六話 ワタツミ対凪・颯の戦いを見る爽視点
「凪! 先にどうだ!?」
声がでかい灰色男が大鎌男にどっちが先に戦うか聞いてきたが……正直、俺としては早くやれって感じだ。
「じゃあ……僕が行くかな……」
大鎌の男が一歩、自信無さそうに神様に近付く。さっきの斧を持ったキッズよりはマシに戦って欲しいがな。
「ほぅ……次はお主かのう」
神は紺色髪の男と同様に大鎌を左手で構える。
左手……? もう一度、紺色髪の男の方を見ると、そいつは左手で大鎌を持っていた。
「なるほど……利き手に合わせてやってくれるのか……しょうもない気遣いだな」
「本気で攻撃しに来て良いぞい。わしは簡単に死なんからのう!」
「……行きます」
紺色髪の男が神様に向かって飛び出した。
「遅いのう」
「うっ……」
連続で紺色髪の男が攻撃を仕掛けるも、全く当たらない。
それどころか背中に一回斬られたし。
「まだまだいくぞい……ん?」
神様が急に言葉を止めた。相手は武器を手放した。
何だ? あいつ……大鎌から手を離したぞ。諦めたのか?
「もしや降参するつもりかのう?」
「はい……」
さっきまでの奴よりはマシだが……こいつも弱すぎるな。
「分かった。お主も回復させてやるぞい」
紺色髪の男の傷が消えていく。
やっぱしょうもないな。せめて最後のうるさい奴くらいはマシな戦いをして欲しいものだが。
「最後は……ブーメランかのう」
「ブーメランだと!?」
確かにあいつ……右手にL字の物を持っているが……大丈夫なのかこいつ。
「あの……!! 本当に神様に攻撃して宜しいのですか!?」
その声は怯えと驚きに満ちていて、俺は笑いを堪え始める。
「神をなめるでないぞ。本気で来るのじゃ」
「……分かりました。お願いします!」
そして戦いが始まった。灰色髪の男がブーメランを投げたが、狙いが外れて曲がっただけじゃなく、自分に跳ね返ってきた。
「あいた!!」
「は……!?」
おいおい……自分で投げたブーメランが自分に当たるとは。
見事な自滅っぷりで、俺は吹き出して笑いそうになった。
「いた……い!! さすが神様……!」
いや、神は何もしてねぇよ。
「これならどうだ……!!」
あいつ、二つ目のブーメランを隠し持っていたのか……!
一瞬わずかな期待をしたが、同じ結果だった。
「あいたっ!!」
「これで五人の今の強さを試すのは終わりじゃ」
神様が急に宣言して、試しのバトルはあっさり終了した。
なんじゃこの三人……弱いってか面白いな……
「使った武器はさっきの部屋に戻しておくのじゃぞ」
◆
俺以外の四人が武器を部屋に戻し、オレンジ色の通路を歩き始める。
「お主ら、部屋に着いたらこの世界のことについて少し聞いてもらうぞい。話をした後、一日ここに泊まって次の日で旅立つのじゃ」
一日泊まる……!?
俺は嫌な予感がした。今日は外の女の子に会えないという予感が。
「えぇ〜……なんかぁ〜……女の子いなくて俺つらくてぇ〜……女の子に会いたくてぇ〜……神様ぁ……ここに女の子はいないんですかぁ……! いなかったら女の子を召喚して欲しいんですけど……!」
俺は誠心誠意を持って神にそう頼み込んだ。
「五人で話しとれ」
「えぇー……く……くそがぁぁ……!!」
酷い神様だと思った。俺の前に女子がいると言うシチュエーションを作らせないとは。
「どんだけ女好きなんだ!」
「あぁそうだよ!」
「お前は本当に女の子じゃないのか?」
さっきの斧潰れ野郎が、まだ女っぽい顔の男に惑わされていた。
「本当に男です……」
「そうなのか……と言うかお前は気付いていたのか?」
斧潰れ野郎が俺に聞いてきた。女子に会えなくてイライラしているってときに。
「俺か? そりゃあ見れば分かったが……」
「見れば分かったのか……」
「そんなことよりマジで女の子召喚ダメですか神様!?」
「明日まで我慢じゃ」
なぜだ……なぜ女子に会えない……! 俺は女子に会えないと気分が上がらないってのに!
「くそー……おぉん!」
俺は悲しみのあまり、恐らく生まれて初めての変な叫びを上げてしまった。




