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こんな所で野営になるとは予想外だった。
食事と睡眠が必要なのは遊海だけ。
一さんたちは夜目が効かなくなったが睡眠は必要ないらしい。
人と幽霊の間にいるような中途半端な状態になってるみたい。
サバンナって夜行性の動物がいる。
野営していていつ襲ってくるのかわかったもんじゃない。
そんな恐怖の状況でもおしっこは待ってくれない。
このテント内でするわけにはいかず外に出ることになる。
見渡す限りすべてが闇夜。
こんな怖ろしい環境の中でおしっこをしなければならない。
生理現象なので我慢できない。
お漏らしをするわけにもいけない。
たった1秒がブルッと震えるほどの時間。
こんな無防備の状態でいきなりガブッてやられたらと思うと背筋が冷たくなってくるおしっこタイムだ。
おしっこ後は慌ててテントの中に入った。
薄明かりだけど見えるってこととなんでもいいから周りを囲われてるってことだけで安心感がある。
遊海は横になった。
蛇敏知がマットのようなものを敷いてくれてるので地面の上にじかにってことはなかった。
蛇敏知以外はみんな横になっている。
一さんたちも疲れたのか?
「明日で階段が見つかりゃえぇんやけどな」
源五郎がボソッと言った。
誰に向かってだかわからなかったが応えたのは一さん。
「ほんにそうじゃ。
もう変な動物に追いかけられて走るのはこりごりじゃ」
「まったくですね。
なんやら見たこともない動物だらけでどないせ〜ちゅうこってすわ」
一さんと源五郎の会話に耳を傾けながら遊海だけが夕食になる。
カップ麺を持ってきてしまったがお湯がない。
諦めるかと思ってたら蛇敏知が木箱から竹筒を取り出して手渡してくれた。
また水分補給の水かなと受け取ってみるとかなり熱い。
お湯までもを出すことができるのかと驚愕するしかない。
本当に万能な木箱なんだ。
さらに追加でちらし寿司まで出してくれた。
食後はやることがなくなった。
スマホが使えなくてテレビもない。
本の1冊もない。
こうなると寝るしかない。
体力温存と回復のためにもだ。
どうも自分だけが足を引っ張ってるんじゃないかと思えてきた。
生身の人間はおそらく自分だけ。
遊海はゴロンっと横になった。
早く寝て早朝になってから北へ向かって進めということになる。
疲れすぎてるのか横になった遊海はウトウトし始めた。
そして寝息を立てるまでには時間がかからなかった。
一さんたちも横になっているが寝ているわけではない。
こうしてジッとしてれば体力というか気力も回復するようだ。
どちらにしてもやることがないのでジッとしてるしかなかった。
不思議なのは蛇敏知だ。
座っている。
それはいいのだが微動だにしない。
まるで電源の切れた機械であるかのようだ。
とにかくピクリとも動かなくなった。




