2 交渉
バリアを張る日時のカウントダウンをシオンが始めた。宇宙開発省はそんな物はないと否定するが宇宙飛行士やその家族は心配だ。
2 交渉
マリエールの感情のあるアンドロイドのシオンは宇宙飛行を阻害するバリア設置のカウントダウンを続けた。宇宙飛行に関わる者は心配した。本人よりも家族が心配した。宇宙飛行士のルドロフ一家の夕食の席、娘のマリアンヌが、
「お父さんの今度のフライト、指定日時の後よね。心配だわ。」
それを聞いた父親は、
「嫌な事言わないでくれ。宇宙開発省の正式発表でも否定されているよ。心配ないさ。」
こんな会話があちこちで話題になっている。
シオンのカウントダウンは続く。もう後一日になった。捜査当局も調査に乗り出した。サイトの発信源から探る方法が取られている。しかし発信源は常に移動しているようで絞り込みが出来ないまま当日を迎えた。シオンは、
「後6時間を切りました。そろそろフライトは中止して下さい。また宇宙からこの星に戻るのも止めて下さい。」
カウントダウンは最終段階に入った。
「スリー、ツウー、ワン、ゼロ、バリアが張られました。以降は宇宙に出る事もできませんし、宇宙から入る事もできません。試さないで下さい。死にますから。」
流石に直ぐさま飛び立つ宇宙船はない。しばらくして貨物用の宇宙船が宇宙飛行にチャレンジした。宇宙船の船長は、
「デマだと思うが慎重に進む。進むのが無理だと感じたら引き返す。」
宇宙船は出発した。高度10万mまでは順調だった。その時乗務員の一人が、
「上昇しなくなりましたよ。エンジンは正常に動いていますが動いてないみたいです。」
船長は判断を迫られた。
「エンジン全開、この領域を抜け出すのだ。」
しばらく続けたが一向に上昇しない。バリアは実在したのだ。船長は、
「反転離脱。」
船長が命令し、反転離脱のための操作がされエンジンが全開されたが機体は動かない。船長は、
「前にも後にも動かないか。救難信号を打て。」
バリアの中に閉じ込められた状態で助けに来るはずもない。同じような事件が3回あって、宇宙開発省もようやく気付いた。
「バリアは本当に張られたのだ。」
宇宙開発省はサイトに盛んに交渉の申し込みをした。しかし何も反応はない。一般の人々も危機感を持った。星の経済は太陽系の星々に依存している。焦った宇宙開発省は、他の省庁に相談する。その結果出た答えは、国際機関に調停を依頼する事だ。その名も国際問題調停機関。宇宙開発省は国際問題調停機関に相談する。両者で出した結論は全面的に国際問題調停機関に委任する事。国際問題調停機関は経過をサイトに全て書いて交流会に交渉を求めた。サイト上でやり取りを続け、直接会って交渉する事を決めた。
シオンからの連絡を受けて、マリエールはシオンにある指示をした。
「星が裏切った場合は星を絶滅させる一文を載せる事を条件に認めよう。」
この交渉条件は星側の者達に衝撃を与えたが、交渉その物で揉める事はなかった。3回目の交渉で星側は聞いた。
「星を絶滅させるというのはどんな方法ですか。」
シオンは一息置いて語った。
「天地創造という魔法です。星を思うがままに作り変える魔法ですがそこにいる生物にとっては絶滅です。」
国際問題調停機関の面々は息を飲んだ。
バリアを張ったと言った以降も宇宙飛行をしようとした者がいた。上昇が止まってもなお上昇しようとする。上昇を諦め、反転離脱しようとしても既に遅い。




