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神戯大戦   作者: シノウミ
間章 神戯大戦編
19/34

神戯大戦4

 天族とエルフ族、獣人族が戦っていた頃、他の場所でも戦いが始まっていた。

 鬼と巨人とドワーフの3種族は迫り来るその火の玉に3者ともに恐怖を抱いていた。

 人族の負けを聞いた鬼族と巨人族は行動を開始し、この場所で出会う。両者ともに先制攻撃とばかりに拳を振り抜く。


 2つの拳は互いの拳とぶつかり、空中で殴った鬼は吹き飛ばされ、巨人の方もその威力から後ろに後退する。両者は不敵に笑い、鬼はその額から生えるツノを青白く光らせながら巨人に突っ込んでいく。巨人はそれを拳を持って迎える。


 鬼は向かってくる拳に飛び乗り、その腕を駆け上っていく。巨人は腕を振り払い、鬼を吹き飛ばそうとする。しかし、鬼は振り払われた勢いも利用し、巨人に襲いかかる。そして、がら空きの胴に拳を振り抜く。鬼は体格差を物ともせず、巨人を吹き飛ばす。さらに追撃をしようとするが、鬼は地面の砂を掴み投げつけてくる。少量ならなんてことない砂が、巨人の手の大きさと振り抜く勢いにより、一粒一粒が弾丸のようになり鬼に襲いかかる。鬼はそれを見て、砂の範囲外へとかわす。


 両者ともに態勢を立て直し、構え直す。


 鬼は巨人がほとんどダメージを受けていないのを見て、何もない空間から棍棒のようなものを取り出す。


 シュンならば鬼に金棒かよと突っ込んでいたかも知れない見た目となる。


 鬼は再び棍棒を構えながら、巨人に突っ込んでいく。巨人は腕を薙ぎ払って凄まじい砂とともに鬼を攻撃する。鬼は高く飛び上がる。体長5メートルは超えるだろう巨人を追い抜き、頭上からその棍棒を振り落とす。巨人はその一撃を腕をクロスさせ受けとめる。


 しかし、一撃は重く、足が地面の砂に埋め込まれる。そのかわりとばかりに巨人はその腕を振り抜き、鬼を捉える。鬼は吹き飛ばされるがすぐに態勢を立て直し、砂に埋まった巨人へと襲いかかる。


 しかし、ここで予想外なことが起こる。ちょうど2人が接触するかというタイミングでその場に凄まじい勢いの雷が2人に降り注いだ。

 鬼はその雷に気づくや、あらん限りの力で体を反転させ横っ跳びをする。

 巨人もその巨体からは予想できない速度によりその場を脱する。

 2人は雷を撃ち落とした人物の方をみる。


「おお、この攻撃をかわしよるか。今のは儂的には最高のタイミングじゃと思ったんじゃがなぁ。鬼と巨人、力が強いものが消えれば近接戦闘のものが少なくなり、この老体には楽になると思ったのじゃが」

「おい、ドワーフのクソジジイ、オラァ今この巨人のヤツと戦ってんだ。邪魔すんじゃねえよ。今消えりゃ見逃してやる。いいよな巨人のヤツ」

「ああ、俺は今この鬼との戦いを楽しんでいるのだ。計画も失敗したなら立ち去れ」

「ほっほっほ、面白いことを言うの、敵を目の前にして逃走はありえんよ。本当は奇襲で終わらせるつもりじゃったがお主ら若造にゃまだ負けんよ」

「寝言は寝て言えよジジイ。もうボケが始まっちまったか?おい」

「まあまあそう騒ぐな。そうじゃなお主らには儂が鍛えたこの魔剣の力をとくと見せてやろう」


 そういうとドワーフは持っていた剣を構え、鬼に向かって振りかざす。

 黄色のオーラを纏ったその剣は振りかざされるとともに、先端から一筋の鋭い電光を走らせる。

 さらに剣を横薙ぎにすると、雷の刃が生まれ、鬼と巨人に襲いかかる。


 鬼は体をひねり避け、巨人は高く飛び上がり、そのままドワーフを踏み潰すように地面に迫る。

 ドワーフはその攻撃を見て、今度は持っていた剣が緑色のオーラを纏い、それを地面に突き刺す。

 地面に突き刺さった剣は風を生み出し、ドワーフはその風により、疾風のような動きで巨人をかわす。さらに巻き起こった風はトルネードとなり着地しに来た巨人を巻き込む。しかし、トルネードは巨体の前には敵わず、その風にのしかかるように着地した巨人によって消えてしまう。


 間髪を入れずドワーフは炎、水、氷、雷、風、岩と魔剣から放たれる様々な攻撃で鬼と巨人を攻め立てる。両者は避けることはできるが、遠隔から放たれる攻撃にかわすことはできても反撃をすることができない。


「ほれほれ、どうしたんじゃ、攻撃はしてこんのか?それともできんだけなのかの?」

「あ?うっせーぞジジイ、すぐにボコりに行ってやるからそのおもちゃ振り回したきやがれ」

「ふむ、そんなに攻撃がして欲しいならしてあげましょう」


 鬼は余裕を持ってかわしていた魔法を、自分の身に多少当たることは覚悟の上で、ギリギリで急所を外しながら突っ込んでいく。

 それを見た巨人は援護するかのように、水で固まった土を掴み、ドワーフに投げつけていく。

 ドワーフはその土の攻撃を間に氷の壁を作り、鬼が突っ込んでくる方に土の壁を作る。

 鬼はその壁を物ともせず突き破り突撃するが、ドワーフは鬼の視界から外れた隙に至る所に氷や土の壁を作り、その1つに身を隠し、攻撃していく。

 ドワーフは鬼と巨人をあざ笑うかのごとく、的確に破壊されない壁に身を隠していく。


 鬼と巨人は壁をほとんど全て壊し、ついにドワーフを捉える。

 鬼はドワーフを捕捉した瞬間、最大限のスピードで攻撃を仕掛ける。

 ドワーフはその攻撃になんとか反応し、魔剣によって迫る棍棒を受け流す。さらに、受け流す際に風を巻き起こし、棍棒がその風の影響を受け、鬼の手から離れそうになる。鬼はそれを怪力で持ちこたえ、追撃を食らわしていく。

 巨人はその攻防に割り込み、鬼とドワーフ、両者を腕で吹き飛ばす。


「おい、クソ巨人、テメェ今はドワーフを倒すとかじゃねえのかよ」

「知らんな、俺は両者ともに敵であると認識している。なら両者をひとまとめで攻撃するのが一番良いのではないか」

「クソが、ああ全くその通りだ。俺が勝手に勘違いしてただけだな、クソ」

「ホッホ、なかなか重い一撃じゃの、老骨には響くわい」


 もう一度3者による激しい攻防が始まるかに思われたがらここで3人は互いを牽制しつつ睨み合いの状態となる。

 期せずして巨人が鬼に投げかけた言葉により、鬼は冷静になり、鬼が無闇に突っ込むことがなくなったこと、そして、3人が3人の攻撃圏内にいるということでドワーフも魔剣を簡単に振らなくなる。

 膠着状態がどれほどたっただろうか、3人は示し合わせたかのように攻撃を仕掛ける。


 しかし、ここでその時が訪れた。


 突如上空に途轍もなく大きい火の玉が現れたのだ。

 当たれば即死かと思われるほどの火の玉がさらに8個現れ、合計9個の火の玉が3人に迫っていく。

 1つ地面に当たればその熱によって砂はとけ、なんとかかわした3人だがほぼ同時で放たれてくる残りの8個に巻き込まれてしまう。

 火の玉が落ちた場所は砂は燃え尽き、巨大なクレーターが9個出来上がっていた。


 その光景を一瞥した後まばゆい光のオーラに包まれ、9つの尻尾を生やした妖族の少女が鼻唄を歌いながら去っていく。


「ふんふ、ふんふ、ふー。はて、今倒したのは誰だったのじゃろう?まあ良いか、神の使いたる妾を前に暴れる小虫どもが悪いのだ」


 愛らしい見た目とは裏腹のなかなかにきつい言葉を残して、軽快な足取りで妖族の少女は去っていった。




 ――――――――――――





 それは一瞬の判断であった。

 迫り来る火の玉に鬼と巨人は全力で攻撃範囲外に出ようと駆け出した。

 しかし、ドワーフはそうはしなかった。ドワーフは力こそあるものの、スピードでいうと人族とあまり変わらぬものであった。よってドワーフは自分は逃げられんと思い、最後の悪あがきに出る。


 迫り来る火の玉に対し、自分が作り上げた魔剣で対抗しようとする。

 青く輝く魔剣はその刀身が軋むほどの力を帯び始める。ドワーフはその魔剣を地面に突き刺す。さらにその魔剣の力をありったけ使い果たす。

 魔剣によって生み出された水はドワーフの身を包むかのように渦巻かれている。


 火の玉がその渦巻かれた水球に直撃する。

 水は火の玉によって熱されて、直撃した部分から蒸発していく。中にいるドワーフは自分の魔剣を信じ、水から伝わる常人では死んでしまうような熱を耐える。


 衝撃が辺りに伝わっていく。

 攻撃範囲外に逃げ切れなかった鬼と巨人は火の玉に巻き込まれ、即死してしまう。


 妖族の少女が一瞥し、去っていった後火の玉により砂漠の跡形も無くなったそのクレーターからずるずると動くものがある。

 奇跡といっても良いことにドワーフは生きていたのだ。水球により直撃を逃れたことにより、虫の息ではあるが生き残れたのだ。

 ただドワーフは打ちひしがれていた。己が打った自慢の魔剣その一本は傍で無残に砕け散っていた。そう、9個も放たれた火の玉の1つから身を守るために自慢の魔剣がなくなったのだ。これほどの実力差、その差に打ちひしがれてドワーフは大戦に勝つことに諦めていた。


 そんな風に打ちひしがれて、何もしないままどの程度の時間が経っただろうか、圧倒的な圧力を感じドワーフは顔を上げ、その圧力を放つ者の方に顔を向けた。


 そこには温和な雰囲気の黒髪の青年が立っていた。


「これは火の魔法の跡か?それが9つということは妖族かな。すごい威力だな……うん?」


 青年はもう虫の息のドワーフに気づくと近づいてきた。


「まさかドワーフが、この魔法から生き残るとは、驚きですね。ふむ、せっかく生き残ったのにあなたはもう虫の息だ。どうです、回復魔法はいりますか?」


 カッと声を出そうとしたドワーフは血を吐き、声を出さないと分かると首を横に振り、生き残ることを拒絶する。

 少年が持つ雰囲気とその圧力があっていない。ドワーフはその恐怖にこの大戦のデタラメさに本当に諦めを持っていた。もし、青年により生き残されて自分は何を出来るだろうか。自慢の魔剣もない。これなら死んだ方がマシ、そう考えたのだ。


「そうですか。残念です。あなたが生き残ってくれた方が大戦も面白くなると思ったのですが……このまま痛みに苦しむのもしんどいでしょう。私が介錯をしてあげます。今度は万全状態で出会い戦ってみたいものです」


 青年はそういうと手刀によりドワーフの首を切り落とした。

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