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再会に想いを馳せる

傅士仁が引き揚げ行くと、北斗ちゃんはおもむろに竹簡を広げて、(すずり)で墨汁を()ねる。そして擦り終わった(すみ)を筆に浸けると、綺麗な文字でチョコチョコと竹簡に記し始めた。


今のうちに覚書(おぼえがき)として、こちらの兵力を整理しておこうという御筆字書(おひつじが)きである。


『(*゜∀゜)=33 フゥ~☆彡 こんにゃもんかな??』


北斗ちゃんは然も満足そうに記し終えた。


それは次の通りの内容である。ここに提示しておく事とする。但し、これはあくまでも現状の把握に過ぎない。



********************


【現在の我が荊州軍の兵力とその内訳】



【江陵城】総兵力 39,000人


【指揮官総督】関羽雲長

【佐軍の将軍】馬良・趙累ほか


【出撃戦力】30,000人

【城内戦力】04,000人

【狼煙台兵】02,000人

【太子直属】03,000人



【公安砦】総兵力 12,000人


【指揮官将軍】費観賓伯

【佐軍の将軍】費禕文偉


【出撃戦力】08,000人

【城内戦力】04,000人



【南郡城】総兵力 18,000人


【指揮官将軍】糜芳子方


【出撃戦力】14,000人

【城内戦力】04,000人



【荊州計】総兵力 69,000人


【出撃戦力】52,000人

【城内戦力】12,000人

【狼煙台兵】02,000人

【太子直属】03,000人



【遠征軍】総兵力 12,000人


【遠征指揮官】趙雲子龍

【佐軍の将軍】張嶷・趙広


【出撃戦力】12,000人


【趙雲指揮】10,000人

【騎馬再掲】03,000人


【張嶷指揮】02,000人

【騎馬再掲】02,000人



【北斗軍】総兵力 15,000人(再掲)


【出撃戦力】15,000人


【太子指揮】03,000人

【騎馬再掲】01,000人


【趙雲指揮】10,000人

【騎馬再掲】03,000人


【張嶷指揮】02,000人

【騎馬再掲】02,000人



【蜀陣営】総兵力 81,000人(*)


【出撃戦力】52,000人

【城内戦力】12,000人

【狼煙台兵】02,000人

【太子直轄】15,000人


(*)荊州兵+遠征兵の合計


********************



『(〃´o`)=3 さて…どうしたものか?』


彼が考えているのは、虞翻の動きである。彼が動くか動かないかと言われれば、動く確率は非常に高いが、それを早期に察知出来るかどうかは、潜入させている者の知るタイミングにも依るから、常にこちらも待機している方が動きやすい事は確かである。


しかしながら、そうなるとこちらは何も出来ずに待つ事になり、甚だ都合が悪い。江陵城内に居る限りは直ぐに動き出せるからと、その条件を遵守する城内の者には制限は掛けていないのだが、そうなると、次の大胆な手も打てなくなる。


『ε- (´ー`*)辞めた!』


彼が出した答えはこの一言に尽きた。


『(〃´o`)=3 これでは準備も出来ない、屯田も進まない、南郡の問題も解決しない…』


相手の都合に併せて居ては、却ってこちらの対応策が遅れる事に気がついたのであった。


『ε- (´ー`*)決めた!別に大事な賓客を迎える訳じゃあ無い。何か言って来ても、待たせとけ!どうせ、無視して来たのは今に始まった事じゃ無い。』


北斗ちゃんはいつの間にか受け身に為りすぎていた事に気づいて苦笑いを浮かべた。さすがに用心する余り、却ってこれではこちらの良さが消えてしまう。


相手は撹乱戦術が失敗だと恐らくは気がついていないのだから、こちらに付け入る余地は在ると言って良いのだ。それに仮に相手が自らの失敗に気がついたとしても、作戦の練り直しには時間が掛かるに違いない。


自分達はその間に、今よりも盤石な態勢を構築しておいた方が良いに決まっている。時間はどちらの陣営に対しても平等だ。その間に有利に立ち回った方が良い。


彼は明日にも南郡の視察に出ようと決めた。共には傅士仁を伴えば良い。費観と費禕を公安砦に置いてある以上、他に選択肢は無い。身体が空いているのは彼だけだからだ。それに力を持て余してさえいる。


『( ・∀・)久し振りに華侘先生のお手伝いでもしようかな?』


彼はさっそく動き出す。まずは傅士仁に声を掛けておく。彼が顔を出すと、傅士仁は怪訝な表情を見せた。先程から然程時間が経っていないのだから当たり前ではある。


「(=д= )…殿どうしました?」


「( ・∀・)あぁ…邪魔してスマンな♪明日、南郡城に行くから、伴を頼む!」


「σ(=д= )…ここを離れて宜しいので?」


「( ・∀・)あぁ…無駄に構えて居ても仕方ない。相手を焦らすのもひとつの選択肢だと気づいたのさ♪」


「( ;゜皿゜)そう言う事ならお伴致しましょう♪」


「(*゜ー゜)あぁ…頼むね♪」


「( ;゜皿゜)では明日♪」


「(*゜ー゜)あぁ…」


彼は傅士仁に声を掛けた足で華侘先生の許に向かう。久し振りなので心はウキウキしていた。彼が廊下をスキップしながら歩いていると、反対側からこちらに向かって歩いて来る者がいた。


『( -_・)あ!叔父上だ…』


暫くお会いしていなかったが、北斗ちゃんには直ぐに判った。それは糜竺(びじく)叔父である。北斗ちゃんを庇って傷つき、足手まといとなる事を恐れて、井戸に身を投じた気丈な()婦人の兄である。


糜竺叔父は小さい頃から何かにつけて可愛がってくれて、いつも彼を気に掛けてくれていた。彼は中軍司馬の馬良・尚書の伊籍と共にこの荊州で関羽の重要ポストを担っている。彼は尚書令であった。


この荊州では劉備陣営で政務の最高責任者と言っても過言では無い。因みに荊州の総督である関羽を筆頭に、軍の最高責任者が言わずと知れた馬良である。次官級が政務は伊籍、軍務は趙累(ちょうるい)であった。


それに次ぐのが南郡太守の糜芳叔父であり、元公安城主の傅士仁(ふしじん)である。


糜竺叔父は北斗ちゃん達が荊州に入った時には江陵には居なかった。関羽の命を受けて、公安と南郡を回っていたのである。先頃、南郡で小火(ボヤ)が有り、公安からは民の上訴が在ったため、その事実の確認と詮議の為であった。


因みに公安の事案については既に解決済みである。これは太守の体調悪化が陰謀ではないかというものであった。


恐らくこの参内はその報告ではないかと思われる。何故ならば糜竺叔父は日頃とはその表情が打って変わり、顔色が雲っていて、足早に歩みを進めていたからだった。


『(^。^;)思いの外…戻りが速かったな…まぁ行き違いに為らなくて良かったと言うべきか…』


北斗ちゃんにしてみれば、自分が行くまで居てくれた方が安全ではあるのだが、それは叔父上も職務で動いているのだからやむを得ない。


糜竺は考え事を整理しながら歩いていたが、こちらに接近して来る者に気がついて、一旦歩みを止めた。そして拝礼する。北斗ちゃんも立ち止まり、返礼する。


「失礼ですが…貴方は見掛けぬ方の様だが、閣下のお客人かな?」


『( -_・)……』


この場合の閣下とは関羽の事を示す。北斗ちゃんは予定よりも早く会う事が出来た事を歓迎する事にした。糜竺叔父からの情報は貴重である。(むし)ろ南郡に行く前に準備が整うと前向きに考える事にしたのだった。


但し、兄弟の絆は強いので、例え相手が北斗ちゃんと言えども、どこまで情報を引き出せるかには懸念がある。ここは少々慎重に入るべきで在ろう。


「( ・∀・)糜竺叔父♪僕ですよ!劉禅です♪御無沙汰しておりました…お元気そうで何よりです!」


「( ̄□ ̄;)!!阿斗様ですと?えぇ~、た、確かに面影はありますが…偉く痩せられましたな?本当に阿斗様で?」


「(*゜ー゜)ププッ…叔父上に嘘をついてどうします?僕は変わったんです♪今は勉強も苦になりませんし、馬にも乗れます!」


「( ̄□ ̄;)そいつは驚きましたな!あの若君が、こんなに凛々しい若者に成長するとは…」


ここで糜竺は少々怪訝な表情を見せる。


「( ̄□ ̄;)で?ここ荊州には何用で来られたのです?若とお逢い出来たのは嬉しいが、何ぞ不味い立場では在りますまいな?」


「(*゜ー゜)フッ…叔父上、御安心下さい!ここには丞相の使いで参りました。父上は存じ上げない事ですが、董允も承知しておりますから心配いりません。それに既に関羽将軍にもご許可を得て滞在しておりますから♪」


「( ̄□ ̄;)それならば宜しいのですが…あ!そうだ!若君には申し訳無いが、私は総督に御報告が在りますので、また後程お話しは聴きましょう!失礼して宜しいか?」


「( -_・)叔父上、為らば私も同行しましょう。その方が良さそうだ…」


やれやれ…また華侘先生のとこはお休みかな?北斗ちゃんは想う。しかしながら、南郡の事は危急を要する。そちらが優先だった。


「(-∀-`;)…若!それは困ります…遊びでは…」


全く以て自然なリアクションである。状況の変化を知らない者にとっては当然と言える。


「( -_・)遊びではない…確かに!僕も遊びで言ってるんじゃ在りませんよ♪僕は既にここの一員として関与していますから、御心配無く!」


「( ̄□ ̄*)それであれば宜しいのですが…」


叔父上はまだ少し疑念があるようで、その瞳が痛いほどに刺さる。けれども北斗ちゃんは追って判る事なので、敢えて説明は避けた。但し、その表情は真険で、そして意欲に満ちている。


一方の糜竺も観察を続けていた。彼は若君の目覚しい変化にまだ着いていけていなかった。それに可愛いだけで凡庸なイメージが、まだ頭の片隅に在り、完全に抜け切っていなかった。


ところが、若君は至って真面目な表情を崩す事なく、こちらを見つめながら佇んでいるので、彼はやむ無く折れる事にした。


「判りました…(´□`*)仕方ありません。同行を認めましょう!」


彼はそう答えると、連れ立って歩き始めた。


「(。-∀-)叔父上♪僕は丞相の名代ですから、心配は要りませんよ!」


北斗ちゃんはボソッとそう呟いた。


「…(´□`;)」


糜竺は、若君がその根拠には触れていないので、否定も肯定もしようが無く、ただひたすらに無言を貫く他なかった。


但し、彼も嬉しかった。あのだらしなく肥え太っていた太子の姿はもはやそこに無く、どう見ても利発な若者がそこには居たからである。


二人はそよ風が心地好い回廊を、互いに時々、チラッチラッと視線を交わし合っては、ニコニコと微笑みながら、総督府へと向かった。

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