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7話 惨めな勇者と立ち向かう転生魔王

 翌朝――


「少し早く着いたな」


 そんな風に呟きながら、イオリがギルドの扉を開ける。

 時刻はコレットとの約束の十五分前といったところだ。


「な……ッ、この匂いは!?」


 ギルドの扉を開けたところで、イオリが顔を歪める。

 建物の中から、人間の血の匂いが漂ってきたからだ。


 いったい何があったのだろうか。

 ギルドの受付の前に、人だかりが出来ている。


 人だかりの中を進むイオリ、なんと受付の前にはボロボロな姿になったアレク率いる勇者パーティの姿があったではないか。


「どうしたんだ、アレク!」


 追放されたとはいえ、かつての仲間たちを心配し、イオリが駆け寄る。


「ちっ……! イオリか……ッ」


 イオリの姿を見て舌打ちをするアレク。どうやらボロボロになった自分の姿を、イオリに見られたのが気に食わなかったようだ。

 装備や服はボロボロになっているものの、既にポーションなどによる治療は済んでいるらしく、命に別状はなさそうだ。


「いったい何があったんだ?」


 アレクに聞いても答えてくれなそうだと、イオリはレイネとルナに向かって問いかける。


「……うるさいわね、役立たずが、話しかけないで」


「ジロジロ見ないでよ!」


 どうやらレイネとルナも取りつく島がなさそうだ。


 仕方ないと、イオリは受付嬢に視線を向ける。

 すると受付嬢が「実は……」とイオリに説明を始める。


 どうやら昨日、イオリたちが迷宮を後にしてから、強力なモンスターが下層に出現する異常事態は続いていたらしい。

 そしてそれの原因の究明と、可能であれば根源を断つために、ギルドはアレクたちに迷宮の調査クエストを依頼したようだ。

 ギルドからの要請に応じ、アレクたちは早朝から迷宮に潜っていた……のだが、彼らを見る限り、クエストには失敗したようである。


「昨日の異常事態、まだ続いてたんですね……」


 そんな声とともに、イオリの後ろからコレットが顔を出す。

 すでに到着しており、今の話を聞いていたようだ。


(アレクたちが傷を負って撤退しなければならないほどに、強力なモンスターが迷宮に現れたのか。少し不安だけど、今のぼくなら……)


 そう考え、イオリは受付嬢にとある提案をする。


「受付嬢さん。そのクエスト、代わりにぼくに引き受けさせてもらえないでしょうか?」


 ……と――。


「イオリさんにですか? なるほど、ドレイクを一撃で倒してしまうほどの実力を持つイオリさんであれば、あるいは……」


 イオリの言葉を聞き、受付嬢は思案し始める。


「おい、ふざけるな! お前なんかがあの状態の迷宮に挑めるわけがねぇだろ!!」


 イオリと受付嬢のやり取りを聞き、アレクが突っかかってくる。


 しかしイオリはそれをスルーし、受付嬢に「どうですか?」ともう一度聞く。


「もちろん、わたしも一緒に行きます!」


 コレットも、やる気満々! といった様子だ。


「わかりました。今回のクエスト、イオリさんたちに託します」


 そう言って、受付嬢はクエストの条件が書かれた羊皮紙を取り出し、イオリに手渡す。


「ちょっと、ふざけないで!」


「昨日のイオリの言葉を信じるわけ〜!?」


 手続きを進める受付嬢に、レイネとルナが絡む。

 どうやら昨日、イオリがドレイクを一撃で倒したという言葉を、本気で信じていなかったようだ。


 まぁ、今までのイオリからは考えられない力なので当然かもしれないが、実際にドレイクの首を持ち帰り、コレットの証言もあったのだから、少しはその可能性も考えてみるべきである。


「それではコレットさん、行きましょう」


「はい! イオリ様!」


 まだ騒ぎ立てるアレクたちを完全に無視し、イオリたちは異常の起きている迷宮へと向かう。

 イオリはもちろん、特にコレットは彼の実力を完全に信頼しているようで、その足取りに一切の怯えは感じられない。


「ちっ、せいぜい無駄死にするんだな!」


 後ろの方からアレクの悪態が聞こえてくるが、イオリとコレットはこれも無視だ。

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