乙子ルート 第3日目④
④
「かわいくねーぬいぐるみだな、オイ。他のにしねーか? もっとかわいいのなんていくらでもあんじゃん」
「ダメ。あたしはあのぬいぐるみがいいの。それとも、取る自信がないからそんなこと言ってるの?」
こう言い出したら乙子は絶対に自分の意見を曲げない。
長年の経験で実証済みだ。
そうとなれば、オレがやるべき行動は一つ。
言葉ではなく、行動で納得させるしかない。
「で、その『ぬいぐるみキャプター貞君』さまだったら一体何回で取れるわけ?」
挑戦的な態度の乙子。
一回で、と大見得を切りたいところだけど、あの位置じゃ五回はやらないとダメだ。
オレのクールな頭脳は一瞬見ただけの情報量でそこまで深く理解する。
「五回だな」
「な~んだ、ぬいぐるみキャプターとやらも大したことないのね」
「なんでもいいから取れ、って言うんなら簡単だけどさ。狙ったぬいぐるみだけを取るってのはけっこう難しいんだぞ?」
オレが一体どれだけあの円盤にお布施をつぎこんできたことか……考えたくもない。
だって、「考えたら負けかな、って思ってる」から。
……って、どこのニートだよ、オレは。
「やってみるさ(推奨ボイス:池○秀一)!」
シ○アの中の人な。
そう言いながら、機械にコインを投入する。
クラ○ザーさん風に言えば、機械をコインでレイプ。
別にクラ○ザーさん風に言い換える必要ないけどな。
「中の人などいない! って、あたしは何に対してツッコミを……」
オレの心の声に反応するとは我が幼なじみとはいえ、あなどれん。あなどれんよ、乙子!
「……やるの?」
さっきまでの妄想のせいで乙子の言葉が妙に卑猥に聞こえた。
しかし、そんなことはおくびにも出さずにクールに答えるオレがいる。
「当然。ここで引き下がったら男がすたるってもんだ」
サイは投げられた。




