5話 剣聖姫の告白
「ところで、このドレイクの首を買い取ってもらうことってできますか?」
アレクたちがギルドを出て行ったところで、イオリが受付嬢に問いかける。
「あ、もちろんです! ドレイクの骨と皮は貴重なので、高く見積もらせてもらいます!」
受付嬢はそう言って、床に転がるドレイクの首を、他の職員と一緒に奥へと運んでいく。
見積もりには時間がかかるとのことだったので、イオリはギルド内に併設された酒場で待つことにする。時刻は夕刻。腹も減っていたことだし、ちょうどいいだろうと。
「えっと、コレットさん? いつまでそうしてるつもりで?」
空いている席に座りながら、コレットに問いかけるイオリ。
イオリにべったりくっついたまま、一緒に座ろうとしてきたからだ。
「ダメ……ですか?」
なんだか泣きそうな表情を浮かべながら、イオリに問い返してくるコレット。
大きな瞳をウルウルさせる彼女に、イオリは「う……っ」とたじろいでしまう。
「ダメというわけではないですが、どうしてそんなにくっつくんです?」
「その……実は、イオリ様に助けられて、恋してしまいまして……♡」
イオリの質問に、少し恥ずかしげに……それでいてなんとも可愛らしい表情でそんな言葉を返すコレット。
予想外の言葉に、イオリは「は……?」と間抜けな声を漏らす。
コレットの言葉を聞いていたのか、周りで聞き耳を立てていた冒険者たちが、「「「なんだと!?」」」と騒ぎだす。
「え、えっと、恋してしまったって……ぼくに?」
「そうです! イオリ様はとってもお強いですし、その上優しく、見た目もわたしのタイプでして……。正直食べちゃいたいです♡」
可愛い顔で最後にとんでもない発言をするコレット。
もはやエルフではなくエロフではないかと、イオリは思わず「Oh……」と、声を漏らす。
「イオリ様、いきなりこんなことを言われて戸惑うと思いますが、わたしを側に置いていただけませんか……?」
不安そうに揺れる瞳で、そんな風に問いかけてくるコレット。
どうしたものかと、イオリは考え込み――
「あ、そうだ」
――と、とある案を思いつく。
「コレットさん、いきなり恋人というのは難しいですが、一緒に冒険者パーティを組みませんか?」
「え? いいのですか!?」
「はい、ぼくは冒険者になったばかりなので、まだ一緒に戦う仲間がいないんです」
「そういえば、先ほど勇者たちがイオリ様を追放した、みたいな話をしてましたね。なるほど……そういうことであれば、ぜひお願いします!」
イオリの誘いの言葉、そして先ほど周囲から聞こえてきた話し声で、コレットはイオリが元勇者パーティの一員だったことを理解したようだ。
そして追放されたことを理解した上で、イオリとパーティを組みたいと思ってくれたようである。
「では、これからよろしくお願いします、コレットさん」
「こちらこそ、よろしくお願いします、イオリ様♡」
パーティ結成が決まったところで、コレットが嬉しそうな声でイオリの腕を掴む力をギュッと強め、さらに密着してくる。
腕に彼女の柔らかな胸が、むにゅん! と当たり、イオリはドギマギしてしまう。
それを見ていた男性冒険者たちが……
「くそ! コレットちゃんが他の男のものに!」
「まぁ、仕方ないよな。だってあの魔術師くん、ドレイクを一撃で倒せるほど強いんだろ?」
「いや、まだカップルになったわけじゃない! 俺は諦めないぞ!」
……などと、血涙を流しながらやり取りをしている。
どうやら思った以上に、コレットの人気はすごかったようだ。
まぁ無理もない。
イオリだって、今まででコレット以上に美しい女性を見たことがないほどなのだから。
「ところで、どうしてコレットさんは一人で活動しているんですか?」
ふと気になったので、そんな質問をするイオリ。
するとコレットから、こんな答えが返ってきた。
「実はこの前まで魔術師の女の子とパーティを組んでいたのですが、その子ったら酔った勢いで〝火遊び〟をしてしまったらしく、そのまま妊娠してしまいまして……」
「それは、なんというか……」
恥ずかしそうにかつての仲間のことを話すコレットに、イオリはなんとも言えない気持ちになってしまう。
同時に、(そんな形でパーティが解散することもあるんだな)と、少し勉強させられるのであった。
されはさておき。
これでイオリにも一緒に肩を並べて戦う仲間ができた。
ドレイクからの不意の襲撃には遅れを取ったとはいえ、コレットはAランク冒険者だ。
きっと大いに活躍してくれることだろう。
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