制服姿
第三十三章~デルタフォースの巻
大道探偵事務所に到着したミニパト。
「はい、邪魔しますよー。てここ、案外広い事務所なのね?」
葉月巧{はづき・たくみ}巡査は頭をくるくる回して見渡す。
一方の前村歩{まえむら・あゆむ}巡査部長は、
「お邪魔します」
と、ポツリといった様子だった。
着替える時間がなかったので二人とも制服姿のままだった。
「葉月よ。ほれ、吾輩からのおごりである。気のすむまま飲むがよい」
「ああ、巧だから、タクミンでいいわよ。あだ名なの」
「前村巡査はサワー辺りか?」
「あの、私も前村歩だから、えーと……アユミでいいです!」
ミニパトコンビの二人に大道正司氏は、通称「少尉」で良い、と返した。
葉月巧だからタクミン……たれ目ロングヘアの彼女はまず一本目のビールを空けていた。
「ほほう、タクミンはいい飲みっぷりだな。吾輩も。カイザーナックルに、乾杯!」
と、前村歩、アユム氏は尋ねた。
「少尉さんってことは、自衛官なのですね?」
カルピスソーダをちびちびやるアユム氏が、さも当然の質問をする。
「アユム氏よ、吾輩は私立探偵であり、その昔、デルタフォースにいた頃の階級が少尉、故に皆、吾輩をそう呼ぶ!」
「デルタは盛りすぎだろう、バカ少尉」
ミサキ氏が到着して、一喝する。
「あら、美人のお客さんが二人も、じゅる。ねえねえ、ツインテちゃん、隣座ってもいいかい?」
こうしてアユム氏はミサキ氏の「抱き枕」になったのである。
「制服しわになっちゃうので、ミニパトで着替えてきますね」
「うん、手伝ってあげるから一緒にいこぅか、アユムちゃん」
ありがとうございます、と言うアユム氏はミサキ氏に手を繋げられ、大道事務所の駐車場へと消えた。
午前六時。そろそろ空が白んでくるころであった。




