レイジとはやて。朝の風景。
BLではありません。念の為。
「レイジ、朝だよ」
「…もう少し寝かせてよ」
「もう、そんなに寝たいならボクの膝の上にしなよ」
「わかったよ…すうううっ」
はやての膝の上に頭を載せてはやてのおなかに顔を付けて息を吸い込むレイジ。
「そんなにボクの匂いをかぎたいの?」
「ああ、はやての香りはとても好きだからさ」
「もう、レイジったら」
こつんとレイジの頭をたたくと、そのままかがんでレイジの頬にキスをする。
「恋人じゃないんだからダメだって」
「親友だからいいよね?」
「甘えん坊だなあ、はやては」
そして今度は唇同士で軽いキス。
レイジとはやての朝はそうやって始まる。
「という薄い本がマンガ部で売ってたのでたので、買ってきたっす!」
「できるの早すぎだろっ?!」
まだ留学してから1週間も経ってないのにそんなのができたの?
「別に誰が売ろうが買おうが俺は文句言わないけど、それを本人の前に持ってこないでくれよ、なっ、はやて」
「はやてならマンガ部に行ったっすよ」
「直接苦情言いに行ったのかな?揉めてるといけないから俺も行ってくるよ」
「レイジ、それよりも今日のEクラスとの騎士戦の相談をしないか?」
「そうだったな」
Fクラスは今日まで血の汗を流し涙を拭かずにがんばってきたんだ。
「基礎体力の底上げは出来たし騎士役の生徒の槍術も上達したから、Eクラスなら勝てるよ」
レイジがそう断言できるのは以前にEクラスに負けた時の映像を見ているからだ。
「戦術的にはほぼ互角。負けた原因は身体能力が相手より低かったことと槍術の技量不足だ」
それをわずか4日でEクラスに勝てるほどに鍛え上げたのだ。
「今日の目標はただの勝利ではなく完勝!そのための鍵はジェイソンたちにあるからな!」
「おう!任せろっ!」
「目にもの見せてやるよ!」
「ふふっ、ようやくぼくの頭脳が役に立つ時がきたんだね」
「ぼ、ぼ、ぼくは大丈夫かなあ?やっぱりジェイソンが上の方がいいんじゃないの?」
「何言ってるんだロヴィ!あんなに特訓したんだから大丈夫に決まってるだろ!」
バンバンとロヴィの背中を叩くジェイソン。
「よし、では戦法の確認からだ」
「「「おう!」」」
そこには今までの自信喪失していたFクラスの姿は無かった。
○第三者視点○
「Fクラスに日本人が来て特訓をしていたらしいが、俺たちに丸見えの特訓なんかして対策されないとでも思ったのか?」
「そうだな。みんな体力も技術も向上したようだが、所詮我々Eクラスの敵じゃない」
「警戒するのはジェイソンたちくらいだな」
「あの怪力留学生たちはどうなんだ?」
「確かに侮れない奴らだが、Fクラスの余り物2人と組んでるからな」
元々Fクラスは38人で、騎士戦の時に2人の補欠が居たのだ。
「なるほど、騎馬の足があの二人では文字通り足を引っ張るわけだ」
「いや、1人は足にもなれないだろ」
補欠だったのは吸血鬼のアリス・ナスターセとサキュバスのラウラ・フローレア。
身長が130しかないアリスは騎馬の足になるには小さすぎるし、かと言って騎士役をしても長い槍を振り回せそうにないくらい華奢だ。
「だが突進で倒されては困るぞ。あの留学生たちはロードローラーを押せるくらいの怪力だからな」
「それなら心配無い。サキュバスと触れ合った状態で男どもが力を出せるはず無いだろ?」
「それもそうだな。ぎゃははははは」
サキュバスと触れ合って力が出せないとはどういうことか?
話はアリスとラウラとレイジとはやての4人がチームを組んだ時に遡る。
「なあ、レイジ。やっぱりお前たちは俺たちと組んだ方が良くないか?重機関車チームとして、敵をすり潰してやろうぜ!」
そう言うジェイソンに首を横に振るレイジ。
「騎士戦は相手を騎馬の体当たりで倒しても構わないけど、それだと勝利ポイントが低くなってしまうだろ?Sクラスに肉薄するには相手の騎士を全員槍で叩き落とさないとな」
そのために騎士が活躍出来る組み方を見直したのだ。
手足が長い生徒のバランス感覚と槍術の腕を鍛え、騎馬の生徒はそれをしっかり支えながら自在に動き回れるように訓練した。
「俺たちのチームは…という騎馬の組み方をするんだ」
「ふうん。そうした所で結局はラウラの手にレイジとはやての手が触れるけど大丈夫かしら?」
ラウラが心配するとおり、サキュバスは異性を虜にするフェロモン的なものを出している。
しかも若いうちはそのコントロールが上手くできないため見るだけでも異性を魅了してしまう。
ましてや手で触れ合ったらもっと強く魅了され、騎馬を組むどころか発情期の馬のようになってしまうだろう。
「でもラウラはレイジやはやてみたいな逞しい男性なら襲われてもいいのよ。うふふ」
「ラウラの戯言はさておき、革手袋を付ければその問題は解決するっすよ」
「というかどのくらい魅了されるか確かめてもいい?」
そう言うとレイジはラウラに右手を差し出した。
「あらあ、本当にいいの?それなら万が一のために保健室行こっか?」
「じゃあレイジ、頑張ってきてね。骨は拾ってあげるよ」
「ああ、頼むよ」
「あら?はやてくんも一緒でいいのよ?ラウラは2人相手でも大丈夫だから、うふふっ」
「ボクにはサキュバスの魅了は通じないからさ、ほら」
いきなりラウラの手を握るはやて。
「きゃっ?!」
「どう?平気でしょ?」
「う、うん、分かったから早く離して!」
いつも余裕ぶっているラウラが少し赤面しているがはやては何ともない。
性別が無い状態のはやてには性的魅了が通じないからだが、もちろんラウラはそんな事は知らない。
「じゃあ行こうか」
そう言うとレイジはラウラと保健室に行ってしまう。
「はやて、本当にいいっすか?レイジを寝盗られるかもしれないっすよ」
「今更レイジの嫁が増えても気にしないよ」
「レイジを魅了して独占するかもしれないっすよ?それに結婚しないのなら浮気じゃないっすか?」
「ボクとしてはラウラがレイジの魅力に負けると思うんだけどな。何しろ神様やエルフやトップアイドルまで嫁にしているんだからさ」
「エルフ?!それって実在するっすか?!」
「え?エルフってこの学園には居ないの?」
「ここに居るのは魔族ばかりっす。エルフやドワーフなんて見たことないっすよ」
「でもダークエルフがいるじゃないの」
「エルフとダークエルフは天使と悪魔くらい違うっすよ!」
なんて会話をしている間にレイジとラウラは保健室に着く。
「失礼します」
「あら、怪我でもしたの?」
そう言うのは保健室の養護教諭であるレイラ・フローレア。
名前からわかるように、ラウラの姉である。
「違うわよお姉ちゃん。ラウラの魅了が効くか試したいって言うから、もし野獣になって襲い掛かられてもいいようにベッドのあるここに来たのよ。うふふっ」
そう言ってラウラはベッドに座るとレイジを手招く。
「さあ、ラウラの目を見て。そしてこの手に触れてごらんなさい」
「わかった」
そう言うとレイジはじっとラウラの大きな瞳を凝視した。
そしてその白く美しい手をぎゅっと握りながらベッドの隣に腰かける。
「ひゃうんっ?!ま、待って、もっとラウラの目をよく見て!」
「見てるよ。綺麗な瞳だよね」
「う、うん、ありがと。…お、おねえちゃーん!」
赤くなったラウラはレイラに助けを求めるとレイラはレイジの頬を両手で挟み、自分の方を向かせる。
「ねえ、レイラのことも見てくれる?」
「え?」
「ほらほらほら、あなたはレイラから目が離せなくなる…」
魅了の力でラウラから自分に関心を移そうとするレイラ。
「先生…」
「ふふっ、もうレイラの虜になったわね?じゃあ、このまま休み時間終わるまでおやすみなさい」
「はい」
レイジは言われるままにベットに横たわる。
「あーーーん、お姉ちゃん、怖かったよお!」
「もう、ラウラったら、まだ魅了の力を使いこなせないのね?」
「だって、普通ならこの距離でラウラの目を見ただけで思い通りに出来るのに、全然効かないんだもん!」
「だから念の為保健室に来てもらってるんだから。何しろ現代のサキュバスは『いかに処女のままたくさんの男性を篭絡できるか』ってことを競っているものね」
「うん、お姉ちゃんが居なかったら、ケダモノになったレイジに襲われたかも。彼ってすごく強いのよ」
「見たらわかるわよ。体格いいだけじゃなくてこの筋肉は普通じゃないわ」
「あーあ、でもこれでまたお姉ちゃんに差をつけられちゃったか」
「ふふっ、もっと頑張る事ね」
「だってえ、恥ずかしいんだよお。本当のラウラは目立つのが嫌いなんだから」
「サキュバスのランク付けから逃れたいのならどこかに嫁に行ったらどうかしら?」
「だって…男性って怖いもん」
自分の体をぎゅっと抱きしめるラウラ。
「サキュバスが自分の力をコントロール出来ないうちに男性を知ると淫乱になって、昔のサキュバスみたいにあらゆる男性と関係を持つようになるのよね。ラウラ、そんなふうになりたくないから!」
「それなら頑張ってきて自分の力をコントロールするようにしないとね。…あれ?もしかして…」
「どうしたのお姉ちゃん?」
「その子、レイジくんっていう留学生よね」
「うん」
「レイラの魅了、効いてなくない?」
「え?!嘘でしょ?!」
「あれ?バレてました?」
ひょいと起き上がるレイジ。
「寝てって頼まれたからねていただけなんだけど、魅了したつもりだったとは思わなかったよ。しかも何だか聞いたらいけなさそうな話も始まったから起きるタイミングが無くって」
それを聞いて呆然とするサキュバス姉妹。
「あなた普通の人間よね?ゴリラとかじゃなくて」
「ラウラ、ゴリラなら確実にレイラたちの魅了に掛かるわよ」
サキュバスの魅了は種族の差を超えるほどに強いのだ。
「とりあえず魅了されないのなら騎士戦で手を繋いで騎馬を組んでも大丈夫だな」
そう言うとレイジはラウラの手を握る。
「ほら、なんともないだろ?」
「う、うん」
真っ赤になって顔を背けるラウラ。
「どうして?ちょっと手を貸しなさい!」
サキュバスの沽券に関わるとばかりにレイラはレイジの手を握りしめた。
「どう?そのままレイラの目をじっと見て。レイラのことを好きになってきたかしら?」
「俺は惚れっぽいので、初めて見た時から素敵な先生だなって思ってましたけど」
「そう言う純粋なのじゃなくて、性的によ!こうなったら容赦しないわ!」
プライドを傷つけられたように感じたレイラは白衣をばっと脱ぎ捨てる。
「えっ?!」
レイラが白衣の下に纏っていたのはサキュバス伝統の勝負服、布面積最小の漆黒ビキニだった。
お読み下さりありがとうございます!
ブックマークや評価や感想をいただけると嬉しいですっ!




