第42話 まだまだこれから
俺はミルキーを連れて自宅へと帰った
「わあああああああ!すごーーーい!!こんなに高い所に来たのは初めてじゃ!!」
ミルキーは高層マンションの上から街を見下ろす
ミルキーは深海にしか住んだことがないから新鮮なのかはしゃいで楽しんでいる
「気に入ってくれてよかったよ。」
「地上にはこんなにもたくさん人がいるんじゃな。」
「今は夜だから少ない方だよ。お昼ごろになるともっとたくさんの人々が歩いているよ。」
「人間はそんなにたくさんいるのか!?」
「83億人いるよ。」
「ひえええええ。繁殖しすぎじゃないか?食料が足りんくなるぞ!」
「確かに増えすぎかもね。日本は少子化だけど。」
「少子化?」
「年々人が減ってるってことだよ。」
「多すぎるからいいんじゃないか?」
「そうかもしれないね。お風呂に入る?」
「お風呂って何?」
「そうか。深海にお風呂なんかあるわけないよな。お湯で体を洗うんだよ。使い方教えてあげるよ。」
俺はミルキーをお風呂に案内して使い方を説明した
蛇口を回すとお湯が出るだけでミルキーは大はしゃぎをして喜ぶから愛らしいなと思い眺めていた
ミルキーがお風呂入って出てくると人間ではなく人魚になっていた
「はあああああああ。気持ち良かったああああああ。お風呂は最高じゃの!!足は疲れたからヒレでゆっくり休めたわい!!」
とバスローブを着て人魚状態でビタンビタンと魚が跳ねるように動いている
「歩くのは大変なのかい?」
「まだ慣れないの。人魚の姿の方が落ち着くわい。」
「じゃあ明日はプールを貸し切りにして泳ぎに行くかい?」
「うーむ…いややめておく。せっかく人間になれたから歩く練習がしたいの!」
「フフッ。ミルキーは努力家だね。」
「そうじゃろう!?」
「じゃあ明日はミルキーが気に入った服や靴を買いに行こう。」
「ショッピングじゃな!ショッピングデート!!」
「そうだね。」
「わーい!!楽しみ!!」
「でもミルキー。俺は今の仕事を辞めたらこんないい場所にも住めなくなるし、贅沢もさせられなくなる。」
「仕事?」
「俺の仕事はステージで歌ったり踊ったりするんだ。それを辞めないといけない。」
「どうして!?ステージで歌って踊るルイ君はすっごくすっごくかっこよかったのに!!」
「ずっと辞めたいと思っていたんだ。ミルキーと恋人になって辞める決意が出来た。」
「えええ!?なんで!?」
「仕事よりミルキーが大事だから。」
「え…嬉しい♡」
「仕事を辞めるとお金がなくなる。こんないいお家にも美味しいものも食べられなくなるかもしれない。」
「えぇ!?」
「仕事を辞めた俺は何の価値もない。学歴もないし社会で生きていくのは難しいと思う。貧乏になってしまうと思う。それでも俺と一緒にいてくれるか?」
「うぅ〜ん…。妾は歌って踊るルイ君が大好きだよ?辞めなくてもいいんじゃないか?」
「ただの桜井瑠衣には興味ない?」
「そうではない!!ルイ君はいつでもどこでもかっこいいし大好きじゃ!!でも…歌って踊るルイ君がかっこよすぎて…もったいないなーって。」
「金儲けの道具としてしか使われていないようで嫌なんだ。人を楽しませる為にやっていたはずなのに…好きでいてくれるほどお金を落として破産していくファン達を見て俺は何の為にやっているのかわからなくなって…」
「じゃあ私の為に歌って踊ればいいよ。」
「ミルキーは俺に歌って踊って欲しいのか?」
「うん!だって〜歌って踊るルイ君は宇宙一かっこいいからのぉ!!」
「そっか…ミルキーがそう言うならもう少しだけ仕事やってみようかな。」
「うんうん!そうしろ!!」
「でも…仕事をしていると恋人がいるとバレると大変なことになるんだ。」
「え!?なんでしゃ!?」
「俺のことを大好きで応援してくれている女の子に俺はミルキーが恋人で特別な女の子だと知られたら悲しむだろう?」
「な…なるほど…」
「人を魅了している職業だから恋人がいると知られたら仕事を辞めないといけないかもしれない。」
「妾達の恋を妬む輩がおるというわけじゃな!」
「まぁそうだね。」
「ふむ!わかった!じゃあ妾達の恋は内緒の恋ってことだな!」
「そんなこと出来るの?ミルキー。」
「妾の口は固いんじゃぞ!?歌って踊るルイ君をもっと見たいから内緒の恋ぐらい出来る!!」
「ちょっと不安だけど…ミルキーがそう言うならもう少しだけ仕事続けようかな。」
「うんうん!ルイ君が仕事で悩んでいるなら妾がばしーーっと悩み解決してやるからのぉ!人間なんてちょっと噛んで洗脳させたら簡単に言うこと聞くからのお!!」
「凄い!ミルキー!頼もしいよ!!」
「そうだろう!?そうだろう!?仕事で困ったら妾に相談するがよい!」
「本当?楠社長はやりたくない仕事もたくさん入れてくるんだ。バラエティもグラビアも俳優もやりたくないのに…若いから経験だとか、仕事が入る内が華だからとか言って全部仕事に入れるんだ。俺はアイドルとして歌って踊ることしか出来ないのに…ミルキーなんとかしてくれる?」
「ルイ君の頼みなら何でもするよ!楠社長を黙らせればいいんじゃな!?」
「あと先輩アイドルの後藤さんにもいびられていて嫌なんだ。元のアイドルグループは俺のせいで解散したとか。他のメンバーが可哀想だとか。実力差が出てしまったのは仕方ないことなのに…」
「ひどい先輩じゃ!!妾が成敗してやろう!!」
俺は職場の愚痴をミルキーに垂れ流して話すのを聞いてくれた
ミルキーは俺のことを全部肯定してうんうんと頷いてよく聞いてくれた
話し疲れて俺達はベッドで眠った
次の日の朝、インターンが鳴りマネージャーが部屋に入ってきた
「おはようございます。今後の仕事について話し合いをしに来ました。」
「よく来たな!マネージャー!貴様に話がある!」
「…なんでしょうか。」
「ルイ君を働かせるなら条件がある!!妾との交際を認めること。ルイ君が嫌だと言った仕事は受けないこと。ルイ君をいじめないこと。週に2回は休日を取ること。夜の10時には家に帰れるようにすること。体調が悪い時は休みにさせること。ファンと直接会うイベントはやらないこと。休日に鬼電話しないこと。セロリが大嫌いだから差し入れに入れないこと!!これらの条件を破ればお前らの事務所を爆破して別の事務所に移籍する!!わかったか!?」
「えぇ…」
マネージャーが怒涛の無茶な条件にドン引きしていた
思うがままに昨日の愚痴を条件としてマネージャーに言っているミルキーが面白くて傍観していた
「ルイ。人魚が味方になったからって我儘放題言うのは辞めなさい。」
「俺は本気だよ。全ての条件を飲まなければ事務所を爆破させよう。なぁ?ミルキー。」
「ルイ君の言う通りにしろ!」
「殺すと脅されても全ての条件を飲むわけにはいきません。真面目に話し合いしますよ。ルイ。」
軽くあしらわれてしまった
昨日、ミルキーが警察達を殺そうとしていた現場を見ていたはずなのに怯えることなく淡々と話している
芸能界で生きてきた人は肝が座ってる
「死ぬかもしれないのに冷静ですね。」
「こんなことに怯えていたら芸能界で生きていけませんからね。」
淡々と冷静にマネージャーは今後の仕事について話し合いをした
仕事はある程度選べてセーブもしてもらえて
ミルキーとの交際は黙認という形で仕事を続けることになった
「これからもよろしくお願いしますよ。貴方は最高のスーパースターアイドルですから。全世界を魅了出来る逸材です。まだまだこれからですよ。ルイ。」
そう言って不敵に笑いマネージャーは帰った
まだまだこれからか…
純粋に嬉しいな
もう少しだけ頑張ってみよう
ミルキーにももっとかっこいいところも見せたいからな




