ミニパト
第三十一章~郵政カブの巻
大道少尉のカブのシートに乗せられた僕は、先ほどの二人組のことを大道少尉に尋ねてみた。
「4て、何なんでしょうか?」
「少年は知らなくて良い単語だ、気にするな。小童風情が遊びまわりおって」
「……あの、ちなみに今どこに向かってるんですか? 僕のワンルームは方向逆で――」
「二十四時間営業のホームセンターがあったであろう? そこでビールを買って吾輩の事務所で熱帯夜を乗り切ろうではないか、ははは」
大道少尉のカブはいわゆる郵政カブであった。ピンクナンバーで、シートの後ろは荷台ケースなしのフラット。なので困ったことになる。
二人乗りをすると前かごが残るだけだが、箱でビールやペットボトルを買い込むと。ネットにくるみきれないのではないか、と。
そう危惧する僕だったが、返答は違った。
「心配するな、少年よ。吾輩のカブは無敵だ、ほれ、前かごがあるではないか!」
バイクのタンデムのコツはドライバーにしがみつくのではなく、腕を後ろシートに当てて重心を後ろにもっていくことだ、と、露草氏から聞いた覚えがある。僕はカブでそうやってみてるのだが、確かに、納得だった。
「少尉、コンビニで済ませては?」
「吾輩はあの店員の無気力さが大嫌いなのだ。故に却下である」
いい店員がいる店舗もあるだろうが、時刻がそろそろ深夜四時という具合なので、シフトに入っているのは年配店員だろう。
と、いきなりスピーカ音が鳴り響いた。
『そこのカブ、止まってください』
ミニパトだった。
これはマズいかも、僕はどきどきした。チェリー・ビーンズで大道少尉が飲んでいたのは何時間前だろうか? アルコールは抜けただろうか?
「失礼しますね。こんな夜中に二人組だったのでお声を賭けさせて頂きました。免許証を拝借しても?」
ミニパトから出てきた女性警官、いわゆるミニスカポリス、とは古いだろうかが、丁寧に言う。
「ふむ、吾輩の免許証か、これだ」
「あら、ゴールドじゃないですか。素晴らしいですね。今日はどうされました?」
「事務所のエアコンが故障しておってな。各地を転々として涼み。そして今は吾輩の事務所に帰るところである。荷物は飲み物とつまみだ」
「ちなみにお仕事は?」
「私立探偵をしており、今日も一件、片付けた次第である」
「私立探偵!」
女性警官、ツインテールの彼女が声をあげたので、僕はびくっとした。
「事件とか解いたりするんですか?」
いや、それはテレビの見過ぎであろう。




