妻たちに襲いかかるイケメンアイドルとその事務所の社長をぶちのめす
お待たせしました!難産でした。
『ダーリン!すぐに来て!』
ん?
慌てて飛び起きるが声の主であるかなみさんの姿は見えない。
「どうしたのじゃ?」
「旦那様、どうかされましたか?」
俺の両側で眠っていた久遠とフィーネも一緒に起きてくれた。
「かなみさんが『すぐに来て』っていう声が聞こえた気がしたんだけど」
「それはかなみに持たせてある『通い妻のお守り』の効果で、夫であるレイジに助けを求めてきたのじゃ!」
「何だって?じゃあすぐに行かないと!でも服装が…」
今パジャマだもんな。
しかし着替えている時間も惜しい!
「旦那様、それではわたくしにお任せください」
フィーネの手が素早く動き、あっと言う間に俺の服を脱がして着せ替えてくれた。
どうしてそんな器用なことができるのか聞きたいけど、それよりすぐにかなみのところに行かないと!
「『通い妻のお守り』を持っている妻の所へは『行きたい』と念じるだけで行けるのじゃ」
「わかった!『かなみさんの所へ行きたいっ!』」
すると景色がゆがんで、どこかで見たような場所に転移した。
「これってかなみさんたちが収録していた番組のセット?」
ゴールデンタイムの有名番組のセットだから見覚えあるはずだ。
そして俺がキョロキョロしていると、物陰からかなみさんの声がした。
「だから、あたしはもう人妻なのよ!」
「嘘つけ!そうだとしても俺以上の相手なんて居ないだろうから俺に乗り換えろよ!」
「いやっ!とにかく離してよ!」
「俺たちの事務所を抜けてからいつもスケジュールが合わなくて逃げられていたが、今日こそは逃がさないからな!さあ、俺たちの楽屋に来てもらおうか」
かなみさん?!
「こっちも捕まえたぞ!」
「いやああ!やめるじゃん!」
アンナさん?!
「おらっ!早く来い!」
「何するのよっ!誰か助けて!」
早苗さん!
「ここのスタッフはもう引き上げさせたからな。邪魔は入らないんだよ」
「こんなことして許されないわよ!」
星奈さん!
「へへっ、いつまでそうやって強がっていられるかな?」
「あんたら絶対に許さへんで」
「そやそや!」
「うるせえ!」
「その可愛い顔、ぶん殴られたくなければおとなしくしろっ!」
真綾さんと沙彩さんも?!
BWAのメンバーを羽交い絞めにしてひきずっていくのは『天華無装』っていうグループのイケメンアイドルたちだ。
こいつらは前にBWAが所属していたソドム事務所のアイドルだけど、みんなになんてことをしてくれるんだ!
「おい」
「ん?」
バキイッ!ドスッ!
「あがっ!うげっ!」
かなみさんを捕まえていた男の顔面を殴って半回転したところで腰骨の『窮点』に二本貫き手(人差し指と中指だけの貫き手)を打ち込んだ。
「何だこいつはっ?!」
「ダーリン!」
「何?まさかこいつがお前の旦那だって言うのかよ?!」
「私たちの夫になる人でもあるのよ!」
「そうよ!あなたたちなんかよりはるかに魅力的な人よ!」
「そや!うちらと将来を誓った仲やで!」
「わてらはこの人を愛しとるんや!」
「どういうことだよ?」
「全員こいつが好きだってことなのか?」
「とんだハーレム野郎じゃねーか!」
「ぶっ殺してやれ!」
そう言うや近くにあったマイクスタンドや機材を持って殴りかかってくるが…
ガシッ
「受け止めただと?!ぐあっ!ぎゃああっ!」
そのまま顔面をぶん殴って半回転したところでさっきと同じように『窮点』を二本貫き手を打ち込み次の相手も同じようにして制圧していく。
「ひ、ひいいっ!」
「逃がすか!」
俺はマリア姉さんのような超スピードでは動けないが普通の人よりはずっと早く走れる。
逃げ出した奴に追いつくと窮点を先に貫いた上で顔面を叩き潰した。
「ひ、ひどい…俺たちは顔が命なのに…」
「『女性に乱暴しようとした奴らは絶対に許すな。その場で裁きを下せ』が俺の父親の教えだ。だからお前たちの一番大切なものを奪ったまでだ」
「畜生!ソドム事務所を敵に回してこのまま済むと思うなよ!」
「その通りだ」
「「「「「「社長?!」」」」」」
そこに現れたのはソドム事務所の社長、祖堂宗男。
一代でソドム事務所を芸能界屈指と言われるほどに成長させた有名人だ。
「BWAの犯されている映像をネタに俺を裏切った茜崎の奴を脅して同じ目に遭わせてやろうと思ったが、まさか邪魔が入るとはな」
「悠里さんまでその毒牙に掛けようとしたのか!」
「悠里さん?お前みたいな小僧がそんなに親しい仲なのか?」
「俺の妻だ!」
「「「「「えええええええっ!」」」」」
驚いたのはBWAのメンバーたちだった。
「先を越されたじゃん!」
「それなら私も早く!」
「もうあなたのものにしてください!」
「うちはもうアンタのものやで!」
「そやそや!」
その言葉を聞いて俺を値踏みするように見てくる祖堂社長。
「ふむ。まさか君があの『100人嫁をもらえる男』だったのか」
「そうだ」
「それなら君を消せばいいのだな」
パチンと手を鳴らすと、屈強な男たちが粗堂社長の両側に現れた。
「こいつらは浅賀谷組の組員だ。聞いたことぐらいあるだろ?」
「よく抗争しているってニュースになってるから知ってるよ。巻き込まれたこともあるからね」
「何?」
「あっ」
「ああっ!こいつは!いえ、このお方は!」
ざざざっと目の前で土下座をする男たち。
「失礼しやした!我々はもちろん、浅賀谷組のもんは誰一人あなた様に逆らう気はありませんっ!」
「どうかお許しをっ!」
「何だと?!お前たち!何を言ってる!」
「じゃあ、『後始末』を頼んでもいいかな?なるべく穏便に。あっ、待って」
俺は祖堂社長の顔面をぶん殴ってから窮点を突く。
「うがあっ!な、何をっ?!」
「その腰の上の窮点っていう部分を突くと勃起時に激痛が走るようになるんだ」
「「「「「何だってえっ?!」」」」」
「ホンマか?」
「試してみよか」
もにゅ
いきなり沙彩さんが早苗さんの胸を揉みしだいた。
「ああんっ♡」
「「「「「うっ…ぎゃああああああっ!いでええええええっ!」」」」」
色っぽい声に反応してしまい、股間を抑えて転げまわる7人。
「ホンマや」
「これでもう二度と女性に悪さできへんな」
とりあえず俺は後を浅賀谷組の二人に任せてみんなを連れて外に出た。
そこには悠里さんが迎えに来てくれていた。
「良かった!無事だったのね!」
「ダーリンのおかげよ!」
「うん、カッコよかった!」
「それになんか怖そうな人が居たのに土下座してたけど」
「えっ?祖堂社長のボディガードのこと?あれって浅賀谷の組員でしょ?」
俺たちは悠里の運転する車に乗って帰宅の途につき、そこで事情を説明する。
「以前抗争に巻き込まれた時、街中で銃を乱射している組員たちをおとなしくさせたことがあったんだ」
「おとなしくって、殴り飛ばしたってこと?」
「人的被害が出る前だったから、とりあえず拳銃や刀を奪って全部アスファルトに埋め込んでみた」
「え゛?」
あれは俺が中学校に入学したころの話だったなあ。
「ねえ、こんなところで銃を撃つとか刀を振りまわすなんて許されないよね?」
「は、はひっ」
「あなたが一番偉い人?」
「わしは浅賀谷組の組長だ!」
「そっちの人も?」
「俺は三の谷組の組長だ!」
「ケンカなんてやめて、仲良くできないの?」
「無理に決まっている!」
「そうだ!それに貴様、俺たちが怖くないのか?」
「こんなことをして 貴様の家族がどうなっても知らんぞ!」
「ふうん」
どがっ!ぐるんっ!ガシャーン!
「わしの車がっ!」
「蹴っただけでひっくり返されただとっ?!」
「家族は全員僕以上に強いけど、本気で相手にする気なの?ああ、そう言えばお父さんが『後で絶対に復讐しそうな相手は息の根を止めろ』って言ってたなあ」
「こんな子供になんて教育してるんだ、その親は?!」
「ん?その言葉…まさかお前の父親は綿山徹人って言うんじゃ…」
「あれ?お父さんの事知ってるの?」
「ひええええっ!」
「はわわわわっ!」
いきなり土下座をする組長たち。
「失礼しやしたっ!どうか、どうかお許しください!」
「徹人様に言わないでくださいっ!」
「あなたたち二人が友達になるならいいよ」
「は、はひっ!ぜひとも!」
「はははっ!わ、我らは友達ですとも!」
「「わはははははっ!」」
「そんなことがあってね」
「あなたもすごいけど、あなたのお父さんって何者なのよ」
「生存請負人でSPとか用心棒とか色々やってたみたい」
「一度会ってみたいわね」
「うん。妻として紹介したいからその時にね」
「つ、妻…そうよね。もうあなたの妻になったのよね」
そう言ってモジモジする社長が可愛いけど運転中だから抱きしめられないなあ。
「社長ずるいじゃん!あたいも今すぐ嫁にしてほしいじゃん!」
「え?こんなところで?」
走行中で俺は助手席、アンナさんは一番後ろなんだけど。
「もう待てないじゃん!嫁にしてほしいじゃん!」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
こうやって返事するだけで夫婦になれるってのは不思議だけどもう慣れちゃったな。
「じゃあ、私も!レイジさん、中島早苗をレイジさんのお嫁さんにしてください」
「うん。喜んで!」
「次は私ね。星奈をあなたのお嫁さんにしてもらえるかしら?」
「うん、ありがとう!」
「じゃあ今度はうちらやな!うちら二人を…」
「待ってな。わてはできれば少年から言ってほしいわ」
「そやな。ええか?」
「うん。真綾さん、沙彩さん。俺の嫁になってください」
「「おおきに!ほな大切にしてや!」」
そのあとでアンナたちが自分たちも先に言われたかったと言っていたので、結婚指輪を買ってから改めて言うということに落ち着いた。
帰ってからわずかな時間しかなかったけど、朝まで二度寝をする事にした。
「どや、ナイスアイディアやろ?」
「ホンマや。真綾は天才やな」
ベッドの端の壁を背にしてBWAのメンバーが足を伸ばして並んで座り、その膝の上に俺が頭から太ももくらいまでを乗せて寝ている。
つまりは膝枕ロングバージョンと言ったところ。
しかもトップアイドルのBWAのだよ。
目の前に発案者の真綾さんの顔があり、それから沙彩さん、かなみさん、アンナさん、早苗さん、星奈さんが並んでいる。
ダンスで鍛えられた太ももの感触は程よい柔らかさで最高だけど…それ以上にすごい大人の女性の香りがする。
「あかん、我慢できんわ。レイジはんのこと触ってええかな?」
「撫でるくらいならいいけど、眠るから変なことしないでね」
「えー?私の目の前のモノ触ったらだめ?」
「早苗さん、そこは絶対にダメだからね」
そう言いつつ、俺は心地よい眠りについたのだった。
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