表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
65/104

65:だからこそ

コウヤの始めたマジホリの輪は、少しずつ拡がっていた。

65:だからこそ




『じゃ、私は鉱石出そっか』


『いいよいいよ、別にこれくらいタダで』


『いいの? レアアイテムなのに』


『レアって言っても、上から五番目のレア度だぜ。

俺が持ってても仕方ないモンだから、気にすんなよ』


『じゃあ、もらっちゃおうかな……』


コウヤがロビーチャットを使い、新規に始めたハナミ&ソノカに育成用アイテムを手渡していた。

そこに、見知らぬプレイヤー二人が現れる。


『初めまして!』


『あ、ども……』

『その名前、もしかしてコウヤか?』


ウスデとモジヤの魔獣使いと戦闘工兵コンビが、偶然コウヤ達と出くわす。

さらに……


『なんだ? こんな所でクラス会かよ』


もうひとり、先日ユウリに話しかけた男子、スズキも姿を現す。

コウヤにはそれが誰なのかは分からなかったが、クラスメイトには違いない。


『ようこそマジホリへ! 歓迎するぜ!』


嬉しそうに駆け寄るコウヤの聖騎士。

そこに、さらに人影が増える。


『久しぶり。お仲間が増えたようだな』


『あっ、倉庫さん!』


旅商人の「SOUKO1」、つまりは、キツネが情報収集用に使っているサブアカウントのキャラクターだ。


『新人が増えるのは大いに喜ばしい事だが、学校の事や本名なんかをここで書き込むのは良くないぞ』


『おっと、いけね、そうだったそうだった』


情報の整理がてら、チャットを楽しく覗き見していたキツネだったが、このままでは際限なくクラスの話をし始めそうだったため、見かねて物陰から出てきたのだ。


『はい、周りの君たちもよく聞くように!

このゲームには新人と見ると付け回してあんな事やこんな事をずーっと盗み聞きする、悪いストーカーがいるからね!

リアルの事は、ここでは書き込まないように! いいですかー おじさんとの約束だよ!』


『『『はーい』』』


そのストーカーとはお前じゃないのか、とコウヤも流石に苦笑するが、多くは語らないようにする。

こうして注意してくれると言う事は、悪い人間では無いのだろう。


そうそうしていると、ユウリとユウイもロビーに現れる。


『おや、今日は随分賑やかですね』


『おっ、ユウリと妹さんだな?』


『こらこら、だから、そういう事をここで言っちゃダメだって言ってるだろ』


『あ、そっか』


そうして、マヤとカナリの到着を待ってから、コウヤ達はベリーハードの攻略を開始する。

残った、ハナミ、ソノカ、ウスデ、モジヤ、スズキの五人も、ハナミの提案でパーティーを組む事になった。

レベルの差は大きいが、せっかくだからと言う事で、完全新人のスズキの育成に付き合う事にしたのだ。


『ところで君達、虚無の事は知っているのかな?』


そろそろ出発しようかというところに、SOUKO1が話しかける。


『うん。スレッドは見てるよ』


稀に見る珍事という事で、クラスでも多少話題になっている。

マジホリを始めようかと言うこの五人も当然、ある程度の事は既に知っている。


『なら、分かると思うが、このゲームは今、壊れかけている』


虚無の進行が止められず、インフェルノダンジョンの外まで出てきてしまうのだとしたら……

その時は、ゲーム自体が成り立たなくなってしまうのだろう。


『それでも、この古いゲームを、君達は今から始めようと言うのかね?

後悔はしないか?』


彼らに実感は無い。

それでも、どういう状況なのかは分かっている。


『もちろんだよ!』

『だからこそ、でしょうか』

『こんな機会滅多に無いでしょ……』

『ダチも助けてやりたいしなー』

『終わるかもしんないなら、今やるしか無いでしょ!』


キツネは、画面の外で微笑む。


終わるかも知れないゲーム。

だからこそ、野次馬気分で集まる。

それでいいじゃないか。

きっと、このゲームは彼らの記憶に残る。


もしも遠くない未来、マジホリRSが終わりを迎える事になったとしても……

きっと、彼らの思い出の中に、私達のRSは残ってくれる。


(おばさん、頑張らなきゃいけないわよね……)


彼らがこれからも楽しんでくれるのか、それとも儚い思い出として消えるのか、それは自分の頑張り次第。

今この時がもどかしい。


カノザキ氏の遺族からの連絡を待つしかない今、出来る事は……


『じゃ、おじさんはメインキャラに戻るよ。

そして、これを前途有望な若者たちにプレゼントしておこう。

さらばだ!』



心ばかりの軍資金を五人分床に落とし、キツネは五人の視界の外へと歩き去る。


そして、廃人勢の集う第一ルームの方へと操作を移す。



『時間が出来たから、こっち手伝うよ』


『おっ、こりゃ嬉しい援軍!』


町のど真ん中に棒立ちで放置状態だったキツネの忍者が、動いて喋りだす。

常にログインして放置しっぱなしの彼女が、ゲームを再開した合図だ。


キツネはムラマサ達にメッセージを飛ばし、虚無足止め部隊に加わる。




放置してもサーバーから落とされないというのも古いゲームだからって事にしとおこう……

動かなければサーバーに負担を掛ける訳でもないから、MOD開発者も対策しなかった、という感じで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ