乙子ルート 第6日目③
③
今の時代トランプって……。このアナログ感たっぷりな感じがなんともたまらないよね。
で、ゲームはババ抜き。
身の程知らずらめが。
「くっくっく……。この『ババヌキング』立里貞君に勝てるとでも?」
オレは邪悪な笑みを浮かべると、乙子を威嚇した。
勝負はすでに始まっているのだ。
そして。
「少しは手加減しろ、貞君。お前、強すぎだ……」
「本当にムダな技術だけはムダに高いわよね、あんた……」
「くっくっく……。負け惜しみかね、キミタチ……」
「貞君くんって本当に強かったのね。ただそう言ってるだけかと思ったわ」
「ほう、末理さんはオレが口先だけの男だと? この立里貞君、百八のあだ名にかけて、そうた易く後れは取らんよ!」
昨日からワクワクしっ放しでムダにハイテンションなオレは電車の中でも絶好調だった。
そんなこんなで二時間弱。
窓の外から潮の香りが漂ってきた。
海だ。
海が近いに違いない。
そう思って窓の外に目をやると、海が見える。
「みんな、海だよ。海ですよ」
「海だ、広いな、大きいな」
「プールは結構行ってたけど、海は久し振りかも」
「綺麗ね……」
みんなのテンションも上がる。
なんだかんだ言っても、みんな海が大好きだよね。
電車の中から海を見てから、オレはワクワクしっ放しだった。
マー風に言えば「ワクワクが止まらねェ!」。
そんなわけで、駅から海に行くまでの距離さえもどかしかった。




