4章-重なる2
第4章 知らないアカウント
取り調べから数日経った。俺はまだ、警察の補足質問に呼ばれるかもしれない状態だ。
仕事も手につかない。遥の部屋には行っていない——警察が封鎖しているから。でも、頭から離れない。
あの「心当たり」。
数ヶ月前、遥が寝落ちした時、スマホが通知で光ったんだ。知らないアカウントからのメッセージ。
「また連絡遅れてごめん。ちゃんと迎えに行くよ」って。
俺はチラッと見ただけ。遥に聞いたら、「看護師の知り合い。病院で働いてた人」って誤魔化されたように思った。
けど、俺はそれ以上追及しなかった。嫉妬したくなかったから。でも、今思うとやっぱり変だ。
遥は職場で友人を作るタイプではなかった。プライベートで連絡を取るような知り合いを作ったことはない。
そういえば、俺と会ってる時も誰かと連絡を取っていた。
夜遅くに、ソファーでスマホを触っている姿を見た。
そして、失踪の前。遥が「もういい」とぼそっと言ったことがあった。
「疲れた」って。
まさか、その連絡してた人が「迎えに来た」のか?警察に言うべきか? でも、証拠はない。ただの勘だ。それに、もしその人が遥を助けただけなら——遥の失踪を手伝ったなら。山梨のあの辺り、ニュースのコメントで前にも失踪があったって書いてあった。
遥は、誰かに誘われたんだ。あの知らないアカウントの主が、なにか知ってるのかもしれない。
俺はスマホを取り、警察に連絡しようとした。指が止まる。でも、遥が自分で選んだ道なら?
俺は、邪魔をするべきじゃないのか?いや、そんなはずない。
でも、決断できずにいる。外は雪が降り続いている。遥は、今どこで何をしているんだ?あの「迎えの人」と、一緒にいるのか?それとも、本当にただの事故で?
俺は記憶の中で、あの日の映像を思い出していた。
スマホの通知が光ったあの日、ちらっと見えたスマホに映ったアカウントの名前は。
詩暢——




