第二話 とある俺、アイテム一つで異世界生活を始められるのか!?
石の階段を上がると、洞窟を抜けた。すると、見たことのない大きな街並みが広がっていた。どことなく、西洋風のゲームで出てくるような街並みだ。
もしかすると、本当にここは異世界なのだろうか。心が高揚してくるようだ。
後ろを振り返ると、『ダンジョン①』と、錆びて斜めになった看板が、出口の上に留められてあった。
前方に視線を戻すと、あちこちに、『アイテム買い取ります』という木の看板を掲げた露店が出ている。何故か、この異世界の文字が理解できるのがおかしなところだ。カラフルな文字で多種多様に書かれてある。
「もしかすると、このジュースが売れるのか? 一応は宝箱に入っていたアイテムだからな」
後ろから来た冒険者さんが来たので、横によけて持っていたビンのラベルを見た。
「『■眉が伸びる<美味しいフルーツ味>』か。要らないなぁ……」
「な、なんだってー!?」
横から大きな声が聞こえたので、ギョッとして振り向いた。
俺のつぶやきを聞きつけたようで、誰かが超特急でこちらに駆けてきた。
やってきたのは、身なりの良い男だった。
「な、なにがですか?」
思わず尋ね返す俺に、その男は血走った目を更に開眼した。
「そのアイテムを見せてくれ!」
「は、はあ。良いですよ」
俺がアイテムのラベルを見えるように向けると、男は目を煌めかせた。
手は祈りをささげるポーズだ。
「これは、私が長年追い求めていたアイテムじゃないか! いくらで売ってくれる!? いくらでも出そう!」
「えっ? 本当ですか?」
「物と引き換えでもいいぞ!」
「本当に?」
その時、ダンジョンから人が出てきた。
鎧を着た冒険者とローブを着た冒険者だ。
話しながら俺の横を通り過ぎていく。
「この近くのアパートに住めたら『ダンジョン①』に行くのも簡単だけどなァ」
「そうだねー? でも、部屋がないらしいよー?」
「ここら辺で住めたら、生活も楽だろうけどなァ」
「そうだねー?」
こ、これだー!
「俺にこの辺りのアパートを紹介して貰えませんか!」
「この近くのアパートに、かい?」
「はい! 『ダンジョン①』の近くで住みたいんです!」
「よし、取引完了だ! 私が家賃を払ってあげよう!」
「えっ、良いんですか! ありがとうございます!」
俺は、ここから徒歩一分のところのアパートを借りることに成功した。
そして、ここから俺のダンジョン生活が始まったのだった。




