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【コロナEXにてコミカライズ連載開始】魔王城の絶品社食、作っているのは生贄です!  作者: 秋色mai @魔王城の社食コミカライズ開始!
二章

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40. 私はエリザベス


「私たちは西の国……であってるんだっけ? あ、あってるのね。西の国の魔王城の使者としてここに来たの」


 正直シリーズⅠのクリアまでしかやってないから自信がなくて、セシリオで確認する。そんな呆れなくていいじゃない。なりたくて外務担当になったわけじゃないのよ。


「皇帝陛下に謁見させてもらって、鎖国してる東の国に書簡を送ってもらうために」


 魔王城が人間に脅かされないよう、仕方なく。あと、セシリオに中華で釣られた。


「百面相やな」


 白露さんは特に驚いた様子はなかった。ただ静かに煙管を吹かしていた。


「……ほななんで龍黒会の下っ端をしばいたん?」

「そ、それは偶然っていうか、知ってるでしょ!?」


 料理にわざと虫を入れて、あまつさえ投げ飛ばしたんだから。しかもそれを被った私が正気でいられるはずもなく。殴り飛ばしちゃう条件が揃いすぎてた。けど、やらかしたのは事実。

 思い出して怒って反省する私を見て、こらえながらも笑いが漏れてる白露さんを、キッと睨む。


「ふっ……ふふっ……かんにん、許してや」


 どうやらおもしろいらしい。まあでも、あの雰囲気のままじゃないだけマシかしら。


「改めて、私はエリザベス。元々は貴族令嬢で王子の婚約者だったけど……聖女を虐めた主犯として断罪されて……魔王への生贄にされた……とにかく魔王城の食堂係よ!」


 自分で言っといてなんだけど、変な経歴。あとなにか紹介できることあったかしら。


「えーっと、家族は……父と母と養子の従弟がいたわ。婚約破棄された時点で家族されたから、今はいないけど」

「……初耳ですが?」

「あれ、セシリオに言ってなかった?」


 なんなら前世も家族はいない。父は再婚して、腹違いの弟が生まれて、家にいづらかったから、ずっと一人暮らししてきた。


「でも、魔王城の社食が家みたいなものよ。ちょっと生死に怯えてはいたけど、充実した日々を送ってきた」


 今は寮暮らしだけど、働いて、休みの日はジュリエットやバジリスクとお茶して、新しいメニューを考えて、前世よりも令嬢時代よりも楽しい毎日を過ごしてる。あとは……。


「好きな食べ物はオムライスとカステラ」


 ふわふわでとろとろなやつが好き。カステラはスキレットで作るやつ……と、ここでもう何も浮かばない。プロフィール帳とか流行ってたけど、途中からグループからはぶかれて空気扱いだったから、もう内容とか覚えてない……。

 と、ここで奥で紅玉と一緒にいたジョンが出てくる。こういう時にじっとしてられないやつだから。


「オイラはねー! ジョン!」

「……知ってるわよ」

「家族とかよくわかんないけど、エリザベス様の下僕!」

「カレーを床にぶちまけて踏んづけた罪でね」


 私はまだ許してないからね。罪を憎んで人を憎まず。されど許すとは言ってない。

 不穏な空気を感じ取ったのか、ジョンは明るく骨を叩く。


「オ、オイラはねー! エリザベス様の作るやつ全部好き!!」

「ぐっ!」


 反射的に嬉しいと思ってしまう自分のチョロさが憎い。こいつはただの食いしん坊なのに。

 ジョンのツルツルでちょっと汚い、ちいさな一本角の生えた頭をぐりぐり撫でた。ジョンがきゃあきゃあ言ってるけど聞こえない。白露さんはその様子を見て、小さく息をついた。流れを察したのか、セシリオも口を開く。


「……はぁ。私は」

「ああっと、あんたはええよ。もう、ええよ」


 白露さんが立ちあがる。


「なぁ、ボクを信じることはできる?」


 怪しいとは思ってる。けど、だからと言って、信じずに、本人に伝えるのは違うと思う。


「ええ、信じるわ」

「ちょっ、これだから貴女は!」

「いいから黙ってて!」


 白露さんは紅玉の元に行き、片膝をついて視線を合わせ、紅玉の札に手をかざした。ブツブツと何かの術が聞こえてくる。淡い光と共に漢字が浮き出てきて、紅玉の胸元に入っていく。


「これでヨシ」


 浮かんだ文字はすべて消え。立ったままだった紅玉がすとんと座る。珠が、光らなくなった。

 白露さんはこっちを振り向いて語る。


「落ち着いて聞いてや。内通者は、この子ぉや」


「今日ボクがきたのは、この子ぉの術を惑わしの術で上書きするため」


「あんたたちみたいに全ては言えへん。言うたらあんたたちは必ず止める。ほんでも、ボクはやらなあかんことある」


 紅玉が内通者? 惑わしの術? やらなきゃいけないこと?


「あんたたちが龍黒会に接触する……ここの事情を引っ掻き回すこと、ボクは望んでるさかい」


 ……どういう、こと?


 次回は明日のお昼更新です。リアクション、コメント、ブクマなど励みになります。

 追記 今日は夕方にさせてください。

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― 新着の感想 ―
シリアスが続くと落差のずっこけを期待してしまう… とりあえず冷やし中華(ごーまーだーれー)してきましゅ
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