4章-重なる
画面がぼんやりと霞む。時計を見ると、もう午前3時を回っていた。3月12日の深夜——いや、もう13日の未明だ。体が重い。頭の中がぐちゃぐちゃで、考えるだけで吐き気がする。
これはただの現実逃避をするためだけの小説のはずなのに、現実とここまで重なるなんて。
綾戸愛花の事件も、きっと同じように進んでいる。
彼氏が聴取されて、ネットで叩かれて……。ベッドに倒れ込む。目を閉じても、莉太の最後の言葉が頭に響く。
「心当たりは、あった。」
って、何だ?
まさか、彼氏は何か知っていた?
それとも——。眠りは浅く、悪夢にうなされた。雪の山道で、誰かが私を呼んでいる。振り返ると、笑顔の女性が立っていて、「迎えに来たよ」と言う。
顔は遥で、愛花で、私自身だった。目が覚めた時、外はもう暗くなっていた。3月13日の夜。カーテンの隙間から街灯の光が差し込む。浅い眠りのまま一日中寝ていたらしい。体はだるいが、頭は、脳は、寝起きとは思えないほどクリアだ。でも、心のざわつきは消えない。
スマホでニュースアプリを開く。綾戸愛花の失踪事件、捜索が続いているけど新情報なし。SNSでは「連続失踪?」という書き込みが増えている。ノートパソコンを開く。
チャット画面はまだ開いたまま。AIの最後のメッセージが、そこに待っている。息を吸って、キーボードに手を置く。指はまだ少し震えている。
「第4章を書いて。彼氏の視点で続きを。心当たりの件を明かして」
送信。
アイコンが回転を始めた。




