乙子ルート 第6日目⑨
⑨
しかし。
ここでオレがいきなり割っちゃうと、他の人たちはスイカ割り独特のあの雰囲気が味わえないわけで。
その雰囲気を味わうために海に来た人もいるかもしれないわけで。
オレは割ろうと思えばいつでも割れるスイカをあえて割らないことにした。
そう言いつつも、盛り上げは必要なわけで。
オレはムダにテンションを上げた。
「いくぜ! いくぜ! いくぜ! 必殺、オレの必殺技!!」
ドゴオッ!!
スイカの横の砂を思いっ切り叩く。
まあ、砂の上だから反動もそんなにないけどな。
「外しちった、テヘッ☆」
お茶目に笑うオレ。
「『テヘッ☆』じゃないわよ。あれだけ大口をたたいて外すなんて大した『アルティメット・スイカワリスト』さんだこと」
そんな乙子の罵倒を尻目に達人は密かにオレを褒めた。
「グッジョブ、貞君。お前のおかげで空気も暖まった。これでどんな失敗をしても他のヤツは恥ずかしくないだろう」
さすが心友(誤字じゃないよ?)。オレの意図をバッチリ理解してくれたらしい。
それにひきかえ、乙子のヤツときたら……。
「じゃあ、今度は私の番ね」
そう言って、準備をする末理さんは普段よりも子どもっぽく見えた。
オレの気のせいじゃなく楽しそうだ。
オレは自分の取った行動が正しかったことを確信した。
空気を読むスキルというのは人としてとても重要な要素だと再確認したオレだった。
で、スイカを割ったのは三巡目の番が回ってきた乙子だった。
オレは割ろうと思えばいつでも割れたので、ダレてきたら速攻割ろうとか思ってたわけだが、それはムダな心配だったようで。
「どう貞君、あたしのスイカワリストとしての腕は?」
「まあまあだな。及第点をやろう」
「何よ、偉そうに……」
オレの上から目線発言にムッとする乙子。
しかし、それにはそれなりの理由がある。
「偉そうなんじゃない、偉いんだよ。オレはスイカ割りの権威だからな。言うなれば、スイカ割りの神。すべてのスイカワリストの頂点に位置する最上位存在だからな」
「たかがスイカ割り一つでそこまで語れるなんて逆にすごいわね……」
「よせやい。照れるぜ」
「誰も褒めてないから……」
そんなやり取りをしつつ、スイカ割りは終了した。
ちゃんちゃん。
昼食を終え、午後になり達人がこんなことを言い出した。
「今日の主賓はお前だ、貞君。お前、誰と遊びたい?」
さてフラグが立ちまくりな選択肢だけど、誰を選ぼうか?




