必殺のぉ! ダリル一撃ぃぃ!
第六十七章~ダリル・リボルバーの弾頭には樹脂で包まれた聖水が入っていての巻
モーニングセットのトーストを齧りつつ、大道少尉は立ち上がる。
「アホの鳩羽よ。確かに貴様の闘いは効率的だ。しかぁし!」
コーヒーをぐいと一口、続ける。
「盛り上がらぬのだ! 貴様の拳銃は!」
「……はぁ? 五十口径のヘビーバレル・リボルバーを二挺だぞ? こんなにド派手なガンアクションあるかよ!」
「まず! 技名を名乗る! これぞ盛り上がるアクションの基本ぞ!」
「てめ、だったらこうしてやる!」
ダリル・リボルバーを抜き放って大道少尉に向け、そして、
「必殺のぉ! ダリル一撃ぃぃ!」
何に驚いたかと言えば、ミサキ氏が本当にトリガーを引いたことである。
「……ふん、まあ及第点と言ったところか」
どうして大道少尉が平気なのかというと、左手用のダリル・リボルバーの弾頭には樹脂で包まれた聖水が入っていて、タロン以外にはほぼ無害だからである。それでも大口径なので普通なら吹き飛ぶのだが、先の女性店員のように。
「ったく、拳銃使いが技名叫ぶとか、映画でも漫画でも見たことないっつーの」
不満たらたらなミサキ氏と何故か満悦な大道少尉。
「すいませーん、シュゼット風クレープいちごソース、まだですかぁー」
カウンターに見え隠れする店員にミサキ氏は言うが、それどころでもないだろうに、僕はフォローする。
「あちらの女性でしたら気絶しているだけなので安心して下さい! タロ……怪物はもう退治しましたから、ええ」
通じたかどうか不明だったが、かなり遅れていちごたっぷりのクレープが運ばれてきた。
「じ、事情は良く分かりませんが、これ、そちらの方も、ご馳走しますので……」
「え? ホントに? ラッキー! 食費が浮いたぜ!」
跳ねそうに喜ぶミサキ氏はクレープをナイフで切って一口、ぱくり。
「んん! 美味!」
ダリルとベッセルの弾丸費用の方が遥かに上だろうに、とは思うだけで言わず、タダになったペプシを飲む僕だった。




