第四話 とある俺、『ダンジョン①』で謎のスイッチを押す!?
俺は、『ダンジョン①』の前で身構えた。
「ちょっと待ってくれ! 丸腰なのに、どうするんだ!?」
頭をかきむしっていたところ、前方にスイッチが現れていた。
見たところ玩具のスイッチみたいな感じだ。それが目の前に浮遊している。
「ん? これはなんだ?」
このスイッチが罠ではないかと危惧した。
しかしながら、ここは『ダンジョン①』の前だ。
罠だと考えると、不自然ではないだろうか。
罠があるのは、十中八九ダンジョンの中ではなかろうか。
「押してみよう」
俺は、ポチッと人差し指でスイッチを押した。
すると、ゴゴゴゴゴと何かが開く音がしたので、吃驚して後ろに一歩下がってしまった。
目をよく凝らすと、階段の下に続く洞窟の横壁に穴がぽっかり開いていた。
玩具みたいなスイッチはそのまま消滅した。
「な、なんだ?」
俺は、瞬きを繰り返すのみだ。
怖かったが、あの玩具みたいなスイッチの効果に興味をそそられる。
恐る恐るダンジョンの中に足を踏み入れる。
階段を降りていくと、洞窟の横壁に通路ができていた。
「こっちに行っても大丈夫か?」
恐る恐る横壁の通路に足を踏み入れる。
すると、その奥にボロボロの閉まったドアがあった。
ドアを開けると、大きな植物があった。
その植物の花から粉のような物が吹き上げている。
それらがふわふわと空中を漂っている。
「すげぇ……」
浮いているこの物体を見ていると、まるでスノードームの中にいるみたいだ。
しかし、空間を占めているのは水ではなく、空気なのだ。
その空気の中で、それらは漂っている。
「もしかして、これが■ふわふわパウダーなのか? 確かに■ふわふわパンの材料っぽい。でも、『ダンジョン①』一階の奥の方で、二日かかるところにあるって言っていたけど?」
俺は、首をかしげて考え込んだ。けれども、分かるはずがない。
「うーん。まあ、いいか。持って帰ろう!」
俺は店主から貰ったビンいっぱいに入れると、ダンジョンから脱出したのだった。