第六話 「サプライズ起用」
解説席を始め
球場の観客
応援する部員
そして紅南高校ナインと宗監督。
自陣も含め、一輝のスタメン起用に会場全体がどよめいた。
神明高校のスターディングオーダーが電光掲示板に全員発表された後も、
どよめきとざわめきは止まない。
背番号十八をつけた一輝はベンチ前で四番の虎と素振りをしていた。
スタンドが一輝の素振りに注目する。
特に目を輝かせて注目する
紅南高校の宗監督と
解説席の梅澤俊樹と
スタンドから見守る一人の女子マネージャー。
Mr.TYTこと健児アナウンサーが
「この決勝という舞台でスタメン起用。
ここまでは代打出場のみだったはずが、何というサプライズ起用でしょうか。
全国でも五本の指には入る今、最も有名な名将昭監督。
甲子園でも勝つための采配をしてきましたが、
一体全体このサプライズ起用にどんな狙いがあるというのでしょうか。」
すると梅澤俊樹が
「私にはこのサプライズ起用、分かるような気がします。」
「はい?今何と?」
「これはあくまで私のこれまでの経験則による勘とでも言うんでしょうか、
おそらく矢羽一輝をスタメンに起用したこのオーダーこそ、
試合前に昭監督が自信をのぞかせていた理由ではないかと。」
「それは、つまり、
これはサプライズ起用なんかではなく、
真のスタメンだということでしょうか。」
「ええ。まぁ、私の勘が正しいかどうかは
試合が終わってみないと分かりませんが。」
笑みを見せる梅澤俊樹の隣で、健児アナウンサーは
「この決勝戦、何が起こるか解説席の私たちにも全く分かりません。」
と言い切った。
そして
十二の時刻
審判の プレイボール とともに
決勝開戦のサイレンが鳴った。




