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「私ハ、疑問だった。あの時、陛下と私の乗った脱出艇は何とかロイヤル・オブリージュから脱出しワープ装置を起動させた。だが、脱出艇は細工がされており、ワープ装置が暴走。陛下と私は、見知らぬ場所へと飛ばされた。陛下は、ここまでかと思われていたが、一向に追っ手は来なかった。陛下は、まだ生きていたのにも関わらずだ」

 サスケの独白は続く。

「私は、再びこの時代に飛び、諸君らの艦隊を見た時に気付いたのだ。何故追っ手が現れなかったのか。それは未来の私、この私が、囮となり追っ手を引き付けていたからだと、陛下に代わり、礼を言おう」

「それで陛下は助かったのか?」

「陛下は最後まで脱出艇の中で過ごされた」

『助かってないじゃないか!馬鹿野郎!どこだ!陛下は今何処にいらっしゃる!』

「それは、教える事は出来ない」

『今はその事より、こちらに向かってるクーデター軍の対処が先だ!今ここで死ねば陛下を助けるも何も無い!』

 会議室内には一気に、混沌とした。誰も彼も好き勝手喋り、自身の案を喋る。誰が聞いているのかが問題ではない。言いたいことを言っているだけに過ぎない。これでは会議と呼べる物ではない。


 混乱しだした艦長達を、クレハは立ち上がって一喝した。

「黙りなさい!今は陛下の事より、今私達が生き残る事を考えなさい!」

 クレハが一喝した瞬間、会議室が瞬時に静まり返った。視線がクレハへと集まる。それをクレハは正面から受け止め言い放つ。

「確かに、敵が向かって来ているのでしょう。艦の長たるあなた達がおたおたしてたらまとまる物もまとまりません!今すべきは、女王陛下の救出ではありません!我々が生き残る事です。サスケが言っていたでしょう!この艦隊が囮になったから生き延びることが出来たと。つまりそれは女王陛下には時間があるという事、ならば時間が無い我々の方が優先順位が高いのは当然でしょう!女王陛下の救出は、私達が行き残った後でも出来ます!」

『陛下…』

 クレハを一番偽者だといっていた男が思わず呟く。彼は一際モミジ女王へと崇敬の念が高く。女王の子孫を名乗るクレハをただの詐欺師にしか見えなかった。だが、多くの軍人を前にし 啖呵を切る姿に、彼の敬愛する女王の姿を見た。

「サスケ、あんたが、ただ考えもなしに囮になった訳じゃないんでしょう?言いなさい。私達が助かる策を!」

「察しが良いな」

「何が何でも生き残るって言ってる貴方が、過去の陛下を助けるためだからと自ら死ぬ様なことするわけ無いじゃない。何があっても生き延びようとするのがあんたでしょ。早く説明しなさい!後、貴方達は、サスケの話が全部終わるまで黙ってなさい。分かったわね!」

『『「はっ!」』』

「分かった。敵の目的は…」



 サスケが説明を終えると、目の前の艦長たちは感心したように、頷いた。

「なるほど、それならば、我々が生き残る出来る事が出来るかもしれないな」

『いいぜ。俺はこういう作戦は嫌いじゃない。むしろ好きなほうだ』

『クゥ。不埒者に鉄槌を下せないのが気に入らんが、仕方が無い。それ以外の打てそうな手が思いつかん』

「意見がまとまったようだな。では諸君。取り掛かろう。まずは生き延びる為に…」


 全員が一斉に立ち上がり、クレハに向けて靴を鳴らして敬礼した。半透明だった艦長達の姿が消える。残ったのは元々この間に居たブルーノ艦長だけだ。

「お見事でした。最後の一喝などまるで陛下が目の前に居られるかの様でした」

「止めて下さい。そんな丁寧な話し方をするのは。貴方も私のご先祖様なんですよ?」

 クレハは顔を恥ずかしそうに赤らめた。

「ははは、そうでしたな。よろしければ、貴方のご両親の画像を見せていただけませんかな?」

「申し訳ありませいいですよ。サスケお父様の写真を出せる?」

「可能だ」

 サスケは、先ほどの画面に今度はクレハの父親ゼドの画像を表示する。

「ブッ!」

 その画像を見た瞬間、思わずクレハは噴出した。

 サスケが表示したのは、クロードロン邸にガラドXが突撃した時の画像だった。顔を真っ赤にした憤怒の表情。体には大量のマシンブラスター用のエネルギーパックを撒きつけ、手にはマシンブラスターを手にして、こちらを睨んでいる。

 表示したディスプレイが大型だった事もあり、ただでさえ迫力がある画像がさらにパワーアップしている。。

「…」

 そんな自身の子孫の姿を見てブルーノ艦長は、固まってしまった。

「何もそんな写真を出さなくてもいいじゃない!普通にしてる時の」

「娘の為に命を張る覚悟のある父親だという事が、良くわかるいい画像じゃないか」

「私が誘拐された時って説明入れないと、頭の可笑しな人に見えるじゃない!あのね!ブルーノ艦長この時のお父様はね…」

 クレハは必死に自分の父親がちゃんとした親である事を説明した。





第278艦隊旗艦 戦艦フォトム・ロック 艦橋

「ワープアウトまであと3分!」

 艦橋に航法士の声が響く。戦争は終わったというのにクルーの表情は硬い。その理由は明白だ。彼らは今から、何の罪も無い味方を殺しに行くのだから

 彼らはウィリアム公貴下の艦隊だった。現在は、モミジ女王と一緒に逃走しているはずのボットに対する問い合わせがあった落伍艦隊へと向けてワープ中だった。

「よろしいのですか?このような事を…。これは罪です」

 ワイアット副長は、艦長席に座るトロト艦長へ聞いた。

「ウィリアム公…いや、ウィリアム陛下の為にも、これは成し遂げなければならんのだ」

「ですが、味方を殺すのは…。陛下だけを確保するわけには行かないのですか艦長?」

「戦場では常に最悪を考えろ。すでにモミジ陛下の目が覚め、状況を伝えているかもしれん。ならば、それを広められる前に殲滅してしまうのが一番だ。その場所に集結している艦艇の数は幾つだ?」

「不明です。先の戦いで落伍した艦の集まりですから戦闘で損傷した艦が次から次へと集まってきていますので、総数までは…。ですが大抵の艦は戦闘が不能と判断された艦が大半だと思われます。多少修理されていたとしても、大した反撃は出来ないでしょう」

「彼らの犠牲は忘れはせん。それがせめて命を奪う私達に出来るせめてもの事だ」

「ワープアウトします!」


 その瞬間軽い衝撃が艦体を振るわせる。

 ワープアウトしたからと言ってすぐ目の前に標的が居るという事は無い。ワープは超長距離の移動を短時間で行う事が出来るが、その移動距離が長ければ長いほど、到着地点に誤差が出る。


 艦隊での移動でもワープする時は、ワープアウト時に衝突しないように、安全距離を取ってワープする事が義務付けられている。

 その為ワープアウト直後の艦隊は、まばらに散っており、その後には隊列を組みなおさなければならない。

「手はずどおり、護衛の艦隊だと説明して、絶対に当たる距離まで接近しろ。優雅にな」

 隊列を組み終えると、第278艦隊は、落伍した艦が集結している場所へと向かった

「対象と思われる艦隊を発見。ちょっと、聞いていた座標と違いますね」

 レーダー管制官が言う。

「対象は損傷した艦の集まりだ。流れたんだろう。では通信士、相手に通信を要請しろ」

「了解」

「こちらトルーデ軍第278艦隊旗艦 戦艦フォトム・ロック。フェルニダード応答せよ!こちらトルーデ軍第278艦隊旗艦 戦艦フォトム・ロック」

『こちらフェルニダード。戦艦フォトム・ロック感度良好。ウィリアム公の艦隊が一体何の御用でしょうか?貴方方が来るとは聞いておりませんが?』

「我々はウィリアム公の命令で、貴君らの護衛に来たのだ」

(ふむ。まだ我々が、クーデターを起こした事には気付いていない?という事は、モミジ陛下が気を失っている可能性が高いか?まぁ)

『護衛?もう戦闘は終了しているはずでは?』

「そうなのだが、一部の地球連邦の残党が停戦命令を無視して、未だに我らに戦闘を仕掛けて来ているそうなのだ。敵は少数とはいえ、損傷している貴君らの艦では危ない。そう考えたウィリアム公の采配により我らが護衛として来たのだ」

『そうなのですか。了解しました。では、護衛のほうよろしくお願いします。こちらは、損傷艦の取りまとめや修理救助で大忙しですから…』

「そちらは安心して作業を続けてくれ以上」

 そういうと、フォトム・ロックの艦長は通信を切った。

「で、どうだ?」

「IFF確認。戦艦フェルニダードに間違いありません」

 整然と並べられた状態でバチバチと点滅する光の見える艦隊と、まるでぶちまけたおもちゃのように適当に浮いていた艦隊の二つに分かれていた。

 光が点滅しているのは、どうやら外に出たメンテナンスボットによる溶接作業の光だ。

「片方は、現在修理、再編中の艦ですね。もう片方は、修理不能と判断された艦を適当にとめたものでしょうか?」

「だろうな。下手に近くにおいていて爆発したら目も当てられんからな」

「射程範囲内に入りました」

 砲術長から、報告が入る・

「修理中の艦隊と放棄された艦隊がありますが、両方とも攻撃するので?」

「もちろんだ。我々が敵である事を考え、あちらが本命の艦隊の可能性があるからな。全艦砲撃戦用意!目標!前方の艦隊!一隻足りと逃すな!」

「くっ!全艦砲撃戦用意!」

「てぇ!」

 艦長の声にあわせて、艦隊各艦から主砲が一斉に発射され、それが、無防備に修理していた艦隊へと突き刺さる。無数の艦が爆散、その衝撃できちんと並んでいた艦隊の列が乱れる。

「対象の艦隊から通信要請!」

「無視しろ」

「りょ了解!」

 その直後、修理していた艦隊からビーム砲が発射された。しかし、それはジェネレーターの出力が足りないのか、やすやすと攻撃した艦のシールドに防がれる。

 か弱い反撃だ。

 これは戦いではなくただの蹂躙だ。ブリッジクルーの心の内は暗い。

(例えこの攻撃で生き残りが居たとしても艦が無ければ生き残る事は出来ん)

 フォトム・ロックは、一人平然とした様子の演技をしながら外を見る。

「フェルニダードのIFF消失しました。対象の艦隊の全滅を確認…」

 レーダー管制官が疲れた声で言う。

「戦闘終了。警戒態勢に移行する。動く人工物があった場合、即時に知らせよ」

 それから、5時間何も動きが無いか待った。

「全艦帰還する。なおこの戦闘は、一切の記録に残す事を禁じ、口外する事も禁じる。口外した場合一族郎党命が無いものと思え。変わりに職らにはウィリアム陛下の治世にい置いて厚遇されるであろう。以上だ」

 艦長が戦闘終了を宣言すると、艦隊は、何事も無かったかのように静かに去っていった。

 その宙域に残されたのは、哀れな艦の残骸だけだった。

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