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恐怖の笑顔

お読みいただきありがとうございます!!

 


「は?魔法を教えてくれって、どう言うことなのよ、ロイドちゃん!?」


 寮での落下事件後、数日の間、授業を除いた時間は反省として寮で半謹慎状態だった。

 それが解け、ロイドは授業後リリアンナがいる医療練に訪れていた。


「リリアンナ先輩は、魔法使えるんですよね……?コツだけでもいいんで教えてください。俺、どうしても魔法使えるようになりたいんです!」

「確かに、医療魔術以外も使えるけど、友達とかに教えてもらった方が手っ取り早いんじゃないの?」

「……俺、友達すくないんで。それに数少ない友達は説明が下手なんで……」

「あ、うん。ごめんね、ロイドちゃん。そうね、その顔だと友達なんてなかなかできないもんね。いいわよ、見てあげる」


 なぜだろう?無性に泣きたくなってきた。

 精神的に何かを失ったような気がするが、少しの間だけリリアンナが魔法を見てくれるようになった。


「じゃあ、まず、ロイドちゃんの魔力属性を教えて!」

「いや、それが、俺自身も分からないんです」

「えっ?授業で魔力属性を調べなかったの?」

「先生の言う通りにやったはずなんですけど、できませんでした」

「……さーてと、あたしはそろそろ研究に戻らないとっ」

「まてまてまてまてっ!まだ始まったばっかりです!諦めないでください!」


 明らかにめんどくさそうな顔をリリアンナがしたが、関係ない。せめて、魔力属性が分かるくらいでもいいから魔力を込める方法を教えてもらわなければ。


「魔力を込め方は人によって違うけど……、とりあえずあたしのイメージはこうよ!これから言うことを意識してやりなさい!」


 リリアンナから魔力を感じた。

 よく見ると彼女の周りには薄茶色の光が纏っている。


「目を閉じなさい。魔力を感じれるように意識するの」


 ロイドは目を閉じる。深呼吸して意識を集中させる。


「地面からね、大地のエネルギーをもらうの、それが足の裏から体を巡り、魔力になるの」


 ルティやレアンの雑な説明ではない。想像しやすい。リリアンナの教えに対して感動しつつ、ロイドはイメージする。


「そうして、そのエネルギーを手に集めるの。その手に光るのが自分の魔力」


 リリアンナの右手には薄茶色の光が放つ。

 そして、ロイドの手にもーーー


「ーーーない」

「びっくりするくらい何も起きてないわね」


 リリアンナ曰く、今の一連のイメージだけならほとんどの人は小さな光であれ魔力を具現化できるらしい。


「本当に魔力あるの、ロイドちゃん?ちょっと、上の服脱ぎなさい!」

「はぁ!?い、いやですよ!」

「頬を赤らめて何か勘違いしているようだけど、魔力量を調べるだけよ!」


 リリアンナはポケットから魔術式が書かれた手袋をはめる。

 そのまま、上半身裸になったロイドの胸に当てる。


『汝の力よ、我に示したまえ』


 手袋が白い光を発する。

 そして、数秒が経ち光が消え、リリアンナが無言になる。


「リリアンナ先輩、どうでしたか……?」


 リリアンナはハッと我に返り、安心させるような優しい笑みを浮かべる。

 それを見てロイドもホッとする。


「よかった、その様子だと大丈夫そうでーーー」

「ロイドちゃん、あなたの魔力量、絶望的なゴミクズ並みな量しかなかったわよ」


 そう笑顔で、リリアンナはロイドにとどめを刺した。










「ルティの兄貴、そう言えば最近不良の兄さんとは一緒にいないんやな」

「なんか、特訓してるらしいよ」


 謹慎明けから数日後、授業終わりにバガルが話しかけてきた。

 ここ最近、ロイドは一人で行動することが増えたため、ルティはバガルと一緒にいる。

 といっても、バガルが勝手によってきてるだけだが。


「ははーん、新入生闘技祭の推薦枠を狙っとるとしかおもえへんな〜」

「新入生闘技祭?前にも聞いたことあるけど、それって何?」

「なんと!知らへんのか!?ルティの兄貴も有力候補なんやで!」


 といっても知らないものは知らない。

 この際だからルティはバガルに説明を求める。


「新入生闘技祭ちゅーのは、その名の通り、新入生同士の戦い合いや。だけど、誰でも参加できるわけではないんやで」

「条件があるってこと?」

「せやで!大半は教師陣による推薦やな。一年の武芸、魔術技芸、魔術工芸の各担当教師が二人選んで推薦するんや」

「前にセレナも出れるって聞いたけど。それはどう違うの?」

「姫さんか!入学式の新入生代表に選ばれた者も参加資格はあるや。今んところ参加確定なのはまだ姫さんだけやな。けど、ほぼ確定の奴もおるけどな」

「ほぼ確定?」


 バガルが視線を別へと動かす。目線の先にはユーロンがいた。


「ユーロンのこと?」

「武芸、魔術技芸、魔術工芸ともにトップレベル。それ以外の成績も優秀。それに次期アレクシア家を引っ張っていく坊ちゃんや。きっと特別推薦枠全部もっていくで」

「特別推薦枠?」

「一年の全教師による推薦。生徒会による推薦。生徒会長による推薦。この特別推薦枠は唯一同じ人物を選んでいいんや。だから、生徒会長の推薦以外は一番最初に発表されるんや」

「何で、生徒会長以外なの?」

「組織で決める全教師推薦と生徒会推薦は先。各担当教師と生徒会長は個人だから後なんや。まあ、組織の方が力があると誇示するためやからな」


 しかし、特別推薦枠をユーロンが全部もっていくというのはあながち嘘ではないだろう。

 力を誇示するためには名前、実力共に相応しい者でないといけない。

 まさにそれにぴったりなのがユーロンだ。


「だけど、今年の生徒会長はフィニス第一皇子様やから生徒会長推薦の方が名誉やけどな!」


 といっても基本生徒会長は生徒会と同じ者を推薦するが。


「じゃあ、僕が参加するとしたら上級クラスである武芸と魔術技芸ってことかな?」

「そうやで!ルティの兄貴も興味ありげやな。やっぱり出場したいんか?」

「何だか楽しそうだし、そうだね。参加してみたいかも」


 ここで結果を残せば憲兵団へいける可能性が上がるかもしれない。

 それ以上にもっと色んな戦いをしてみたい。強くなりたい。


「じゃあ、推薦を貰えるためにもっと武芸と魔術技芸頑張らなくちゃね!」

「そのいきっすよ!ルティの兄貴!自分も一緒に頑張るでー!」

「あれ、バガルも出場して戦いたいの?なんか意外」

「それはあったり前や!なんせ、出場できるだけでも有り難いことなんやで!注目されるんやで!そんで自分の華麗な戦いをみたら女の子はきっとメロメロやで!!そんで、キャッキャッウフフでぐへ、ぐへへへへへへへへっ!!!」


 妄想の世界に入ってしまったらしいバガルはだらしない顔でよだれを垂らし始める。

 一応女であるルティは若干身の危険を感じ、少し距離を置く。

 近くにいた女子生徒たちもゴミを見るような目でバガルを避け始める。

 黙っていればモテそうなのに、口を開けば動けばその魅力を全て潰してしまう。


 ロイドと一緒の時はロイドに怖がって誰も近づいてこなかったが、バガルはバガルで一緒にいると誰もやってこないような気がする。


 なんせ、バガルが女子を見るとき目がいやらしい目つきになる。

 気持ちが悪いのだ。

 それが自分に向けられるとなると、たまったもんじゃない。

 今は男だと思われているし、そう接しられている。バガルの場合、男として扱ってもらった方が断然いい。

 普通に良い奴だし、色々教えてくれるし、何よりも話がうまい。


 絶対に女だとバレないように気をつけよう。

「ぐふ」と笑う姿をみてルティはそう決意した。



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