付き合ってるとは程遠いよ
第八十二章~久作くんとレイコちゃんはどうやら公認カップルらしくの巻
主に須賀恭介{すが・きょうすけ}くんメインで会話していると、終業のチャイムが鳴った。
スマホを見ると十五時を少し過ぎていた。
「あれー? 結局、速川久作{はやかわ・きゅうさく}来なかったなー」
「きっとレイコくんの寝姿でも眺めているんだろうさ」
久作くんとレイコちゃんはどうやら公認カップルらしく、先日思った仲の良さを須賀くんとアヤちゃんの二人が裏付ける。
「そー言う須賀恭介はさ、リカちゃんの相手しなくていいのかな? ひひひ」
「俺らはそう言う関係ではないと、何度も言わせないでくれ、アヤくん。良きクラスメイトとしてリカくんを尊敬しているだけさ」
「とか言ってるしー! あはは!」
畜生、と思わず声になりそうだった。大学になってやっと女性友達がゼミで二人ほど出来た程度の僕の、灰色の高校生時代とは雲泥の差である。インテリだから? 二枚目だから? 僕だってそこそこ、の下くらいなんだけど、とか何とか。
「なんだ、須賀くんはそのリカって子とお付き合いしてるのか」
「いや違う――」
「そだよー!」
須賀くんの科白をアヤちゃんが上書きする。
「……いや、どっちなのさ?」
ミサキ氏が尋ねる、が、
「だから俺とリカくんは――」
「ラブラブカップルだぜ!」
どうやら須賀くんはこの手の話題が苦手らしく、逆にアヤちゃんは得意なのだと分かる。
猫背なので気付かないが背も高く、バサバサの髪もいかにもといった風だし、何と言っても鋭い眼光、改めて見るまでもなく須賀くんは二枚目だった。ブレザーがよれよれなのも彼らしく見えるというもの。
昨今は清潔男子がウケると聞いて、そういう風に気を使っている僕とはまるで正反対だ。そして結果が伴っていないのも同じくである。
「そう言うアヤちゃんはさ、彼氏とかいるんだろう?」
「ラブレターは山ほどくるけどさ、殆どは冷やかしだよ? きっとアメリカン・ハーフってことで目立ってるんじゃないかな? 目の色以外はあたし、東洋系なのにねー」
「おいおい、アヤくん。それでは方城{ほうじょう}が浮かばれないというものだ」
方城護{ほうじょう・まもる}くんはバスケ部エースで、痩躯の須賀くんとは対照的な筋肉質の大柄・二枚目で、先日少し話した。須賀くんの口ぶりだとどうやらアヤちゃんと良い仲らしい、が……。
「だってさ、方城護てば、バスケしかしてねーもん。たまに、たまーに食事行くくらいだし、学校ではいっつも寝てるし。付き合ってるとは程遠いよ」
アヤちゃん。それはノロケと言うんですよ、とは思うだけ。
僕ならこんな可愛らしい彼女がいたら、ストーカーライクですから、ええ。




