第98話 学校の人気者の裏の顔
妖怪お花畑の除霊が終わった後。 私は、望美さんのお部屋に戻ってきました。
白装束から、部屋着に着替えて。 ソファで、大先生の本を読んでいます。
「……恵。 そんなにこの本が好きなの?」
「はい!」
顔を上げると、望美さんがソファの向かいに座っていました。
キャミソール姿で、なんだか、襟元を直したり、髪をいじったり。 なんだか、そわそわしてます。 どうしたんでしょう?
「望美さん?」
「……うう」
望美さんは、しばらく黙っていました。 膝の上で、手を組んだり、離したり。
ずっと、ウズウズしています。 何か言いたいことがあるみたいです。
「あの、望美さん? どうかしました?」
「その……別に」
ーー沈黙。 だから私は、また本に目を落としました。 視線の端で望美さんがさらに緊張しているような気がします。
「……あ、あのね。 貴方はよく働いてくれたわ」
「はい!」
「……それで、来週なんだけど……そのね……私たちは、別荘に行くの」
「別荘ですか! 羨ましいですね!」
「うう……」
望美さんは、そっぽを向いたまま言いました。 私には無縁な話で羨ましいな〜
「バカンスですね! 素敵です! いっぱい楽しんでくださいね!」
「……あの、その。 それでなんだけど……」
望美さんが、こちらを向きました。 顔が、真っ赤です。 どうしたんですか?
「貴方も、来なさい……いや、違うわね。 その、来てくれたら嬉しいです」
「……え?」
私も、参加していいんですか? でもお母さんを一人にできないよ。 ただでさえ、無理を言っているのに。
「ごめんなさい……私、行けないです」
「……」
望美さんは、しばらく黙って。 それから、小さく言いました。
「……どうして? ……もしかして、私が嫌いだから?」
「……え?」
「……私のことが嫌いだから、一緒にいたくないのよね?」
ーー望美さん? どうしたんでしょう?
「私は、貴方に嘘をついていたし、まだ隠していることもあるわ……」
「……」
「本当はね。 高校生デビューなのよ。 中学生の頃は学校に友達はいなかったわ」
「……え?」
「失望したでしょ? 学校の私……クラスの人気者『小川望美』は虚像だったのよ」
「望美さん……」
どこか自嘲するような笑みを浮かべています。
「それは今も変わらない。 ……本心で、他人に向き合えない。 嫌われるから」
「松田さんと福田さんやクラスのみなさんは……」
ーー言いかけて、言葉が止まります。 望美さんの表情が曇っていたからです。
「……ふふふ。 悲しいものよね? 人気者って虚像は……」




