3章-心当たり
モニターを見つめ動けなかった。
心臓の音がうるさい。
彼氏視点?ニュースでも事情聴取されていること以外はなにも報道はない。
彼氏視点ではなにが起こっていたかが分かる?
震える指でキーボードをゆっくりと叩く。
「彼氏視点で、3章を書いて」
AI:了解。じゃあ彼氏から見たこの事件を
書いてみますね。
――――――――――――――――――――――――
第3章 メッセージ
俺の名前は莉太。27歳。フリーランスのデザイナーだ。
遥と付き合って1年半。まだ同棲はしていないけど、少し前までは、ほとんど毎日連絡を取っていた。
でも最近は、遥の様子がおかしかった。看護師の仕事が忙しくて、夜勤続きで疲れきっていた。「もう限界かも」と、ぼそっと漏らすこともあった。
時々、スマホを握りしめたままぼんやりしてる姿が気になってた。最後のメッセージは、失踪の前日だ。
「友達と旅行に行くかも」
俺は「そう」とそっけなく返しただけ。
ここ数か月、すれ違いが増え、あまり話が出来ずにいた。
俺は最近、地方の仕事が増えたので、将来を真剣に話し合いたくて、遥に「一緒に引っ越さない?」って提案したら、曖昧に濁されたんだ。
「わからない」って。
それが、蔑ろにされたように感じて。
それから、会話がなくなり険悪なムードが続いていた。
俺との時間は無いのに友達と旅行は行くんだなって。
実は少し腹が立っていた。
翌日——彼女が出かけるはずの日の朝、冷たい態度を取ったことを謝ろうと、連絡を試みたけど、既読がつかない。電話も繋がらない。最初は「運転中かな」と思ってた。
でも、夕方になっても何もなし。夜になっても。翌日も、変わらず。未読のまま。スマホを見ていないのか、落としたのか。不安が一気に膨れ上がった。遥は気が付いたときにすぐに連絡を返すタイプだったのに。
そして、次の日、警察が来た。
「鈴木遥さんの交際相手の方ですね。事情をお伺いしたいのですが」
警察署の、取調室、なのだろうか、無機質な匂いがした。壁の時計が、秒針をカチカチと鳴らしている。向かいの警察は、無表情で質問を始める。
「最後に連絡を取ったのは?」
「彼女が出かける前夜です。『友達と旅行に行くかも』ってメッセージが来て」
「その後、ご自身からは?」
「翌日から何度か。けど、返事がなくて。既読もつきませんでした」
「喧嘩はされていませんでしたか?」
「……少し、ありました。」
警察は目を細めた。もう一人が、静かに口を挟む。
「鈴木さんのパソコンに、『失踪 方法』などという検索履歴が複数残っていたそうです。ご存知でしたか?」
息が止まった。数週間前の夜、遥の部屋に泊まった時、パソコンが開いたままだった。画面にちらっと見えた気がする。
でも、見間違えだと思って流した。まさか、本気で——
「山梨方面のルートを調べていた形跡もありますが、心当たりは?」
「ないです。旅行の行き先、聞いてなかったので」
本当だ。でも、なぜか胸が痛む。遥は、本当に友達と行ったのか?それとも、あのメッセージで、失踪を決意したのか?
事故がなければ、今日、遥を探す人は、いたんだろうか。
取り調べが終わって外に出て、スマホを取り出した。ニュース記事が更新されていた。
「山梨失踪事件 交際相手の男を聴取」ネットを見れば、もう俺のことが書かれていた。




