第七話 「想像もつかなかった展開」
「いや~~ まさか、
こんな展開になるとは想像もつきませんでした。」
「そうですね。
両者ともに力を出し切った結果なのでしょうが。」
実況席の二人が想像もつかなかった
紅南高校vs神明高校の決勝戦
電光掲示板には
0 - 15
の数字が刻まれていた。
勝敗を分けたのは、
決勝戦特有の場の雰囲気や緊張感からくるものではなかった。
それは紅南高校の宗監督と
キャプテン今井のインタビューから分かる。
「宗監督、今のお気持ちをお聞かせください。」
「今の気持ちと言われましても、
うちは出せるだけのものはすべて出したつもりです。
ご存知でしょう、
打倒 神明 を掲げて
冬の打撃改造にも徹底的に取り組んできた。
その結果、この決勝戦まで勝ち上がって
神明さん相手に戦うことができた。
結果については、
すべて力の差です。
打撃には自信はありましたが、
新幡君の速球と制球に手も足も出なかった。
また、神明打線の総合力の高さ。
警戒していた阪堂君はもちろん、
一番の・・・矢羽君でしたっけ。まさに秘密兵器でしたね。
この春は完敗です。夏には雪辱を晴らしたいと思います。」
「今井キャプテン、この試合を振り返っていかがでしたか?」
「今年ならと自信を持っていただけに悔しいです。
磨いてきたバッティングで
決勝戦で貢献できなかったことも、
ただただ悔しいです。完敗です。
気持ちだけでは神明相手に勝てない
ということを身をもって知りました。
夏こそは、俺たちの意地を見せたいです。」
「この二人のコメントから悔しさが伝わってきます。
ただ、点差が点差だけに宗監督もおっしゃっていました。
力の差と言わざるを得ないのでしょうか。」
と健児アナが試合の総括を視聴者に問いかけたところで、続けて
「しかし、神明の昭監督のサプライズ起用ズバリでした。
さすがは名将です。
矢羽一輝、本試合四打数二安打一本塁打一四球、二盗塁
しかも三安打のうち一本目はライトフェンス直撃の二塁打
二本目がバックスクリーンへ本塁打という抜群の成績でした。
まさにスーパールーキーとして注目されることは間違いないでしょう。
センバツ甲子園でも目が離せません。」と一輝を評した。
俊樹も
「はい、大注目ですね。とても楽しみです。」
俊樹が健児アナと共感したところで、
健児アナが一輝の活躍について探ろうとする。
「俊樹さん、
矢羽選手はこの決勝戦でいきなり先発を果たし、
これ以上にない結果を出したわけですが、
その要因はいったいどこにあると思いますか。
要因ですか?
それはですね・・・・