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俺はこの世界で満点を取る  作者: 武神パイガデッカイ


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9/9

8話

 初めて明かされた事実に僕は驚きを隠せなかった。


「お父さんが……タイムリープの研究……だから僕の部屋にタイムマシンがあったのか」


「そうだったのね。お父さんがタイムマシンを置いたのかはわからないけど、瑛太に一つ言える言葉があるの」


「なに?」


「私は昔、お父さんの研究の助手だったの。その時によくお父さんが言っていた言葉なんだけど。『体は覚えている、心は覚えている、つまり、想いは繋がっている』と、……研究の中で見つけたらしいんだけど、実はお父さんもタイムリープしていたりして」


 母がクスッと笑いながら父がよく言っていた言葉を話した時、僕の心に何かが刺さる感じがした。


「想いは……つながる」


 前回が85点、なのに今回は0点。

 この間のタイムリープに僕の心身に何かが起こった可能性が高い。


「何が理由でタイムリープしているのかわからないけど、それが達成できないって事は心の奥底で何か迷いがあると思うの」


「……迷い?」


「心に迷いがあるからタイムリープした時にそれがトリガーとなって達成できなくなる。研究者の息子がこんな馬鹿なわけないからね」


「馬鹿って……」


 俺は思わず苦笑をするが母の言っていることは何も間違ってはいない、むしろ、今の自分の状態でタイムリープしたら高得点を取れる気がしなかったのか。


「私が言うのもなんだけど、今こうして私が慰めてる事は他の世界ではないと思うの、タイムリープはその時の瑛太の心境や行動でかなり変わるからね。いずれにせよタイムリープするならこれが最後のチャンスになると思う」


「これが最後……か」


「タイムリープで成功するには今、この瞬間を完璧の状態で望まなければならないと思う。テスト風に言うと満点を取るって言い方になるのかな?」


「満点を……とる…か」


 これがラストチャンスと告げられて、不安で胸がキツくなった。

 でも俺はここでニコッと笑って見せた。


「俺、この世界で満点を取ってみせるよ」


「それでこそ私の息子!」


 誇らしげに母はいい、左手で優しく俺の頭を撫でた。


「まぁでも今日はゆっくり休みなさい、明日は学校を休んでいいから。」


「うん、そうするよ、ありがとう」


 泣きついていた俺はすっかり立ち直って、母を後ろにゆっくりと階段を上がる。


「大きくなったねぇ」


 小声で母が何かを言ったような気がしたが俺の耳には届いていなかった。


 …………………………………………………………………


「あなた。瑛太が今日、タイムマシンを使ってタイムリープするって言ったのよ」


『…え?』


「そう、あなたが作ったタイムマシンで何かを変えようとしているの」


『私はまだタイムマシンを発明していない』


「え、あなたが作ったんじゃないの?」


『タイムマシンは神の発明、そう簡単に作れるものではないし、発明したことを世界が知ったら大変なことになるぞ』


「じゃぁなんで家にタイムマシンがあるのよ!」


『わからない、だが家にタイムマシンがあると言う事は誰かがこの家でタイムマシンを作ったに違いない』


「誰かが?」


『タイムリープして私が作ったのかも知れないし、他の誰かが作ったのかも知れない』


「なんで家に……」


『……瑛太にタイムリープをやめさせろ』


「?!」


『なんだか嫌な予感がする、このまま瑛太がタイムリープすると瑛太が瑛太じゃなくなる気がする』


「一体どう言う事なの?」


『残念ながらわからない、ただ……神の発明には代償が付いてくる、タイムリープなら本来あるべきだった記憶、関係、情報、全てが無に戻ってしまう』


「全てが無に……」


『あいつの事は'いい子'だからな、確かに頭はあまり良くないが何処かで責任を感じてるはず、それが爆発したって事はタイムリープで自殺的な事をするかも知れない、私はこんな世界は望んでいない、だから……瑛太を止めてくれ』


「わかったわ……ありがとう…あなた」


 電話を切り、母はゆっくりと部屋の窓を開ける。

 この世界は美しかった。

 欠けてるところが一つもないくらいに。


「瑛太……」


 この時、どうしたらいいか母として何もかもわからなくなった。

 その頬には一滴、涙を流れていた。


「ごめんね」


 声が震える。

 そんな母の状況を知らずに、俺は静かに眠りについていた。

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