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最終章・宇宙へ Ⅱ


 総督軍中央情報局。

「トランターに接近する艦隊があります」

「なに? どこの艦隊だ」

「総督軍ではありません。おそらく反乱軍かと思われます」

「接近艦隊の数、およそ七万隻。現在L5ラグランジュ点を通過中です」

「一個艦隊か。ワープゲートなしでここまで来るには、補給艦を連れてきているな。実質戦艦五万隻というところだな」

「いかが致しますか?」

「無論迎撃に出る。留守を預かっている者として、猫の子一匹通したとあっちゃ責任問題になる」

「猫……ですか」

「たとえだよ。行くぞ」

 と、防衛艦隊帰艦バトラスの駐留している宇宙港へと向かう司令官だった。

「トランターが空になりますが、よろしいのですか?」

「近づいているのは、ランドールの所の艦隊である可能性大だ。だとしたら、敵艦隊の数倍以上の数で対処しなければ勝てない。これまでの経験からな」

「なるほど……」

「迎撃は、持てる兵力のすべてを出して当たるのがセオリーだ」

 首都星の防衛の役目を担っていた駐留艦隊が、接近する艦隊への迎撃のために、トランターを出航した。


 その頃、リンゼー少佐の元へ、ミネルバが宇宙に上がったとの情報が寄せられた。

「ミネルバが宇宙へ飛んだだと? 大気圏専用の空中戦艦じゃなかったのか……」

「詳しい仕様は、技術部でも解読できなかったということでしょう」

「共和国同盟の艦艇だろ、そこの技術部の誰も知らなかったのか?」

「はあ、何せミネルバ級はケースン研究所のとある人物が、艦体も運用システムもたった一人で設計したらしいので、詳細仕様は彼の頭の中ということです」

「とある人物ってなんだよ」

「極秘情報で、名前も顔も誰も知らないそうです。誘拐や暗殺のターゲットにされないようにでしょうね」

「とにかくだ!我々も宇宙へ上がるぞ!」

「宇宙ステーションに上がる連絡艇しかありませんが」

「ったく、主力の艦隊は銀河帝国遠征に出撃しているし、防御艦隊は敵艦隊接近の報を受けて、迎撃にでている。首都防衛はガラ空じゃないか。そんな時に、ミネルバが宇宙に上がるとは」

「何か関連がありそうですね」

「大有りだろうよ。もしかしたら陽動に掛かったのかもな」

「陽動ですか、ミネルバが?」

「いや、接近しているという敵艦隊の方だよ」

「敵艦隊が陽動?」


「運よく補修に出ていた戦艦プルートが残っていました」

「よし、艦長に会おう」

 早速乗艦許可を貰ってプルートの艦橋に上がって艦長と面会するリンゼー少佐。

「艦長のマーカス・ハルバート少佐です」

「ミネルバ討伐隊のゼナフィス・リンゼー少佐です」

「で、ご用命はいかに?」

「追っているミネルバが、この宇宙へ出てきました。そこで貴官の戦艦をお借りたい」

「パルチザンの旗艦であるミネルバを討つのは総督軍の使命。となれば従うしかないですね。よろしい、このプルートをお貸ししましょう」

「ありがたい」

 快く戦艦の指揮を譲ったハルバート少佐は、

「ミネルバを追いましょう」

 と言った後、

「艦長をリンゼー少佐に交代する」

 艦橋要員に伝達した。

 艦長席に座るリンゼー少佐、その両脇に立つ正副艦長。リンゼーの副官は、さらに後方の位置に控えて立っていた。

「これよりミネルバの後を追う。機関始動、微速前進」

「機関始動」

「微速前進」

 ゆっくりと宇宙ステーションを出てゆくプルート。

「L4ラグランジュのワープゲートへ向かえ」

「進路ワープゲート」

 副官が復唱する。

「なぜワープゲートですか?」

 ハルバート少佐が尋ねる。

「ミネルバの航行システムは、磁力線に浮かぶように進む船のようなものです。つまり航行できるのは、磁力密度の高い大気圏内と惑星周辺のみで、外宇宙には出られないのです。惑星周辺で重要施設となれば……」

「ワープゲートということですね」

「現在、反乱軍接近との情報から防衛艦隊は迎撃に出て、ワープゲートは無防備です」

「急ぎましょう。全速前進でワープゲートへ向かえ!」

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