乙子ルート 第7日目③
③
ま、そりゃ自己催眠くらいでいきなり強くなったら苦労しないわけで。
そんなオレの側に乙子はいつまでも寄り添っていてくれていた。
「さーくん、だいじょうぶ?」
濡らしたハンカチでオレの手当てをしてくれようとする乙子。
それを頑なに拒むオレ。
「だいじょうぶに決まってるだろ。こんなのツバでもつけときゃ勝手になおるんだから、大げさに心配すんなよな」
「さーくん……」
「だから、そんなシケた顔してんなよ。今日は負けちまったけど、明日は三人ともボコボコにして泣かせてやる。ぜったいに」
「さーくん……」
「言っとくけど、べつにお前のためじゃないんだからな。これは男のプライドにかかわるもんだいだからなんだからな。カンちがいすんなよな!」
この頃からオレはすでにツンデレだった。
そして、その日を境にオレは毎日のようにケンカに明け暮れた。
オレは宇宙からやって来た戦闘民族とかじゃないんで、初めから強いとかあり得ないわけで。
初めの内は負けっ放しでしたよ、ええ。
しかし、段々とケンカをしていく内に攻撃力や反応速度も上がって、打たれ強くなっていくわけで。
十回負けても十一回目には勝つ、そんなガッツのある漢になりました。
どのくらいガッツがあるかと言うと、「キャプテ○翼」の石崎くんくらいな。
「すげえガッツだ!!」と思った人は見る目があるぜ、うん。
しかし、両親はそんなオレの変わりっぷりにものすごく驚いてた。
なんせ、今まで暴力とは無縁だった息子が毎日ケガして帰ってくるようになったからだ。
お祓いとかもされましたよ、ええ。
「またさだきみがあの三人相手に勝った! しかも、さだきみは一発も食らってないぞ!!」
「さだきみつええ!」
「さだきみ最強だな!」
「苦しゅうない。もっとほめろ。ほめたたえろ」
そんな感じで三ヶ月も経つ頃にはオレは例のいじめっ子三人を簡単に返り討ちできるようになり、ヤツらももう以前のオレではないことを悟るとそれ以降は絡んでくることはおろか、目を合わすことさえしなくなった。
こんな感じでオレは強くなっていった。




