14話 キョウヤVSライト
遅くなってすいません。バトルシーンが思ったより時間が掛かってしまいました。
キョウヤは掻き分けて出て来た少年の方を向いた。 少年は身長はキョウヤと同じぐらいで、少しだけ長い金髪で目も金色で顔は整っていた。(要はイケメンである)そんな少年がキョウヤに向かって睨んでいる。
「・・・誰だ?」
キョウヤは自分を睨んでいる金髪の生徒に言った。
「俺はライト。ライト=レグナントだ!!」
目の前の金髪の生徒――ライトはそう言った。
そして、もう一歩、こちらに近づいて、
「その手を離せ!!」
と、言ってくる。
「無理だな」
今、離せば間違いなく攻撃されるのでキョウヤはそう答えた。
すると、
「ふざけるな!!今すぐ離せ!!」
ライトが大きな声で言った。
「無理だな」
何度言われようと離せないのでキョウヤはもう一度言った。
「フィオナちゃんに何をした!!」
ライトが更に詰め寄りながら言ってくる。
キョウヤはライトを見ながら、
「・・・別に何でもいいだろ」
「お前・・・」
と、答えるとライトが拳を握り締めながら先程よりもキョウヤを睨む。
そして、何か決意したように右手を自分の肩と水平になるまで横に上げると、
「『魔法剣』(まほうけん)」
ライトがそう言うと右手が突然、光だした。その光が徐々に大きくなり、形作られていき、最終的にはライトの掌から伸びる光の剣になった。
「・・・何のつもりだ?」
キョウヤはライトが出した光の剣を見ながら言った。
光の剣は百十センチぐらいの大きさで、今でも光を放っている。
ライトは光の剣を構えながら、
「勝負だ!!」
と、言った。
キョウヤは、何故勝負するのか分からないので、
「・・・勝負?」
「そうだ――」
ライトは一旦区切り、
「――俺が勝ったら、フィオナちゃんを返せ!!そして、二度と近付くな!!」
ライトは叫ぶ様に言った。
「ライトの奴、本気かよ・・・」
「でも、ライトならあいつに勝てるんじゃないか?」
「ライト君が負けるはずがないよ」
ライトの言葉を聞いた周りの生徒が、騒ぎ始めた。 キョウヤは、ライトを見ながら、
「・・・本気で言ってるのか?」
と、ライトに聞いた。
ライトは剣を構えたまま、
「本気だ!!」
と、また大きな声で言う。
それに対してキョウヤは、
「・・・・・・」
何も言わずにフィオナの右手首を掴んでいる左手を離した。
フィオナはキョウヤの左手が離れると一目散にライトの所に走って行こうとしたので、
「待て」
と、言うがフィオナは、反応せずに、一目散にライトの所に向かっている。
「おい、待て」
キョウヤはポケットに手を入れて、
「動くな」
と、ライトが光の剣をキョウヤの首筋に突き付けていた。
「・・・何のつもりだ?」
「ポケットから何も出さずに手を出せ」
「・・・・・・」
キョウヤはポケットから何も出さずに手をだした。 ライトは、キョウヤが何も出してないのを確認すると、後ろに下がって光の剣を消し、後ろにいるフィオナに
「大丈夫か?」
と、声を掛けていた。
フィオナも「大丈夫です」と、返事をして、そこから少し話をしていた。
「・・・・・・」
そんな光景を見て、キョウヤは、溜息を付いて、
「・・・屑だな」
と、呟いて踵を返して歩こうとした。
「屑、なんかじゃありません!!」
と、後ろから声がした。
肩越しに後ろを見ると、フィオナが凄く必死な顔でキョウヤを見ていた。
「屑、屑、屑って私達の何処が屑なんですか?」
「・・・・・・」
「力が無いから屑ですか?強く無いから屑ですか?」
「・・・・・・」
「自分勝手に暴力を振るい、人を傷つける、そんな貴方の方が屑です!!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・違うな」
「なっ・・・」
「俺は、化け物だ。屑じゃない」
キョウヤがそう言うとフィオナは呆気に取られた顔になった。
「な、何言って」
「なら言うが、お前等が屑だという理由を話した所で納得するのか?」
「それは・・・」
「納得するわけ無いだろ?」
「・・・・・・」
フィオナは何も言えず黙ってしまった。
「・・・別に俺もお前等が屑の理由を話すつもりは無い」
キョウヤはそう言うと前を向いて歩きだした所で、
「待て!!」
と、また後ろから声がしたので、もう一度肩越しに後ろを見ると今度はライトがキョウヤに近づいて来ている。
「・・・何だ?」
「屑じゃない」
「は?」
「フィオナちゃんは、屑何かじゃない!!」
ライトが叫ぶ様に言う。
そして、続けて
「友達の為に行動出来るフィオナちゃんの何処が屑何だ!!」
ライトは叫んだ。
それを聞いてキョウヤは、
「・・・友達の為?」
「そうだ!!」
「・・・・・・」
聞き返し、先程のフィオナの言葉を思い出す。
よく関わろうとする
理解出来ない
という言葉を思い出す。
キョウヤは、その言葉を言った本人を見ると、真剣な目をしていた。
友達の為
と言っているような、そんな目をしていた。
「・・・・・・」
そんな目を見て、本当に屑だなと思ってしまう。だから、少しだけ「視る」事にした。
そして、ほんの一瞬だけ力を使った。
その結果、
「・・・確かに屑じゃないな」
「当たり前に決ま」
「屑以下だ」
だと、分かった。
「何て言った?」
「・・・・・・あ?」
「何て言ったって言ってんだよ!!」
ライトの顔は誰から見ても怒りに満ちていた。
「・・・屑以下」
「お前!!」
言うやいなライトは光の剣を出して、キョウヤに切り掛かった。しかし、キョウヤは後ろに跳んでそれを避ける。
「・・・いきなりだな」
「・・・お前だけは」
「あ?」
「お前だけは許さない!!」
ライトはそう言うと、再度キョウヤに切り掛かる。だが、キョウヤはもう一度後ろに跳んで避ける。ライトは又避けられたのが頭にきたのか、何回もキョウヤに切り掛かる。
「・・・・・・」
それを、後ろに跳んだり、横に跳んだり、時には、かい潜ってライトの後ろに跳んだりしながらキョウヤは光の剣を避ける。
「くそっ、くそっ!!」
ライトは、剣を振りながら言うが、キョウヤは避ける。それが何回も繰り返されていた。何か要因が無ければ、終わらないように。それは、繰り返されていた。そして、ある時、それは終わった。
その繰り返しを終わらせたのは――、キョウヤであった。
ライトが剣を振ってきた時、今までより大きく、後ろに跳んだ。ライトはキョウヤが大きく後ろに跳んだ事により、ペースが乱れて追撃はせず、肩で息をしている。 そこで、キョウヤは、その瞬間を狙って、攻撃、
「一つ、聞いていいか?」
――せずに、ライトに話掛けた。
「これって勝負か?」
と、聞いた。
「何を、言ってる?」
「今やっているのは、勝負なのかと聞いてる」
「・・・・・・」
キョウヤの質問にライトは暫しの間、無言になり、
「ああ、勝負だ!!」
声を張り上げて言った。
「・・・勝負って事は、勝ったら何かあるのか?」
「何?」
「勝ち負けをつけるだけか?」
「・・・それは」
「・・・・・・」
「俺が」
「あ?」
「俺が勝ったらフィオナちゃんに謝れ!!」
ライトが何回目か分からないほどの大声で言った。 対して、キョウヤは、
「・・・謝る理由が分からないが・・・別にいいか」
何故、謝らなければならないのか分かっていなかった。
「来いよ」
キョウヤが一言言うと、ライトが、
「行くぜ!!」
と、言うやいな、ライトの身体を光が包み始めた。そして、包み終わると、もうスピードでキョウヤに向かって行った。
「せいっ!!」
の気合と共に一閃。右から左に剣を振るう。それは先程と違い、かなりの速さであった。
それに対して、キョウヤはしゃがんで、剣を避けた。剣が自分の頭の上を通過したにも拘わらず、特に表情を変えなかった。そして、立ち上がると同時に右手を握り締めて、ライトの顎に目掛けてアッパーを放った。
「がっ!?」
キョウヤの拳がライトの顎のほぼ中心を捉え、ライトは後ろに二、三歩よろめく。キョウヤはその瞬間を見逃さずに距離を詰めて、今度は腹にボディブローを決めた。
「ぐほっ!?」
今度も腹の中心を捉え、後ろに殴り飛ばした。殴り飛ばされたライトは二転三転と地面を転がった。
「・・・・・・」
キョウヤは流石に倒れている相手に追撃せずに、倒れているライトを見ている。
「く・・・・・そ・・・っ」
暫くして、ライトが腕を震わせ、力を振り絞りながら立ち上がろうとしていた。しかし、ダメージが大きいのか、何度も何度も腕が、ガクッとバランスを崩して、一向に立ち上がれない。
「ライト君頑張って!!」
ライトの後ろにいるフィオナが叫んだ。それに伴って周りからも声が挙がる。
「そうだ!!立て、ライト!!」
「そんな奴に負けるんじゃねぇ!!」
周りからの声がどんどん、どんどん増えていった。増えていくにつれて、ライトに変化が表れた。
「そうだ・・・俺は負けられない」
「・・・・・・」
「みんなの為にも・・・・・・フィオナちゃんの為にも・・・俺は・・・」
ライトはそう言うと立ち上がり、キョウヤの方を見ながら、
「お前を倒す!!」
と、言うとキョウヤに向かって右手を翳して
「『レイ』!!」
ライトがそう言うと、右手から一筋の光の光線がキョウヤに向かって放たれた。
「・・・・・・」
キョウヤはその光線を避けようとせずに、右手を伸ばして光の光線を受けた。
「『ライトボール』」
ライトは直ぐさま、そう言うと右手に光の球が現れ、キョウヤに向かって突き進んでいった。
キョウヤは今度は右手で振り払う様にして光の球を消した。
その瞬間、ライトの目が先程よりも強い意思が宿った。
「『レイ』『レイ』『レイ』『レイ』」
ライトは『レイ』連発した。――キョウヤに向かってではなく――壁や床などに向けて。 キョウヤは不思議にそうにバラバラに放たれた『レイ』を見ていた。
そして、突如バラバラに放たれた『レイ』が方向を変えた。
全ての『レイ』が、キョウヤに向かって方向を変え――キョウヤに直撃する。
「ぐっ!?」
「活ける!!」
キョウヤの反応を見て、ライトがそう言うと、もう一度『レイ』を先程よりも多く、壁や床に向かって放つと今度はキョウヤに向けて、
「『ライトボール』!!」
を連発した。
「・・・・・・」
それに対してキョウヤは避けるつもりが無いのか、全く、脚を動かさなかった。
そして『レイ』が方向を変え、再びキョウヤに向かっていくが、今度は両手を使って全ての『レイ』を受け止めようとした。しかし最初の方は受け止めたが、先程よりも多く、更に『ライトボール』まで向かって来ているので、途中からは全く受け止められずに直撃した。
「・・・・・・」
全弾直撃したにも拘わらず、キョウヤは立っていた。
しかし、この瞬間、勝負はついたも同然と誰の目にも写っていた。
最初は押されていたが、二発しか喰らっておらず見た目も普通のライト
全弾直撃し、未だに立ってはいるが見た目がボロボロのキョウヤ
その二人を見比べて、どちらが押されていると思うと聞かれたら、迷わず「ライト」と答えるだろう。
だが、それはある意味「正解」であり、ある意味「不正解」である。
そして、ライトが動く。本当の「正解」にするべく動いた。
ライトは右手をキョウヤに向けて、再度翳して、「詠唱」する。
「全ての光よ
我が前に集まり
敵を貫く刃とかせ」
ライトが「詠唱」すると、右手の前に光が集まる。それは徐々に球体になり、今までより巨大で、大きく光り輝いている。そして、右手を一旦引くと『魔法剣』を出して両手で握り、
「光り輝く刃(レイ・ヴィルス)」
目の前の巨大な球体に『魔法剣』を突き刺した。その瞬間、
――球体から先端が剣の形をした、まばゆい極太の光線が放たれた。
「・・・屑が」
それをみたキョウヤは、そう呟いた。しかし、キョウヤは避けない。全く動こうとしない。そして『光り輝く刃(レイ・ヴィルス)』が、向かってくる。キョウヤは『光り輝く刃(レイ・ヴィルス)』を見るが、全く見えない。まばゆい光を放っているため、全く見えない。
「・・・・・・」
キョウヤは両手を後ろにやり、タイミングを測るかの様に目を閉じ、そして目を開き、そのまま一気に前に伸ばして、
「なっ!?」
『光り輝く刃(レイ・ヴィルス)』を両手で受け止めた。だが、徐々に押され始め、ズズズッと足が後ろに下がっていた。
「くそっ」
キョウヤは舌打ちをするが、止まらない。気付けばかなり後ろまで、下がっていた。
この瞬間、誰もがライトの勝ちを疑わなかった。だが、次の瞬間。
『光り輝く刃(レイ・ヴィルス)』が消えた。
消えたおかげで周りが見える様になる。
「なっ・・・」
「本気かよ・・・」
「耐えたのかよ・・・」
そこには『光り輝く刃(レイ・ヴィルス)』が消えた事に驚いているライトと、
「・・・・・・」
ボロボロだが相変わらず立っているキョウヤがいた。
「お前ら何をやっている!!」
周りの生徒を掻き分けて教師達が出て来た。そして、キョウヤとライトのお互いを見て、
「これは何だ!?」
教師達が怒鳴る。
「いや・・・これは」
ライトは何と言おうか戸惑っていた。
「・・・・・・」
キョウヤは無視して、何処かに行こうとしていた。
「おい、待て」
そんなキョウヤを教師のディグ=モーナスが呼び止めようとしたが、キョウヤは無視して何処へ行ってしまった。