表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/65

乙子ルート 第3日目⑦

「ほれ」


 さっそくゲットしたぬいぐるみを乙子に差し出す。


「くれるの?」


 珍しく困惑した顔を見せる。


「そのために取ったんだろうが。今さら『いらない』とか言うなよ?」


「言わないわよ。それにしても、あんたって本当に役に立たない技術だけは豊富よね」


 乙子が言ってはいけない言葉を口に出す。


 けっこう気にしてるのになぁ、オレ。


 「もしかしてオレって人生ムダにしてる?」とか。


 スイカ割りとかババ抜きとか、日常ではまったく役に立たないスキルを最高レベルまで極めてたりする。


 まあ、ハマってる最中は楽しいんだけどさ。


 乙子の言葉を聞いて、オレはこの時、未来からやってきた某ネコ型ロボットのセリフを思い出していた。


「だれでも何かとりえがあるもんだねえ。こういうくだらないことだと、きみはじつにうまい」


 そう、無害そうな顔をして、平気で毒を吐く青ダヌキだ。


 乙子の言動はヤツにそっくりなわけで。


 まあ、言った本人に悪気はないんだろうけど。


 だからこそ、余計にタチが悪い。


 なんてことを考えていると、


「でも、ありがとう」


「お、おう……」


「せっかく貞君に取ってもらったぬいぐるみだから大事にするね」


 そう言って微笑む乙子。


 そんな乙子を不覚にもかわいい、とか思ってしまったわけで。


 まあ、いいか。


 こんなに喜んでくれるなら。


 さっきのオレを深く傷つけた心のナイフの件も水に流そう。


 なんと言っても、オレは「心の広さは四畳半・微妙に心の広い男」だからな。


 えっ? 広くないって?


 どこの富裕層だ、お前は。


 四畳半もあれば十分すぎるほど人間らしい生活が営めるだろうが。


 そんなわけで、「狭い」とか思ったぜいたくなキミはお兄さんと少し便所裏でお話をしようか。主に拳で。


 なんて風に、また脳内でキレるオレ。


 いかんな。カルシウムは足りてる筈なんだけど。


 きっと大腸のせいだ。


 絶対そうに決まってる。


 やっぱ大腸よね~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ