第1話 学校で人気者の小川望美
教室の窓から見える空は相変わらず、特に変わり映えのない景色だ。
当然、それは教室の中も同じだ。 教室の一角に、いつも群がるクラスメイトたち。 その中心には茶色髪の彼女ーー小川望美が居た。
望美はクラスどころか、この学校の中で彼女のことを知らない人が居ないのではないかと言うぐらいのカースト上位の人気者だ。
その中でもクラスで、特に仲のいい女子達が彼女に話しかけていた。
「おっす望美! 今日も可愛いなぁ」
「おはよう。 そんな~。 環奈の方が可愛いよ~」
「またまた、望美の前では、私達は霞んでしまうわよ」
「そんなことないよ~ 葵の方が可愛いよ~」
福田環奈と松田葵を始めとする、クラスの女子達が朝から彼女を中心に集まっていた。 どうやら彼女のどことなくのんびりとした口調や仕草が好印象なんだそうだ。
それにしても。 福田と松田、お前ら望美と距離が近すぎないか! もう少し離れて欲しいのだがーー
時は過ぎ、授業後の休憩時間。今度はある男子学生が、彼女に話しかけていた。
「小川さん、ちょっといいかな? 授業の中でわからない所があってさ。教えてくれると助かるな」
「うん、いいよ~ どこどこ~……ああこれはね~……こうすればわかりやすいよ~」
「ありがとう! いつもわかりやすく教えてくれてさ」
「気にしないで~ わからないことがあったら、いつでも聞いてね~」
あいつ、大木勝也がまた、望美に話しかけている。 お互いにニコニコしていて、とてもいい雰囲気だ。
ーーでもな、大木よ、まだ目の前に先生がいるぞ! 先生に質問しに行けよ?
放課後、望美がカバンを持ちながら歩いていたら、通行人である生徒たちは様々な反応をとる。
望美に声をかける奴、彼女を見て声援をあげる奴。 そして、それらに笑顔で答える彼女、そしてそれを見て喜ぶ奴ら。 アイドルなのか? 一般人だぞ望美は。
学校でいつも誰に対しても笑顔で親切な彼女。
そう俺ーー鵠沼灯磨を除いて誰にでも。




