾人かの漂流者が流れ着いたと文献に期されており、益を齎す者も居れば火種をばらまく者まで千差万別であったと記されている。数百年前の戦乱は漂流者がもたらした災いだとも呼ぶものもいるが、紐解いてみれば当時の大国同士が、漂流者の取り合いをして争い滅亡していったとも伝えられている。
不都合な歴史は闇に封じられるのは、珍しくもなくクレマチスの歴史でも闇は有ったのだろう、あやふやに表されて朧気でしか伝わってない歴史もあったからだ。
それに後暦の前の精霊暦に何が起こったのかも気になるが、そんな歴史は考古学者や宗教者にでも聞かない限り一般人が知る由もない。
(LV?スキル?そんな都合の良いものはありません)
純粋な技量勝負の世界ですが技はあります。
技とは流派で研鑽して培ってきた来た物であり財産でもあります。それでも継承する人間がいなければ、何の為の研鑽だったのかと言う話ですよね。都市国家の共同体であるマーギュリット国では、国力を高める為に派閥を超えた人材育成に取り組んでいる都市国家です。富国強兵の旗の下に人材を育て、魔物を駆逐し、土地を耕し人の住める大地にする封建国家を目指している状態です。
魔術の系譜(魔術は便利ですよね)
・魔術師とは魔術の道を極めた高位の存在であり、魔術・魔導・錬金・付与・召喚ならびにテイムの知識や技術を指導する立場にあるマスター級の人たちの事を指す言葉です。研鑽を重ねて新しい術が完成していますが、失敗は常に危険と共にあり実験で命を落とすマスター級も居ます。
・魔術士とは魔術を学び、専門の知識を覚えて独り立ちして自活が出来る者達の事を指す言葉です。
・見習い魔術師とは、師匠のもとで学び研鑽してる者達を指す言葉です。
錬金術は元々が魔術からの派生術なので切っては切り離せない関係にあります。魔術師が錬金術師でもある事もあります。魔術士が錬金術士だったりもします。同じ魔術なので付与魔術なども魔術の派生ですね。学んだ師に寄って攻撃型なのか錬成型なのか付与型なのかが違ったりします。複数人から学べは錬金術と付与術の魔術士になり術を極めれば師になれる事もあるとかないとか……
神聖魔術も魔術の派生であり、大昔の大国で開発された魔術だとか……詳しくは不明である。
これらの知識が、リノが数か月に渡り培ってきた国の内情だった。
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そして、リリクの模擬試合から一月が経った時に話はデルパー共同体に移って動き出す。
デルパーに登録をしに来ていた三人は、受付で一人のデルパーの新規申し込みをした所に、白髪と黒髪が混ざった四十代の人物が声を掛けてきたのだった。
「これはこれは、騎兵大隊長のパトリック様ではないですか。今日はどのようなご用件で来られたのですかな?」
そう戦場や取り調べで一緒に居た人物が、この騎兵大隊長のパトリックだった。パトリックは子爵家の三男坊で国軍に入隊して自活の道を歩んでいたが、貴族席は残したままの人物でもあった。
『これは丁度よい。この者の名はリオ殿と言うて、そこのリリクと模擬試合して打ち負かした猛者だ。親方の判断で銀二級での登録をしてもらえないか?』
「リリク様を模擬試合で打ち破るとは凄腕でございますな……どうしたものか……本来なら実力を見てからの判断をしないと規則違反になるのですが……パトリック様とリリク様の二人が実力を保証するのであれば……吝かではないですな……」
そう言うと、親方はブツブツと呟きながらもリオの体を隅々まで嘗め回す様に見ながら、手を握りしめたり肩を撫でたりと、中年のおっさんにされても嬉しくない状況で話は進んでいく。
「良いでしょう!お二人の推薦とあればカッパー二級から始めてもらいましょう」
その親方の物言いに少しパトリックがムッとした口調で親方に問い返しだした。
「うちのリリクを打ち負かした者を銅二級だと言うか!」
「ご不満は承知の上でカッパー二級だと申し上げております」
そう言うと親方はパトリックに丁寧な口調で何故リノが銅級なのか説明しだした。
「この方はシルバー一級から……いえ、ゴールド三級でも良いかもしれません。でも、如何せん此処の流儀を知らなすぎると思います。そんな方に直ぐに大事な顧客の依頼を託すことはできませぬ」
こう言われてはパトリックも言い返せないでいた。
「パトリックさん、俺は銅二級からでも大丈夫です。此処の流儀に慣れて見せますよ」
「リノ殿が、それで宜しいのであれば、私からは何も言う事はありませんな」
そして話はリリクを置いて勝手に先に進みだしていた。
(リリク:俺いらなくね?)
こうして、リノの望郷を探す旅の第一歩の幕開けとなるのだが、果たして直ぐに帰り方が見つかるかは定かではない。魔法は無いが魔術はある。それなら魔術師を探すしかなかった……
お読みいただき、ありがとうございました。
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