参観日の家族参加型授業で嫁たちが無双する(その3)。
おまたせしました!今日明日は連続更新いたします!
ハンドボールに参加してくれたのは、稲荷神の久遠、忍者のアヤメ、歌手の真綾と沙綾、斎部神社の祭神ツバサ、白虎神のブラン。
そして俺を合わせた7人のチームだ。
そしてキーパーは俺、相手チームはプロであるFがキーパーを務めている。
プロであればフィールドに5人だけでも素人相手には十分だろうし、シュートもほぼ防げると考えたのだろう。
俺の嫁たちがただの素人だったらな。
「ふっ、貴様ごときにキーパーが出来るのか?」
エリアンが俺の近くに来て安い挑発をしてくるがその手には乗らない。
キーパーは常に冷静でないとな。
というかエリアンはプロの動きについていけなくてずっと俺の前でボールが来るのを待つ作戦らしい。
「みんな!思いっきりやってくれ!俺がしっかり守ってるからな!」
「「「「「「はいっ♡」」」」」」
嫁たちは満面の笑みで俺に応えてくれる。
「くううっ!なんだよあれ!」
「うらやましくないっ!うらやましくなんかないぞっ!」
相手クラスの男子が血涙を流してる…あっ、うちのクラスの男子もだった。
「なっ?!速いっ?!」
「こいつ、本当に素人か?」
ブランが凄いスピードでドリブルをして敵の選手を抜き去っていく!
さすが白虎神。
黒いメッシュの入った白い髪は白髪みたいなくすんだ色ではなく透明感のある美しい白で、それをなびかせて走る姿はまさに白虎が森を駆け抜けていくようで惚れ惚れしてしまう。
「我のシュートを止められるか?ゆくぞっ!」
ブランはしなやかな体のバネで軽々とゴールエリアラインを飛び越え、
「なんてジャンプ力だ!」
「止めろ!」
「そんなっ?!キーパーを飛び超えただと?!」
ゴールエリアラインからゴールまで6mもあるのに………ブランは楽々とゴールを飛び越えた!
⋯やりすぎ。
「す、すまないレイジ」
「ドンマイ、ブラン!」
ゴールの向こうから恥ずかしさで真っ赤になったブランが戻ってくる。
「失敗したおかげでブランの可愛いところが見れたからいいよ」
「そ、そういうのは心の中で言うものだぞ!」
「レイジにブランよ、イチャついている暇は無いのじゃ」
「すまん、久遠。さあ、しまっていこうっ!」
「「「おぉー?」」」
あれ?相手ボールからスタートでディフェンスになるからこういう掛け声でいいのかと思ったけど?何だかみんな微妙な顔してるぞ?
「少年。うちにはそれが野球のキャッチャーの掛け声に聞こえるんやけどな?なぁ沙綾?」
「真綾の言う通りやで。わてもキャッチャーかと思たわ」
「それなら⋯」
そういえばバスケのマンガでそういうシーン見た覚えがあるぞ。
「ディフェーンス!止めるぞ!」
「「「「「「おー!」」」」」」
これならハンドボールにもしっくりくるみたいだな。
とかやってる間に敵のAからB、ドリブルしてからEにパスが渡ってもう目の前でシュートの体勢に入っている。
俺はEの目の前に詰めてシュートコースを狭くする!
「さあ来いっ!」
Eは前に出た俺の股の間でバウンドさせるように低いシュートを撃ってきた!
「くっ!」
「レイジよ、ワレに任せるのだ」
なんとツバサがゴールエリアラインの右端から飛ぶようにして俺の股下を抜けたボールをキャッチするとラインの左端に着地した。
「キーパーの後ろでボールを空中キャッチしただと?!」
「なんだあの異常なジャンプ力は?!もしや獣人なのか?!」
ツバサは獣人と言うよりは獣神、いや鳥神なんだけどな。
「ブラン!」
「任せろ!」
ツバサからブランにボールが渡って敵陣にドリブルで切り込んでいき、敵を二人引き付けた所でノーマークになったゴール前の真綾にボールが渡る!
「行くで沙綾!」
「おう!わてらの必殺技を見せたるで!」
沙綾がゴール前で寝そべって両足を上にあげているけどなんだあれは?
そしてボールを持った真綾がそこに飛び乗って体を縮めて⋯
「まさかあの技はっ?!」
「知っているのかライジェン?!」
クラスメイトどころかここにいる観客全員の視線が彼に集まる。
「あれこそは禁断の奥義とされた『スカイラブラブハリケーン』の体勢!まさか会得している者が居るとは!」
『スカイラブラブハリケーン』
双子のみが使えるとされる技で、ひとりが寝そべってもうひとりを足の裏に乗せて射出して空中からシュートを放つとされる。
禁断の奥義とされるのはこれを本来のサッカーでやると反則になるからである。(りんミンメイ書房刊『ルール無視はマンガなら許される?』より抜粋)。
「このブレイブチェスのハンドボールではそのくらいでは反則にならないけどな」
「でもよ、ライジェン。サッカーの技をハンドボールで使うのかよ?」
「いいかねジェイソンくん?この技はむしろハンドボールのほうにむいているのだよ。二人の両足の裏を合わせて空中に射出する時、ボールはどこにある?」
「そりゃあ持って飛ぶんだろ?あっ?!」
「わかったようだね。サッカーではそれが出来ないから飛んでからセンタリングをもらうんだ」
「そうか!ハンドボールなら持ったまま飛んですぐにシュートが出来る!」
「そう、ハンドボールのほうがやりやすい技なんだ!」
とか説明している間に真綾が3メートルもの高さからシュートを放つが、キーパーがジャンプしてそれを難なくキャッチする。
プロは3メートルの高さでも対応してくるのか!
「まだ失敗したわけやあらへんで!」
「今度こそ決めたるわ!」
やる気満々の沙綾は敵Dからボールを奪ったブランからのパスを受け取ると、今度は真綾が下になってスカイラブラブハリケーンの体勢に入る。
「あっはっは!それはさっき通用しなかっただろ!」
とエリアンは嘲笑うが、今度は先程のとは違う。
「キーパーに背を向けてのスカイラブラブハリケーンや!」
「なにいっ?!」
今度はキーパーに背を向けたまま真上に飛び上がった沙綾は空中で体を反転させてシュートを放とうとし、キーパーもそれに合わせてジャンプして防ごうとする!
「兄さん!そいつはボールを持っていないぞ!」
「なにっ?!」
「もろたで!」
踏み台になっていた真綾が体を起こして飛び上がったキーパーの足元にシュートを決めるっ!
沙綾がジャンプする時に土台の真綾にこっそりボールを渡していたのだが、背を向けられていたキーパーにはそれが見えなかったのだ!
「ナイスシュートです!真綾さん!沙綾さん!」
「どや?少年?うちらに惚れ直したやろ?」
「まあわてらにかかればこんなもんや」
クラスメイトも大盛り上がりだ。
「いいぞっ!今度も勝ちはFクラスがもらったぞ!」
「何してるんだエリアン!Aクラスの代表のクセに!」
盛り上がるFクラスとは逆にAクラスからはヤジが飛び交う。
「くそっ!今のは油断していたからだ!まぐれだっ!兄さんたち!今度こそ頼むよ!」
「おう!プロの本気を見せてやる!」
ただの素人ではないとようやく気づいた相手チームは真剣な表情になってボールを回し始める。
素早い動きとパスでどんどん抜かれてゴールに迫ってくるが今度こそ止めてみせるぞ!
「こっちだ!ボールを回せ!」
「おう!⋯って誰だよお前は?!」
「なっ?!わらわの完璧なる変身を見破ったじゃと?!」
久遠が相手を撹乱するために相手チームのひとりに変身していたのだけど⋯身長がそのままなんだよな。可愛い
「まだわらわの神力では体の大きさまで変えるのは難しいのじゃ」
「それなら無理しなくていいのに」
「でもみんな活躍しているのじゃから、わらわも負けていられないのじゃ!」
久遠はぐっと拳を握りしめるとボールを持っている敵Cに食らいついていく。
「ふん、ど素人が!」
敵Cは華麗なドリブルとフェイントで久遠の後ろ側に回り込もうとするが、
「阿修羅変化なのじゃ!」
ポンッと音を立てて久遠は阿修羅のような三面六臂の姿になる。
「この6本の腕でボールを奪ってやるのじゃ!」
「くっ、顔が左右にもあるからフェイントが効かないだと?くっ!」
「ボールはもらったのじゃ!」
見事ボールを奪った久遠はブランにパスをし、ブラン素早いドリブルで相手を翻弄し、そこからパスを受けた真綾から沙綾へとボールが渡る。
「お前たちは二人は他の奴らに比べてそれほど身体能力は高くないようだな!」
「確かにそうや。でもわてらだけでやってるのとちゃうからな」
沙綾はそう言うと真上にボールを放り投げる!
「真上に上げてどうする気だ?自分で投げたボールを掴むと反則だぞ!」
「それをワレが取るのだよ」
高さ5メートルくらいのボールを難なくジャンプしてキャッチするツバサ。
ジャンプと言うよりほとんど飛んでるみたいだけど。
「アヤメ!パス!」
「ツバサ殿、しかと受け取ったでござる!」
「くそっ!兄さん止めて!」
「任せろエリアン!」
「ならば分身魔球をくらうでござる!」
「なにっ?!」
ツバサからゴール前でボールを受け取ったアヤメがシュートすると、そのボールが5つに分身してキーパーFを惑わせる!
「プロを舐めるなっ!俺の両手両足で4つ、そして顔面で5つ目を止めてやるっ!ボールは親友!怖くないっ!」
バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!
バキーン!
「質量のある残像だと⋯?」
「なんてセービングだ!まさか両手両足と股間でボールを止めるなんて!」
目測を謝ったキーパーFはうずくまってゲームはしばらく中断となった。
お読み下さりありがとうございました!




